認知からアクションへ、ナーチャリングプロセスの文脈をつくる
現状、企業が行っているデジタルマーケティングは、リスティング広告に代表される刈り取り施策に偏重しているとしばしば言われている。実際に、潜在顧客を育てるマーケティング施策が手薄になり、刈り取り施策ばかりを行った結果、効果が頭打ちになってしまった経験がある方も多いのではないだろうか。
代表取締役 横山隆治氏
デジタルインテリジェンス 代表取締役 横山隆治氏は「ユーザーの関心が顕在化するプルの接点と、認知から検討のフェーズのプッシュの接点、その間の認知をアクションに導く導線に課題がある」と指摘する。
横山氏:テレビCMでは“大和ハウス”というブランドを知っているという認知を。そこから何となくブランドに対する親近感があるという状態に持っていく。そして実際に“大和ハウスのモデルルームに行ってみたい”という自分ごと化する段階まで消費者の気持ちをあたためていく。
そこに、コンテンツの力を活かせないかと思った。いきなり広告から始めるのではなく、記事を読んで自分ごと化が始まっている人に対して広告をうったほうが、より効果的になるのではないか。
テレビのCMを見て、ユーザーは企業の漠然としたイメージを醸成する。一方でユーザーは自らのニーズが顕在化し、その気になれば検索を行う。その間をつなぐコミュニケーション施策の一つがパワーコンテンツである。ブランドを認知している消費者を、メディアの記事やタイアップ記事広告コンテンツであたためて、ウェブサイトまで連れていくためのナーチャリングプロセスの文脈をつくっていくことがこの施策のねらいだ。
仮説から情報クリエイティブを設計
プロジェクトのコンテンツ概要については、日本ビジネスプレス 代表取締役社長 菅原聡氏より解説された。
代表取締役社長 菅原聡氏
菅原氏:事前にインテグレートと大和ハウスで、どのような文脈でユーザーを自社サイトにつれてきたら最も効率が良いかという仮説を立て、情報クリエイティブを設計した。仮説から「消費税増税」「地震」などのキーワードを選出し、タイアップ記事に加えて、過去及び新たに出てきた編集記事にも、大和ハウスが日ごろ使用しているトラッキングするタグを埋め込んでいく作業を行った。
また、その関連すると思われる記事群に、大和ハウスの広告タイアップ記事への誘導を特別枠として設置した。また、今回に限って、関連するであろう消費税や地震に関連する記事を、「ダイヤモンド・オンライン」や「プレジデント・オンライン」といった媒体をまたがって、リコメンデーションを行った。ユーザーが興味のある記事を読んでいくうちに、大和ハウスの広告タイアップ記事にたどり着くような設計を行った。
BtoC(地震に強い家の紹介)
【ダイワハウスの課題】
ダイワハウスの家は地震に強いことを紹介したい
【一般ユーザーにどう響くか】
地震、防災へのユーザー意識は3.11より継続
→ユーザーは地震に強い家を求める
BtoB(遊休土地の有効活用)
【ダイワハウスの課題】
様々な悩みに対して、いろいろな視点から提案できることを伝えたい
【一般ユーザーにどう響くか】
土地はあるが、どういった活用方法があるのかわからない、またどの活用方法が自分の土地に合っているのかがわからない方は多い
→でも、いきなり企業に問い合わせるのは億劫
→インターネットで調べて興味をもたせる
