「C→A」広告の“ブランディング効果”を評価する
商品やサービスに対する興味・関心を喚起するブランディング広告の効果がどれほどのものかを可視化することは難しいと一般的に考えられてきた。例えば、広告を見たユーザー、クリックしたユーザーのその後の行動には「足跡」のようなものが残っていることがある。その「足跡」を追跡することで、認知度や好意度などのブランディング効果を可視化する取り組みについて紹介したい。
下の図は、あるユーザーが「コンパクトカーA」の広告への接触前後で、どのようなトピックの記事を閲覧していたかをキーワードベースで可視化したものである。クリックやコンバージョンなどの直接的な成果の有無にかかわらず、広告の接触後には車やそれに付随するトピックスの記事の閲覧回数が増えていることがわかる。

また、下の図は、実際に「コンパクトカーA」の広告をクリックしたユーザーの、クリック前後の一週間における「コンパクトカーA」に関する検索や閲覧などの行動の回数を表している。クリック前と比較して、クリック後は関心の高まっている状態が1週間ほど続いている様子がうかがえる。

こうした分析には、広告接触以外の行動の把握が必要であり、DMPに蓄積した行動データが大きな威力を発揮する。このようなCheckを行うことで、新たな配信ターゲットを接触キーワードに基づき最適化したり、反応の高かったキーワードを分析して広告メッセージを再考したりといったActionにつなげていくことが可能となるだろう。
PDCAの精度を上げるDMP
DMPを用いたPDCAをまとめると以下の図のようになる。DMPのデータを活用してPDCAの精度をあげ、広告配信施策を最適化することができる。

今回は現時点でのビッグデータ活用環境を前提とし、データドリブンPDCAの実践をいくつかの分析例を挙げて紹介した。本連載の最終回となる第5回のテーマは「ビッグデータ2.0」。近未来の環境の予測も含め、スマートデバイスやクロスデバイスでの広告展開、リアルタイム分析やジオグラフィックとからめた データ分析の可能性を探る。
(DACビッグデータ解析部 チーフデータサイエンティスト 那須川進一)
