顧客分析から類似オーディエンスを見出し、新規購入を促す
MZ:今ではカタログの種類も顧客数もさらに増えていると思いますが、どのようなテーマで分析をされていますか?
西口:例えば、ファッションのカテゴリには「ベネビス」という靴専門のブランドがあり、カタログも単体で用意しています。靴はサイズの問題があるので通販では買いにくい商品ですが、一度買うとハードルが下がり、継続していただくことが多いんです。そこで、顧客の属性や購買データを分析し、靴の購入を促せそうな人を予測して、いつものカタログと合わせて「ベネビス」も送付しています。
MZ:靴を購入したことのある顧客を分析し、それと類似のオーディエンスを見出してアプローチする、ということですね。
西口:そうですね。属性だけでなく、過去の商品の買い方などを含めて分析することで、買ったことのない商品群にも接触してもらいやすくなっています。購入の可能性が高い方にカタログを送っているので、必要以上にコストをかけることもありません。
過去に買ったことのある人だけを対象にしていると、当然売上は頭打ちになってしまうので、人が頭で考えるだけでは導き出せない商品ジャンル同士の親和性を見つけたりするのに、分析ツールがとても役立っています。また、そこで得られた情報は商品開発部に提供したりもしています。
得意分野を見極めて複数のツールを活用
MZ:顧客分析には、いくつかのツールを使い分けているんですか?
西口:そうですね。先ほどお話しした類似顧客の発見など、複数の切り口で複雑な事象を分析したい場合は、IBMのSPSSを使っています。データウェアハウスと連動して、大容量のデータを扱えるツールだからこそできることです。ほかには、分析というよりは細かい集計に、エクセルや他のツールも使っています。手を動かして計算して、仮説を導いたりするにはエクセルを使い、それを元に本格的に分析してみるときはSPSSを使っています。
MZ:SPSSの前身を使われていた時代も含めて、かなり長くこのツールを活用されていると思いますが、利点はどのようなところだとお考えですか?
西口:SPSSは、いろいろとアルゴリズムを変えて予測をしたり、クラスタリングをしたりするのに役立てています。先ほどお話ししたように、当社ではかなりの種類のカタログや商品群があり、顧客も相当数に上っています。その中で、できるだけ一人ひとりのお客様のニーズに応えながら売上を引き上げるためには、複数の切り口やアルゴリズムでの分析が不可欠なので、SPSSを積極的に使っている状況です。
変数の多い難しい分析や、エクセルでの手計算ではまったく導き出せない示唆を得ようとしているので、それなりのデータの準備やトレーニングも必要なのですが、ちょうど今、私の部署の新しいメンバーも使えるように教育に力を入れているところです。