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カリスマ店長・関口むつみのこれならわかる!集客の鉄則

第4回 失敗しない! 広告出稿のイロハ


広告費はいくら使えばいいの?

 私が以前あるセミナーに参加した時のこと、参加者のひとりが、講師に「広告費って、いくらくらい使えばいいんですか?」と質問をしました。講師が非常に困った顔をしながら、「事業計画を立てるときになんちゃらかんちゃらで…、ということなので、自社に合った予算を立ててください」と、丁寧に説明してくださったのですが、質問をした方がキョトンとしていたことをよく覚えています。そのとき私は「広告費に対して漠然とした疑問を抱えている初心者の人が多いんだなー」とその時強く感じました。私なりの解釈なのですが「広告費を○○円使えば効果が出る」という基準値はないと思っています。

ただし、「広告費を使う時の考え方」はあります。

 有料の広告宣伝を行う場合、「どの広告宣伝方法が効果的なのか」というのは、商材によってまったく変わってきますし、「いくら使えば効果が出る」という決まりもありません。なので、「○さんは◎円使っているらしいから、うちも広告費は◎円使おう!」という風に考えるのは危険です。お金を湯水のように使える場合は別ですが、中小ネットショップの場合はまずこのように考えてはいかがでしょうか。

1)新規顧客ひとりが購入してくれるためにかけられる費用
2)いち商品が売れるためにかけられる費用
3)いち目的を達成するためにかけられる費用

を決めます。

 広告費をたくさんかけて爆発的に売れたとしても、計算すると超!赤字…、では困りますよね。ギャンブルのように予算をつぎ込むのではなく使える予算を明確にしておけば、たとえその広告に失敗したとしても最悪の事態は避けられます。

 「いくらくらい使えばいいのか?」の前に、まず商材の仕入れ値、売値、利益、お店を運営する上でかかる経費などをしっかり把握して、自分のお店は広告費を「どのくらい使えるのか?」を理解しておけば、初心者でも少なくとも赤を出すことなく、広告費を使うことができます。(効果があるかどうかは別ですが。)

 また、その商材にすごく力があって、一度でも購入していただければ2回目3回目と購買に繋がる自信がある場合は、初回購入時の広告費用は多少足が出てもよいかもしれません。なぜならば、リピーターで回収が可能だからです。(でも、慣れないうちはお薦めしません。)

 つまり「いくら使えばいいのか?」ではなく、まずは「自分のお店の力・予算を知っておくこと」が広告を行ううえでの大前提となります。くれぐれも「広告を打てば売れるかもしれないからとりあえずやってみよう!」というような冒険は、お金を捨てるのと同じことになるのでやめましょう。

その広告は本当に効果があるの?

 例えば、新規顧客を増やしたいと思ってAという広告に5万円を使い、その広告経由で20人のかたが購入してくださったとしたら、新規のお客さまをひとり獲得するのに使った費用は

5万円÷20人=2,500円

ということになります。

 それに対してBという広告は、5万円の費用を使って40人の方が購入してくださったとすると、一人当たりの新規お客さま獲得費用は1,250円です。そうすると、Aという広告よりもBという広告の方が、費用対効果が高い、ということになりますね。もし、新規顧客をひとり獲得するためにかけられる費用が2,000円だとしたら、Bという広告はかなり効率的に新規顧客を獲得することが出来たと考えられます。
 そして、ひとりにかけられる広告費と比べて考えてみても、Bという広告の方が利益が多くなります。Aの広告では足が出て苦しいですね。合わないと思ったら中止したり、効果があると思ったら予算の上限を引き上げて売上げアップを狙ってみようかな? と、さらに検討することができます。

 「○円広告費を使うなら、最低でも○人は顧客を獲得できないと合わないなー、では、この広告ではどのくらいの新規顧客を獲得できるかな?」

 という単純計算ができれば、広告に失敗して大きな損失を出してしまうことはなくなってきます。広告の種類や予算によっての考え方は人によってさまざまだと思いますし、広告に絶対はないのでまずは予測する「クセ」つまり、計画(plan)、実行(do)、評価(check)、改善(act)を意識することが大切です。これは「PDCAサイクル」と呼ばれていて、意識することでだんだんと違う考え方が出来るようになったり、勘が働くようになったりします。

PDCAサイクル図

 予算さえ把握していれば、費用対効果と合わない場合、例えば、自店舗のイメージや信用をアップさせるというようなブランディング的な意味合いでの広告出稿でも、赤でない限りその投資はアリ、といった判断ができるようになってくると思います。

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日常生活からでも学べます

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この記事の著者

関口 むつみ(セキグチ ムツミ)

1974年東京うまれ。化粧品販売、2トントラックのルートドライバーなどの職を 経たあと、LAN設置工事や社内サーバ管理など行う。 2003年に知人のネットショップ構築を支援したことがきっかけで、インターネット通販に興味を持つ。2004年7月、開店資金5万円で、ブログを利用したネットショップ「和食器益子焼販売 楽raku」を...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2006/09/21 14:38 https://markezine.jp/article/detail/212

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