マーケティングの鍵は「Youtility」
マーケターに必要な視点として、2日目のキーノートでは、コンテンツ・マーケティングのコンサルタントとして著名なジェイ・ベール氏が登壇。「Youtility: Why Smart Marketing Is about Help Not Hype」と題したセッションが行われた。
Youtilityとは、役に立つものという意味のutilityのuをyouに変えた造語。ベール氏はこのYoutilityを「企業と顧客の信頼関係を作り出す、役に立つ情報」と定義する。購買を決定する前に消費者が多くの情報に接する今、自社にだけ注意を向けてもらうことは難しくなっている。そこで必要になるものがYoutilityだと、同氏は語る。
前述の通り、現在では人々の注意喚起が難しくなっている。そこで企業は大袈裟に物事を伝えたり、驚きを与えたりして振り向かせようと考える。つまり、「Hype=誇大広告」を行いがちだ。しかし、顧客と長期的な関係を構築したい場合、この方法は賢い選択とはいえない。Hypeから一文字変えた「Help」、消費者にとって役に立つ情報の提供こそが重要だという。
例えば、世界的なホテルチェーンであるヒルトンはTwitterに「@HiltonSuggests」というアカウントを開設し、様々な提案を行っている。このアカウントの特徴は、ヒルトングループのホテルを利用していない人にも情報を提供している点だ。しかもハッシュタグなどのない、旅行者のつぶやきにも反応する。このような、ヒルトンホテルに助けてもらったという体験が、利用となって返ってくるわけだ。
マーケターがYoutilityになるための、シンプルな心掛け
消費者の助けになり、信頼関係を構築することが可能な有益な情報「Youtility」には次の3つの種類があるという。
- セルフサービス型の情報提供
- 透明性を感じられる情報提供
- リアルタイムかつ、最適な情報の提供
「セルフサービス型の情報提供」とは、企業や製品等に関するデータを事前に準備し、消費者が気になった時にすぐにアクセスできるようにしておくこと。例えば、ホリデーワールドという遊園地では、アトラクションの動画や体重制限、水を使ったアトラクションの場合は水温等、細かな情報を公開している。問合せをしなくても、サイトに行けば情報が全てわかる。
「透明性を感じられる情報提供」は、すべての質問に答えるということを指す。自社に都合が良い情報だけを提供しても、消費者との信頼を築くことはできない。マクドナルドは「Our food. Your questions.」というサイトを用意し、食材や加工過程についての消費者からの質問に動画などで回答をするという活動をしている。これによって、16%の信頼増加が見られたという。
そして「リアルタイムかつ、最適な情報の提供」。消費者の求めている情報は、タイミングや人によって大きく異なる。そのため、必要なときに、必要な情報を提供することを意識することで、消費者が次の機会にも頼りにしてくれるというわけだ。
そして、ベール氏はマーケター自身がYoutilityになる必要性を説く「テクノロジーとは単なる魔法の杖であり、マーケターは魔法使いにならなければいけません。そして、マーケターがYoutilityにならなければいけない。この人ともっと時間を過ごしたいと思ってもらわなければいけません。しかし、難しいことではありません。“私はどうしたら助けることができる?”と自問すれば良いのです」
紹介したセッションや、キーノートに共通するメッセージは「どんなに技術が発展してもツールはツールでしかない。重要なことは、マーケターがいかに顧客中心の視点を持って、長期的な信頼関係の構築を意識した戦略を考えられるか」ということだろう。それが、マーケティングの最前線に立つモダン・マーケターに求められていることだ。そして、オラクルは「Oracle Marketing Cloud」によって、モダン・マーケターの戦略策定と実現を力強く支えていく。「Modern Marketing Experience 2015」は、マーケティング領域におけるオラクルの指針を強く感じるイベントとなった。
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