ICT総研は、6月22日、スマートデバイス市場動向調査の結果を発表した。スマートデバイスとは、スマートフォンとタブレット端末の総称と定義しており、これらの端末を含むスマートデバイス市場は今後も市場拡大を続ける見込みだ。
スマートデバイス市場規模の拡大ペースは鈍化
2014年度のスマートデバイス出荷台数は前年の3,679万台から微増の3,683万台を記録した。年度の出荷台数規模としては過去最多ではあるが、急激な勢いで拡大していた2013年度までと比べると、市場規模の拡大ペースは鈍化した。格安SIMカード市場が伸びたことでスマートフォンの販売台数が減少したことが影響している。
内訳を見ると、タブレット端末が前年比128%の916万台と順調に増加している一方で、スマートフォンが前年比93%と減少したことが、スマートデバイス全体の増加ペースを緩めた形だ。スマートデバイスの3,683万台という出荷台数規模は、フィーチャーフォン(従来型携帯電話)の3.6倍、ノートPCの4.1倍という規模。フィーチャーフォン、ノートPCともに長い目で見ると減少傾向が続いており、そのユーザーがスマートデバイスのユーザーに置き換わっているものと見られる。スマートデバイスの出荷台数は今後も確実に増加していき、2018年度には2014年度比21%増の4,470万台となる見込み。
2015年には、タブレット端末とノートPCの出荷台数が逆転か
スマートデバイスを、スマートフォンとタブレット端末に分けてみると、スマートフォンの増加ペースに対して、タブレット端末の増加ペースが大きいことがわかる。タブレット端末が市場拡大を始めた時期がスマートフォンよりも遅れたことにより、スマートデバイスに占めるタブレット端末の割合は2013年度19.4%だったが、2014年度は24.9%にまで拡大した。2018年度には、これが31.8%にまで拡大する見込み。また、2015年度にはタブレット端末の年間出荷台数が1,054万台となり、同年のノートPCの出荷台数見込み(793万台)を逆転すると見られる。
今後のさらなるスマートデバイス市場拡大のカギは、法人市場への浸透
PCやフィーチャーフォンと比べてスマートデバイスの法人市場への浸透は遅れていたが、Windows PCとしても違和感なく利用できるマイクロソフト「Surface3」が販売開始されるなど、ここに来てタブレット端末のラインナップがさらに充実。また、セキュリティや運用コストに対する不安も徐々に解消されつつあり、法人向け市場は拡大傾向が続いている。2014年度はスマートデバイス全体の10.4%(383万台)が法人向け出荷となった。新規需要、ノートPCの代替需要ともに今後さらに増加していく見込み。個人市場よりも伸び率が高いと見られる法人市場への浸透が、今後の市場拡大のカギになりそうだ。
腕時計端末やガラケーの所有意向は?
スマートデバイスが今後のモバイル端末の主役として、モバイル端末の市場を牽引していく見込みだが、ユーザーが現在所有している端末は何なのか。また、1年後にはどんなモバイル端末を所有していたいのか。インターネットユーザー1,102人対して、Webアンケートの形式で質問した。
その結果、現在1人あたり平均1.6台のモバイル端末を所有。所有している端末は、スマートフォンが59.9%で最多となり、フィーチャーフォンが44.7%で次点、タブレット端末(WiFiモデル)が21.9%でこれに続いた。タブレット端末の合計(回線付きモデルとWiFiモデルの合計)は29.7%となり、モバイルノートパソコン(15.8%)の2倍近い割合となった。
1年後に所有していたい端末では、フィーチャーフォンが27.6%と大きく割合を落としているが、一方で「腕時計型端末」が7.4%と、現在所有から4.6倍のポイントを記録した。Apple Watchが4月に発売されたことで、腕時計型端末の市場は今後大きく成長していくことが期待されており、このアンケートでもその傾向が見られた。
今後もスマートデバイス市場は拡大していくと見られるが、端末の形状やスペックだけでなく、携帯電話キャリアによる通話料金、通信料金、各種プランの設定状況、格安SIMを含むMVNO市場の動向、ウェアラブル端末市場の動向によっても大きく変わってくる。スマートフォンとタブレット端末が牽引してきたスマートデバイス市場だが、今後は端末の形・デザインだけでなくサービス形態も変えながらさらに普及が進むものと思われる。
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