ソーシャルメディアマーケティングにおけるROIの明示
――日本ではソーシャルメディアマーケティングのROIは測れないといった認識を持っている人も少なくありません。米国でも、このような状況はあったでしょうか。

これはソーシャルマーケットとしての成熟度にも関係してきます。まずは、CMOがソーシャルメディアマーケティングの担当者に対して、会社としてFacebookやTwitterでのプレゼンスはどうなっているのか、といった問いかけを始めることが第一ステップです。
次のステップとしては、そのSNSでのプレゼンスというのは実際にどのくらいの儲けを出しているのか、とCMOが問いかけを始めていくことです。そこがまさにアドビが着目した点です。すなわち、キャンペーンのパフォーマンスと実際の売上、その両者のしっかりとした関係性を明らかにしたいと我々は考えました。
これは何もアメリカだけの話ではありません。日本も含めて、世界各国で言えることです。これからも企業は、SNSのチャネルを非常に重要なメディアミックスのチャネルとみなすようになっていくでしょう。
マーケターの視点で将来のビジネスを予測する
――日本のマーケターに向けて、メッセージをお願いします。
デジタルマーケターの方々が抱える課題を解決するために、そしてより多くのことを実現し、より大きな結果をビジネスで出せるように、積極的にアドビは投資をしています。
具体的にはワークフローの改善、ツールの強化、そしてサプライチェーンという意味でのコンテンツの流れのスピードを速めています。これによってマーケターの方々が、より迅速に素晴らしい仕事をするサポートをできればと思います。
今日のマーケターは将来のCMOになるわけですから、彼らが順調なキャリアパスを歩んでいけるようにサポートします。
――日本ではCMOという役職は定着していません。日本のマーケターのキャリアパスは、米国とは異なっているのかもしれません。
CMOという肩書でなくても、デジタルマーケティング担当者のトップ、もしくはブランドのリーダーであってもいいでしょう。
アメリカにおいて、CEOやビジネスの経営判断をする人たちは、昔はとにかく財務的なことがベースになっていたので、CFOに今後どうなるんだ、という予測を聞いていました。それが最近では、CMOにビジネスの予測を問いかけるようになっています。今期、財務的な成績がどうだったのか、ということを聞くのではなくて、デジタルの担当者やCMOに対して「今後どうなると思う?」と問いかけるようになっているのです。
すなわちアメリカにおいては、CEOや取締役にとっては、マーケティングスペシャリストの価値がどんどん上がってきているのです。
――日本のマーケターを取り巻く状況も、米国のように変化していけばと思います。どうもありがとうございました。