多様化するリサーチ手法を整理してみよう
マーケティングリサーチの拡張について理解するには、その手法がどのような広がりを見せているかを理解することが早道です。このときの分類軸として、さまざまなものが考えられますが、今回は構成的-非構成的、「個人/独立性」-「ネットワーク/関係性」という2つの視点で整理しようと思います。
視点その1: 構成的-非構成的
最初の構成的-非構成的という軸は古典的ではありますが、集められるデータの性格やその分析を考える際に重要な視点です。
構成的リサーチ
「構成的」とは、リサーチを実施する人によって、あらかじめ質問内容や質問順、回答内容が固定的に定められていることを意味します。したがって、実施者の想定している範囲の回答しか得られないという欠点があります。
一方で、データの内容をコントロールしやすく、集計や分析がしやすいという利点があります。ですので、数値での理解が不可欠な市場実態の把握に適していますし、意思決定においても、いくつかの案があり、どれを選ぶべきなのか、どの程度支持されるのかについて、数値での説明を求められる場合は構成的なリサーチを行うことになります。
非構成的リサーチ
対して、「非構成的」なリサーチでは、どのようなデータが得られるのかについて、実施者は事前に想定できません。もちろんリサーチのテーマは決まっていますが、こちらから質問を投げかけるというよりは、回答者が自然に発する言葉や行動をデータとして集めることになります。
したがって、その内容は人によってバラバラです。こちらの欲しいデータが集まるとは限りません。構成的なデータのように発言や行動を量としてカウントし、%を算出することには意味がありません。背景や文脈を踏まえながら、ひとつひとつの発言や行動とその関連性を理解することが求められます。
その一方で、あらかじめ回答を想定していないので、実施者が想定していなかった発言や行動についてのデータが得られます。そこから、これまで気づかなかったヒントやチャンスを得ることができるのが大きな利点になります。気づきが得られることが大切なのです。このように、あらたな機会や仮説を探索するために行うのが、非構成的なリサーチといえます。