ネイティブ広告は伝統メディアサイトの危機を救うのか?
ネイティブ広告に飛びつくオンラインメディアが相次いでいる。その中で目立つのは、新聞や雑誌などの伝統メディアのサイトと、新興のソーシャルメディアのサイトである。そこで、今回は伝統メディアについて、最終回は新興ソーシャルメディアについて、それぞれのメディアがどのようにネイティブ広告に取り組み始めているのか、そしてどのような課題を抱えているのかを見ていきたい。
テレビ、新聞、雑誌、ラジオに代表される伝統的なメディア産業は、これまで売上の大半を広告収入に頼ってきた。特に米国の伝統メディアは顕著であった。ところが若者を中心に伝統メディア離れが進み、広告売上高が急減してきたのだ。例えば新聞紙の広告売上高は、この5年近くで半減してしまい、今後も下げ止まりそうもない。そこで、オンラインシフトを進めているのだが、伝統メディアサイトのオンライン広告の売上は期待を下回り、伸び悩んでいるのが現状である。その危機を救うかのように現れたのがネイティブ広告だ。有力な伝統メディアが一斉になびいているのだ。
そこで取り組み例として、ワシントンポストサイトを覗いてみよう。まだ試行錯誤の段階ではあるが、「BrandConnect」と称するメニューが最近登場していた。同サイトでは「Sponsored Views」に続く第2弾のネイティブ広告である。広告主が提供する記事を、メディアが提供する編集記事と同じフォーマットで提供している。下図で示すように、編集記事見出しを紹介するトップページや、編集記事本文を載せるページに、編集記事と全く同じ体裁で広告記事が掲載されている。
主要編集記事見出しを掲載する編集枠(青枠)内に、ネイティブ広告記事見出しも載っている(赤枠)。従来のバナー広告枠は右サイドバー内(緑枠)に置く。
編集記事本文の掲載枠に、広告主のIBMが作成したネイティブ広告記事(赤枠)がそのまま載っている。
このように、これまでメディアにとって聖域とされている編集枠に、広告主が作った記事が入り込むことになる。そこで、広告記事には「スポンサー作成コンテンツ」と明記したり、ブランドロゴ(この例ではIBM)を付けたりして、編集記事でないことを消費者に知らせている。だが、編集記事と同じ体裁で編集枠内に置けば、広告記事であっても消費者の目に触れる機会が多くなるだろう。さらにネイティブ広告記事を、消費者にとって有益でかつ共感できるようなコンテンツにしていけば、従来の広告枠内記事と違って、より多くの消費者に閲覧してもらえるようになるはずだ。