ランサーズは8月12日、東京・麹町にあるグロービス経営大学院で新事業戦略発表会を行った。冒頭で、ランサーズに出資しているグロービス・キャピタル・パートナーズの高宮慎一氏が登壇。出資に際して、ランサーズの前身であるリートを率いていた代表の秋好氏が、クラウドソーシングというトレンドやその市場性よりも、世の中の人の働き方を変える、より幸せになれるよう自分たちが未来を主体的にかたちづくりたいと熱く語っていたエピソードを紹介した。
続いて、ランサーズ代表取締役社長 秋好陽介氏が、現在の業績と新しい事業戦略を発表。日本のクラウドソーシング市場は成長を続けており、矢野経済研究所の予測では2014年度の市場流通金額は408億円、2018年度には1820億円に成長するとしている。
そうした状況のなかで、ランサーズは「時間と場所にとらわれない新しい働き方をつくる」をモットーに、日本初のクラウドソーシングサービスとして、さまざまなスキルを持つ個人と企業のマッチングサービスを提供。2014年第1四半期の流通金額(企業等から依頼された仕事の案件総額)は49億円、契約金額(依頼された仕事のうち、成約に結びついた金額)は4.5億円。「ランサー」と呼ばれるフリーランスの会員の数は36.6万人、クライアント数は9万1000社となっている。
秋好氏は「東京オリンピックが開催される2020年には、全世界で1000万人が仕事ができるプラットフォームへと成長させたい」と語り、そのための新たな事業戦略として、プラットフォームのオープン化を打ち出した。
今回発表された「ランサーズ オープン プラットフォーム」は、ランサーズが保有する36.6万人の会員データベースを外部パートナーに公開。翻訳、動画、コンテンツライティングなど、さまざまな強みをもつパートナー企業と連携し、パートナー企業が案件を受注する窓口となり、ランサーズのプラットフォームを使って必要なスキルを持つランサーを集め、パートナー企業がディレクションのうえ、制作することが可能になる。
こうした仕組みを構築したのには理由がある。クラウドソーシングは、ランサーと呼ばれる会員個人と企業が受発注を行い、マッチングすることで成約につながるしくみ。しかし、ウェブサイトのデザインを発注した場合、クライアント側が「どんなウェブサイトにしたいのか」といった要件定義をしっかりできなければ、受注するランサーの側もなかなかスムーズに成果物を納品できない。クライアントの要望を明確にしてディレクションをする、専門的な知識やノウハウをパートナー企業が担うことで、成約率の向上、クライアントの満足度も高めることができる。
今回「ランサーズ オープン プラットフォーム」のパートナーとして発表されたのは、以下の14社。それぞれ異なる専門性を持つ企業が顔をそろえた。
また、発表会の後半にはパートナー企業を代表して、八楽、ファストメディア、インフォテリアの代表が登壇し、ランサーズ オープン プラットフォームのパートナー企業として、それぞれの強みと自社の戦略を発表した。
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