ついにアイモバイルも動画広告プラットフォームに参入
2015年7月30日、「アイモバイル感謝祭2015~SDK復活したし盛り上がらNight★~」が開催された。アイモバイルでは、今春からAppleのアプリケーション審査において、「アイコン型広告」がリジェクトされるという問題が発生していた。協議を重ねた結果、iOSにおけるアイコン型広告の提供停止という決着をもって、アイコン型広告の終息宣言を発表。6月より新たなSDKの配布を開始した。その配布を祝すとともに、さらなる盛り上がりの創出を目指し、今回のイベントタイトルもつけられている。
同イベントでは、アプリの収益化に関した様々なセッションが行われた。中でも、一番の盛り上がりを見せたのはサプライズで発表された動画広告プラットフォーム「maio」のリリース発表だ。昨年より、広告主の動画広告に対するニーズが高まっているのを同社は感じていた。今回その声に答える形で同サービスのリリースに至った。
当日サプライズで発表をしたmaio事業部の堀口正男氏は、「すでに出稿が決まっているクライアントも複数いるので、枠さえいただければ、すぐに配信できる状態になっています。ティザーサイトからメールアドレスを登録していただければ、優先的にSDKをお配りします」とアプリデベロッパーにとってもメリットの高い商品であることを説明した。
インタースティシャル、インフィード広告の増加
アイモバイル アドプラットフォーム統括事業本部の 溝田吉倫氏は、イベントの開始に際し「デベロッパーの皆様には、リジェクト問題でご迷惑をおかけしました。新しく提供を始めたSDKは問題もパスしているため、安心してご利用いただきたい」と挨拶。
続けて、アプリのマネタイズ手法の変化について、2014年と2015年の上半期を比較したスライドを紹介した。「スタンダードバナーのシェアは少し下がってきているが、インタースティシャルが大きく伸びている。最近リリースしたインフィード広告は、過去最高の勢いで1000万円の大台にのった。これからはインタースティシャルとインフィードに力を入れていきたい」と語る。
最新アプリ動向は「中国マーケットの成長」
続いて、アプリの分析ツールを提供するApp Annieの渡辺之靖氏による、「日本と海外からみるアプリ市場のトレンド」と題したプレゼンテーションが行われた。
その中で、特質すべきは「アジアのマーケット」に関するトピックだ。例えば、2015年5月のiOSの高収益iOSのゲームアプリトップ10に中国のアクションRPG『Fantasy Westward Journey』がランクイン。GooglePlayの高収益だったゲームトップ10においても、1位『モンスターストライク』2位『パズル&ドラゴンズ』と日本のアプリが上位を占め、他のタイトルも中国や韓国のタイトルが複数ランクインした。この結果に対し渡辺氏は「中国のゲームアプリがグローバルのランキングに入ってくるのは注目すべき動き」だと語る。
ゲーム以外のアプリでも同様にアジアの存在が際立つ。ダウンロード数では米Facebookのアプリが上位を占めているものの、収益面で上位に立つのはLINEだ。
「日本の使用率の高さと少しずつではありますが、着実な海外展開を行っています。GooglePlayでは他のライバルを寄せ付けないレベルの収益性を誇っています」(渡辺氏)
両ストアで非ゲーム系アプリを提供するパブリッシャーの2015年5月のランキングをみても、ダウンロード数で中国企業が半分を占めており、「今後中国のパブリッシャ―を中心に、アジアのマーケットが盛り上がってくる」と渡辺氏は語った。
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CVRの追求に必要なのは適切な掲載位置
次に、アイモバイル メディアグループの鈴木宏典氏が登壇。「アイモバイルから見る収益性の高い広告掲載方法~数値で読み解く収益最大化~」と題し、同社が保有するデータをもとに、収益性の高い広告掲載について、知見を共有した。
「広告効果を意識し、各広告サイズの特徴についてよく理解すれば、収益は最大化できます」と鈴木氏。掲載位置に注意し、クリックの質をあげることで、広告効果(CVR)を追求することができると説く。
さらに、同氏は広告効果や収益性を上げるための、「ちょっとしたアイデア」を3つ紹介した。
1)意図的にユーザーの目線を広告に誘導する……プログレスバーやアイテム回復までの時間など、定期的にユーザーが見るUIの近くに広告を配置する。動作・ゲームが終了して、ユーザーがやることを失ったタイミングで表示させられるとなお良い。
2)広告を表示するためにワンクッション設ける……例えば、特に読み込む必要はなくても“Now Loading”などを挟むことで、ユーザーに不快感を与えず広告を表示させるスペースを設けられる。
3)コンテンツに溶け込んだネイティブ表示……ゲーム内の世界観やキャラクターデザインに合わせた広告を表示させる手法。インフィード広告を使って文字だけ表示させることで実現できる。
「ユーザーを意識したデータ活用」がポイント
続いて、鈴木氏は各広告サイズの特徴について紐解いていく。まずはOS別の広告サイズごとの収益データ。通常バナーを見てみると、CTRはiOSの方が高い傾向にあることがわかる。逆に、インタースティシャルやテキストポップアップは、Androidの方が高いという特徴がある。
OS別の収益比率は、どうだろうか。iOSでは通常バナーの売上が多くを占めている一方、Androidではインタースティシャルとアイコンのシェアが高くなっている。「アイコンはAndroidではまだまだ戦力になるので、ぜひご活用いただきたい」(鈴木氏)
ここからは広告種別による傾向を見てみる。鈴木氏が「今後マストで活用いただきたい」と語るインタースティシャル広告は、表示頻度設定を「3分の1表示」に設定しているところが多く、アプリのジャンルでは放置育成系、パズル系、ツール系で親和性が高いことがわかる。表示タイミングとしては、CPM(Cost Per Mill :1,000回表示あたりの広告コスト)が最も高くなる「ゲーム終了時」が良いようだ。
「今後、収益を底上げしてくれそう」と鈴木氏が見ているテキストポップアップ広告は、現在、急激に伸びており、平均パフォーマンスも良い数字がはじき出されているという。「CTRが1.3%と高いのに、CPCが15円で維持できている
「広告を導入する際は、ユーザーを意識することが大切。アイデア次第でCVRは高めていける。OSの違いや画面サイズでも違いがあるし、広告の種類によっても変わってくるので、データを見ながら、うまく活用してもらいたい」と語り、鈴木氏は発表を締めくくった。
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人気アプリのデベロッパーが語るアプリのプロモーション手法とは
続いては、ヒットアプリを生み出しているデベロッパーを迎えたパネルディスカッションが展開された。アイモバイルの廣瀬裕利氏をモデレーターに、グッディア 吉田和史氏、リイカ 栗田祐介氏、Nagisa 井上大紀氏の3名が参加。アプリのマネタイズやプロモーションについての知見が語られた。盛り上がったトークのなかから、いくつか抜粋して紹介する。
廣瀬:iOSとAndroidでプロモーションは使い分けていますか?
吉田:直近までは、iOSしかプロモーションをしていませんでした。ブーストがメインです。最近Androidでも試し始めていますが、収益的にはiOSほど爆発力がない印象です。
栗田:OS別のプロモーションは吉田さんのお話の通りですね。ブーストの観点でいうと弊社のQというゲームアプリは、Twitterでの拡散が効果的でした。自分が解けない問題を検索するとヒントが出てくることもあって、拡散力がありましたね。
井上:プロモーションはみなさんブーストが中心だと思いますが、ASO(アプリストア最適化)は本当にやった方がいいです。ブーストのピークが過ぎた後にも“ちりつも”で稼げるので、しっかりやった方が息の長いものが作れると思います。重要度でいうとアプリ名とキーワードが95%で、ディスクリプション(アプリの説明文)は、ほとんど意味がないかなと。App Storeのランキングでは、3行だけファーストビューに入るので、そこはワーディングにこだわった方がいいでしょうね。
アプリ内課金を導入するためのポイントとは?
廣瀬:アプリ内課金は導入していますか?導入していたとしたら、どのような立ち位置ですか?
井上:当社はカジュアルゲームしか作っていないので、ソーシャルゲームのアプリ内課金とは違うと思いますが、収益全体の15%くらいは稼げているかなと。アプリ内課金を入れるとデバッグがすごく大変。さらに「課金したけどアイテムが出ない」といったお問い合わせが出てくるので、そこのバランスも含めて検討する必要があります。急いでリリースしたいなら広告だけでマネタイズすればいいし、収益を上げたいなら時間をかけてデバッグすればいい。
栗田:当社もカジュアルゲームばかりで、課金のノウハウはあまり持っていません。Qでは問題のパックを課金することでアンロックできる仕組みだけですね。カジュアルゲームは広告での収益の方が向いていると思います。課金で稼ぐというよりは、触ってもらう機会を増やして、広告をタップしてもらえる機会を増やすという選択をしてきた。今後はもっと課金に繋げられるアプリを作るようにシフトしていこうと、真面目に考えているところではあります。
吉田:当社は課金を入れているのは、ほんの一部のアプリで、収益としては1%を切るかというレベルです。無料のカジュアルゲームなので、ユーザーの志向は“いかにお金を使わずに遊べるか”だと思います。課金の仕組みを入れたとしてもマネタイズは難しいかと。ただ、今後はその仕組みを入れると動画リワード広告を生かせるのではないかと考えています。例えば、あるアイテムを100円で売るという課金システムを用意する一方で動画リワード広告を用意しておく。お金は出したくないけど、“15秒の動画を見るだけでインセンティブがもらえる”みたいな。そういう手はアリなのかなと思いますね。
パネル終了後、前述の「maio」のリリースが発表されイベントは大きな盛り上がりと共に幕を閉じた。アプリの収益化についてさまざまな視点で語られた、今回のイベント。アイモバイルの新SDK、9月にリリースの動画広告プラットフォーム「maio」、今後のアプリプロモーション市場におけるアイモバイルの動向から目が離せない。
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