ヴァリューズは、ネットユーザーの行動ログと属性情報を用いたマーケティング分析サービス「VALUES eMark+」を使用し、第23回参院選(2013年7月21日投開票)での「ネット選挙解禁」によるユーザー意識と、ネット行動の変化を調査・分析した。
自民党、投票前日サイト訪問者数は民主党の4.8倍
2013年7月1~21日までの各政党HPのサイト訪問者数を日別推移でみたところ、自民党HPは、7月4日(公示日)には前日比の約4.4倍、7月21日(投開票日)には前日比の約1.4倍と急速に伸びていることがわかった。また、投票前日の7月20日にも前日比で約1.5倍と急増していた。投票前日のサイト訪問者数は、1位:自民党、2位:共産党、3位:みんなの党と続き、自民党は8位の民主党に対し、サイト訪問者数で約4.8倍の大差をつけていた。
検索キーワード対策でも明暗が分かれた自民党と民主党
また2013年7月1~21日までの各政党HPの流入元・経由情報を調査したところ、自民党の流入元は、広告以外の自然検索である「検索(Organic)」経由が45.9%、FacebookやTwitterなどの「他サイト(広告以外)」経由が17.5%、バナー広告などの「他サイト(広告)」経由が12.0%であった。特に、「検索(Organic)」経由では、自民党の流入数は民主党の約2.8倍となり、他政党に対しても大差をつけた。
また、どんなキーワードを検索し各政党HPへ流入しているかを分析したところ、キーワード「自民党」は「民主党」の流入数の2倍以上を獲得していることが明らかに。上位10ワードを自民党と民主党で比較すると、民主党は候補者名が「検索(Organic)」経由でランクインするのに対し、自民党は党名や「参議院選挙」など、よく検索されるキーワード(ビッグワード)をリスティング出稿し、流入数を確保していたことがわかりま。
アドテクノロジー、ソーシャルメディアを活用した自民党のネット集客
自民党HPの集客施策で特筆すべき点は、ネット広告活用だろう。2013年7月1日~21日までの「他サイト(広告)」経由を流入元とした場合の経由ホスト情報を分析したところ、幅広くリーチできるYahoo!バナー広告をはじめ、リアルタイム入札で最適なターゲットへ配信できるアドエクスチェンジからの流入も、Yahoo!バナー広告に匹敵するボリュームがみられた。また、複数のアドネットワークを併用し、多数のユーザーへのリーチ量を確保していることも明らかに。
自民党はFacebookやTwitterの流入が含まれる「他サイト(広告以外)」経由の流入数も他政党より多く、オウンドメディアである政党HP、マス広告やネット広告などのペイドメディア、そしてSNSやブログのようなアーンドメディアの3メディアを戦略的に活用し、集客効果を最大化させたようだ。
「投票した」ネットユーザー、政治関連サイトへの接触率高い
投票後のアンケートで参院選に「投票した」と回答した人は、「投票しなかった」という人に比べると、政党・候補者サイトへのサイト接触率が全世代で10ポイント以上高かった。また、投票した人は「Yahoo!みんなの政治」「政治山」といった政治関連サイトの接触率も高く、20代では51%と過半数を超えていた。
【調査概要】
調査期間:(第1回)2013年7月2~4日(第2回)7月22~23日
調査対象:VALUESモニター
調査方法:アンケート調査
捕捉:2012年10月~2013年7月21日までのVALUESモニターのネット行動ログを分析し、政治関連メディア、政党HP、候補者HP、候補者のブログ・Facebook・Twitterなど各メディアの接触状況の変化をとらえ、各政党・候補者の集客施策や、有権者の投票行動とネット接触量の関係性を考察。
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