メディア利用時間の9割は“スクリーンの前”
MZ:数年前からは考えられないほど、オンラインでの映像コンテンツの利用は身近になっているんですね。
松原:そうですね、画質や回線の問題もありませんし。今、ユーザーのメディア利用時間を見ると、その9割がテレビとPC、タブレット、スマートフォンなどの“スクリーンの前”が占めているんです。アメリカではすでに、テレビCMとビデオ広告の出稿を同時にプランニングする広告代理店が増えてきていますが、ユーザーの変化を考えると当然かもしれません。
現在、日本テレビで放映中の2つのドラマを、GyaO!で全編無料配信するという画期的な取り組みを行っています。テレビではリーチできない層にオンラインでアプローチして、テレビの前に来てもらおうという意図です。
半田:“通信と放送の融合”という言葉がブロードバンド化と共に言われてきましたが、我々としては”放送と通信の補完関係”という言葉で表現しています。それは、瞬間的なリーチなど、テレビに絶対かなわない点があるので、コンテンツ・広告双方の面においても、どういう関係になれば最適な組み方ができるのかを追求し、最適なサービス、最適な広告を“放送と通信の補完関係”において実現していく事でユーザーや広告主の課題解決をしていきたいと考えています。
高田:逆に、ネット広告にしかできないこともあります。テレビCMもスポットCMなら番組の視聴者層に合わせて出稿できますが、特定ユーザーにピンポイントで表示できるネット広告ほど精緻ではないので、ターゲットリーチを最大化するにも有効に使えると思います。
新たなフォーマット“インリード型”広告に期待
MZ:これから展開していくビデオ広告の種類には、どのようなものがありますか?
松原:映像コンテンツ本編の前などに流すインストリーム型の広告と、記事と同じ面に組み込んだビデオ広告プレーヤーで流すインリード型の広告の2種類です。インリード型は今回新たに追加するフォーマットで、Yahoo!ニュースなどの記事の下にプレーヤーを設置します。インストリーム型はこれまでも扱ってきたので、販売できる商品量を増やしていきます。
MZ:冒頭で、2014年度中に映像コンテンツのユーザーを6,000万人へ、との展望をうかがいましたが、そのための今後の展開をお教えください。
高田:具体的には、「GyaO!」「Yahoo!映像トピックス」を中心とした映像コンテンツ数と、Yahoo! JAPANのビデオ対応サービス数を、それぞれ10倍にするつもりです。動画の視聴文化をつくり、かつ広告配信No.1の技術を提供します。当社としての課題は、マルチスクリーンへのアプローチですね。各デバイスに接するときのシチュエーションや気持ちをよく把握した上で、サービスを作り上げていきます。
ただ、アメリカでも映像コンテンツが拡散する場として複数のポータルやSNSが挙がっているので、日本でももっと業界全体で盛り上げていきたいです。映像でのブランディング広告が入るとメディアのイメージも随分異なってくるので、ぜひ他のさまざまな媒体社にもビデオ広告の導入を進めていただければと思います。