約20年前にツールを導入、顧客分析にいち早く着手
MarkeZine編集部(以下、MZ):千趣会さんはカタログ通販を長く展開される一方、最近ではECにも注力されています。現在の顧客の購買状況を教えていただけますか?
西口:当社が展開する通販の「ベルメゾン」では、2000年にオンラインショッピングサイト「ベルメゾンネット」をオープンしました。特にここ数年ではECを当たり前に使うお客様が増え、現在では全体売上の7割ほどが、オンラインでの決済になっています。ただ、商品を選ぶところから決済までオンラインで完結している方は少数派ですね。ECの利用者でも、商品を見つけたり選んだりするのにはカタログを使われている方は多くいらっしゃいます。
MZ:今ではデータを使った顧客分析は当たり前になっていますが、千趣会さんではかなり早い段階から専用のツールを導入されていたと伺いました。導入のきっかけは何だったのでしょうか?
西口:日本テラデータ社のDWH(データウェアハウス)を導入して、顧客データをサマリーではなく、明細で扱うようになったことが第一の理由でした。私は当時から在籍しているのですが、ちょうど20年前の1995年ごろには一千万件以上の顧客データを保有していて、明細データとなると、エクセルでのオペレーションは限界だったんです。そこで、すでに導入していたDWHともODBCで容易に連携ができる、現在はIBMさんが取り扱っているSPSSというデータマイニングツールの前身を導入しました。
送付するカタログの種類や数を最適化し、売上増へ
MZ:95年ですと、まだECがスタートしていないカタログ全盛のころですよね。どういった課題をお持ちだったのですか?
西口:当社では細かい顧客ニーズやカテゴリごとに、かなりたくさんのカタログを制作しています。95年当時からすでに十数種類あったので、“誰”にどのカタログを、“いつ”送ればいいのか、カタログ送付の最適化が課題でした。それを、顧客のさまざまな属性や購買データから分析したいと考えたのです。お客様のニーズに合ったカタログを、必要とされているタイミングでお届けできるかどうかで、売上はまったく変わってきます。ちょうど同じ時期、One to Oneマーケティングという言葉が聞かれるようになり、それを実現できるようなデータ解析技術も発展し始めていました。そこで、まずはカタログ送付の最適化を目的に、一人ひとりのニーズにお応えしていこうと、データマイニングツールを導入しました。
MZ:ベルメゾンで扱われている商品のカテゴリは非常に多く、利用者の年代層も幅広い印象があります。現在、どのような種類のカタログがあるのですか?
西口:大きくは、ファッション、インテリア、マタニティや子供関連の3カテゴリがあり、社内でもこの3事業部門に分けています。その中で、ファッションなら年代やテイストごと、インテリアならライフスタイルごとなど、さまざまな切り口のカタログを制作しています。