「効果あるの?」から「どう効果を出すか」へマインドが変化
MZ:日本でもこれまで何度か、ビデオ広告の拡大の兆しが言われましたが、いずれも期待ほどは伸びていませんでした。ネックになっていたのは何なのでしょうか?
松原:Yahoo! JAPANをはじめとする大規模なメディアでもビデオ広告がリーチできていなかったこと、広告の仕様が国際標準に対応していなかったこと、技術的に高品質が実現できなかったことなど、いくつかあると思います。ただ、それらが徐々に解決され、日本市場は著しく成長しているので、今後は米・英並みになってくると考えています。
高田:日本ではなかなか市場拡大に弾みがつきませんでしたが、そもそもビデオ広告に対する広告主のニーズは以前から高かったので、PCやタブレットで映像を消費する文化ができつつある今の状況は追い風です。日本は圧倒的にサプライヤーが足りていないので、その増加も市場の拡大にはポイントになりますね。
半田:過去に何度か「今年は動画」と言われたときと今回が違うのは、先ほどの環境整備などのほかに、海外の影響もあります。12年ごろから、ビデオ広告に限らず、海外の市場の話が日本で多く聞かれるようになりました。
ビデオ広告も、外資系企業を中心に出稿する前提で受け止められているので、以前のように「効果あるの?」という議論ではなく、出稿が決まっていて「どう効果を出すか」という思考になっています。このマインドの変化は大きいと思います。
マルチスクリーンに対応する横断的な効果測定が可能に
MZ:具体的にビデオ広告はディスプレイ広告に対してどのような違いがありますか?
松原:特に注目する点は、マルチスクリーンへの対応がスムーズだということです。今、ユーザーはPC、タブレット、スマートフォンなどを自在に使いこなしているので、広告主もそれに対応することが急務です。
ディスプレイ広告はデバイスごとに作り分ける必要がありますし、情報量にも差が出ます。その点で、ビデオ広告は1本の素材を自動最適化配信でき、効果測定も横串で把握できる。マルチスクリーン化が今後さらに進むと、一つの枠で圧倒的なトラフィックを生みにくくなるので、デバイス横断的に効果を得ることが重要になります。
高田:テキストコンテンツは、やはりPCで読むのが適していますが、映像コンテンツはどのデバイスでもユーザーの没入感がさほど変わらないんです。それをうまく利用できる点も、ビデオ広告の特長です。
MZ:今のところ、ビデオ広告のターゲットは若年層になるのでしょうか?
半田:以前は確かに、映像コンテンツのユーザーは若年層という認識がありましたが、デバイスの拡大もあって、今はM2層にも広がっています。これからYahoo! JAPAN自体の映像化などを含めて、さらに映像コンテンツの利用を手軽にしていくので、ユーザー層の幅も広がるはずです。