必要なのはマーケティング組織の役割で考えること
押久保:マーケティングオートメーションを活用すると高い効果を出せる業界や、企業規模などはあるのでしょうか?
福田:マーケティングオートメーションは、見込み客や顧客を特性ごとに分類し、それぞれにどのようなフォローアップをするのかというタスクを事前に設定し、処理を自動化する仕組みです。この点を考察していく際に、マーケティングオートメーション活用の適性を判断するセグメント軸が見えてきました。
押久保:どんなものですか?
福田:見込み客と既存顧客を含めた顧客データベースの件数の軸と、企業の成長の速度の軸です。例えば、中小企業と一口に言っても、数の限られた取引先に対してビジネスをしており、規模を拡大せず堅実に事業を続ける成熟した企業もあれば、ケタ違いの成長率でビジネスが拡大し、それに伴って扱う顧客データベースが爆発的に増加する企業もあります。後者の場合、顧客データベースの件数が増える過程で顧客セグメントは多様化していき、人的フォローでは追いつかなくなり加速度的にマーケティングオートメーションの重要度が高まると思います。ですから、企業規模に関わらず、スタートアップで小規模ではあっても急速に拡大している成長企業から、グローバルに展開している大手企業まで幅広い企業で導入が進んでいます。
これはつまり、大企業や中小企業という観点ではなくて、マーケティング組織の役割で考えた方がいいということです。
押久保:ベンダーを中心に、これまでは企業規模でのセグメントをしてきたかと思います。ですが、マーケティング領域を考える際は、マーケティング組織の役割に注目すべきだということでしょうか。
福田:その通りです。営業部門と異なりマーケティング部門は、売上規模に比例して拡大されることは少ないです。そのため、事業が拡大していくとマーケティング担当者の役割も変化します。だからこそ、マーケティング部門の役割の変化にも柔軟に対応できるマーケティングオートメーションを、マーケターは求めています。
押久保:確かに、マーケティング部門は施策を考えることに集中すべきで、他の部分はなるべく道具の力に頼ることが必要だと思います。
福田:売上20%成長という目標を掲げた企業が、そのためにマーケティング予算を20%増加させることは稀です。少ないコストでより大きな成果を求められるのは当たり前のことになっています。マーケターはアートとサイエンスの両方に重きを置かなければなりません。そして、大きく効果を上げるためにサイエンスの点でマーケティングオートメーションのようなツールを活用し、マーケターの持つ能力を何倍にも増幅させることが求められている時代なのではないでしょうか。
2015年のマルケトの取り組みについて
押久保:最後に、これからの取り組みについて教えていただけますか?
福田:2015年上半期に2回、マルケトの方向性や情報を市場にアピールするイベントがあります。一つ目は、2015年2月17日に開催する「Marketo Summit Japan 2015」という初の国内開催のカンファレンスです。当日は1,000名規模の来場者をお迎えする予定です。会場にお越しになれない皆様には、バーチャルイベントの開催も準備しています。このイベントには本社のCEOが来日する予定です。また、世界のマーケティングをリードするビッグ3の一人であり、IMC(統合マーケテイングキャンペーン)を提唱してきた、ドンシュルツ氏をスピーカーとしてお招きします。もちろん、日本国内での先進事例も紹介していきたいと思っています。そして4月13日~15日には米国で「Marketo Summit 2015」という年次のカンファレンスも開催します。米国でもマーケティング業界のイベントとしては最大規模のカンファレンスで、サンフランシスコのモスコーンセンターで3日間に渡って開催します。
自社の体制については、日本のお客様に安心して使っていただくための体制づくりに集中します。これまでも、“まずはきちんと導入して成功してもらうこと”を主眼に置いて、ポストセールスやコンサルタントの採用を進めてきました。12月1日には日本法人で最初のカスタマーサポート担当者も入社し、引き続き、サポート体制の強化に注力します。
押久保:機能の面ではいかがですか?
福田:詳細は4月のカンファレンスでの発表となりますが、従来マルケトが強みとしてきたBtoB向けの機能強化をはじめ、BtoCに向けた新しい機能にも注力しています。この点はぜひ、来年のカンファレンスに注目していただきたいと思います。
さらに私たちの強みは、自社でマルケトのマーケティングオートメーションを活用して、ビジネスを成長させている点です。自らユーザーとしマルケトを利用する経験から様々な知見を得ることができます。このナレッジをマルケトユーザーの共有財産として、すべてのマルケトユーザーが活用できるようマルケトユーザー会・マーケティング勉強会・ワークショップなど様々な方法を準備していますので、ご期待ください。