まず運用、最適化はPDCAを回しながら
RTB広告の取引では、広告主側のプラットフォームであるDSPが閲覧者情報を参照して広告枠に対して入札し、最も高値を提示した広告主が落札してその枠に広告を表示できる。一方、これまで一般的だった広告販売の仕組みでは、媒体社は期間やインプレッションの保証をもとに枠ごとのパッケージで広告の買い付けを行っていた。RTB広告は、いわば広告主が閲覧者を選り好みしながら1インプレッションごとに購入することが可能になったと言える。
「広告主にとっては、都合のいいインプレッション枠だけを買える仕組みです。媒体社側からすると、もちろん広告主が1社だとインプレッションのほんの一部しか買ってもらえないことになりますが、そこはDSP各社がそれぞれのロジックで買っていくので、ある程度のインプレッションが売れていきます。ただし、フロアプライス(最低販売価格)を適切に設定しない限り、売買が成立しないインプレッションも出てきます」。
実際の取引では広告主ごとに複数のDSPを使っていることも多く、しかもインプレッションが発生するたびに瞬時に取引が行われるため、収益額を事前に予測したり実態を追跡しようとするには「複雑すぎる」と高田氏。「そのため、まずは運用を開始し、その結果を見ながらPDCAを回していくことこそ正攻法だと考えています」
RTB広告+複数商材の運用で収益を引き上げる
各広告主が都合よくインプレッションを買っていくRTB広告では、発生するすべてのインプレッションが売れることはない。媒体社側の視点だと、収益を最大化するには、できる限りインプレッションの売れ残りを少なくしたいところだ。
そのためには、こうした点までカバーするSSPを導入することが重要になる。高田氏は、収益化を最大化する具体的な策として、ひとつは複数の商材の運用を挙げる。「例えば各社アドネットワーク、Googleアドセンス/アドエクスチェンジ、それから自社広告などを併用することで、確実に収益が上がります」
細やかに配信を埋めていきながら、収益を最大化するために意外と見落とされているのが、広告配信の順番だと高田氏。Kauliでは、たとえば媒体社が複数のアドネットワークを運用している場合、広告単価に応じて表示の順番まで自動で最適化している。実際に、同じアドネットワークから配信される広告を表示し続けるとクリック率は下がる傾向がある。となると、広告単価が高いアドネットワークを優先的に早い段階で表示させる方が、収益が高くなる。Kauliでは各社の何回目の表示がいくらの期待収益になるかを自動計算し、最適化することができる。