アナリティクスとターゲティングという両輪
そうやってターゲティングの対象となるカスタマーセグメントを定めることができれば後はアクションするだけです。それぞれのカスタマーセグメントがどのようなインサイトを持っているか、分析を通じて仮説を導入し、それに基づいたターゲティングコミュニケーションを実施します。そしてその結果を再度分析しPDCAを回す事で、インサイト仮説が正しかったか検証/修正し、場合によってはセグメントの見直しも行い、より効果的なターゲティングを実現していくことが重要です。
しかしアナリティクスとターゲティングのソリューションがそれぞれ別のプラットフォーム上にあるとこのプロセスはなかなかうまく行きません。特にセグメント条件に複数のプロファイルが設定され、またそこに過去の履歴を含んでいる場合に壁にぶつかるケースが出てきます。
例えばアナリティクスを通じて「ここ最近何度も訪問しているが、まだ購入に至っていない訪問者」セグメントに向けたターゲティングコミュニケーションが重要とわかったとしても、ターゲティングソリューションでそのセグメントを正しく設定できなかったり、できたとしてもデータの貯め直しが必要となったりと、結果的に直ちにはターゲティングを行うことができない、というケースが出てきます。
またターゲティングの結果を分析しようとしても、そもそもソリューション間でセグメントの定義が一致していなければアナリティクスで深く検証を行うことができず、PDCAを回すことも難しくなります。
そのためデジタルマーケティングにおいて個客にフォーカスしたコミュニケーションを行う場合、スムーズにPDCAを回し、コミュニケーションの精度を高めていくためにはアナリティクスとターゲティングのソリューションの連携が必須と言えます。
Adobe Marketing Cloudが実現するパーソナライゼーションのワンプラットフォーム
Adobe Marketing Cloudにおいては、アナリティクスとターゲティングの機能はもともと連携を前提に構築されています。そしてコアサービスの一つであるMaster Marketing Profileを活用することで、Adobe AnalyticsからAdobe Targetへセグメント条件を非常に簡単に引き渡すことができるようになり、データ分析に基づくターゲティングを容易に行うことができるのです。
例えば、Adobe Analyticsで分析したところ「通算訪問回数が5回以上かつ未購入の訪問者」というセグメントにターゲティングのオポチュニティがあると判明した場合、そのセグメントをAdobe Marketing Cloudにパブリッシュします。
そうすると、Adobe Analyticsで作成されたセグメント条件に該当する訪問者がAdobe Targetに連携され、Adobe TargetのテストやターゲティングのセグメントとしてAdobe Analyticsの訪問者セグメントをそのまま利用する事ができるようになります。
ターゲティングのために新たにセグメントを再作成する必要がないため、連携が終わり次第、すぐにターゲティングを行うことができるようになります。
またReal-Time Shared Audiences機能を利用すると、Adobe Analyticsで計測している一部の変数を条件とし、ユーザーのリアルタイムなアクションを条件にターゲティングの対象とすることもできます。
前回も触れた通り、デジタルマーケティングをより進化させるためにはパーソナライゼーションは最も重要、と多くのマーケターは認識しています。皆さんはどうお考えでしょうか?
そしてそのパーソナライゼーションをよりスムーズに、かつ高度に実現するためにはアナリティクスとターゲティングのソリューション連携は必須と言えるでしょう。Adobe Marketing Cloudはそれを既に実現したデジタルマーケティングプラットフォームであり、パーソナライゼーションを推進したいマーケターの皆さまの「強力な武器」となるに違いないでしょう。
連載第3回目は、こういった個客にフォーカスしたコミュニケーションの具体的な事例のご紹介と、さらにそのアプローチをクロスデバイスで実現していくにはどうすべきか、という点に触れていきたいと思います。それではまた次回、お楽しみに。
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