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未来を「つくる」天才を育てる学校“BAPA”に迫る

ユーザー目線とチームワークが鍵、最下位からトップへと大躍進したBAPA2期生の「考え方」


本番1か月前にゼロから考案した「Sync Ring」

――公開授業から本番のライブまでは1か月程度で短期間だったかと思います。すべて切り捨てて一から考えるのは、勇気のいることではありませんでしたか?

水落氏:スケジュール的にはかなりギリギリでしたね。でも、このままだとだめだよねという認識だったので。

堀氏:そこで、ライブの楽しさって何だろうと基本に立ち返って考え直したんです。例えば、パフォーマーと目線が合うのもライブの醍醐味ですよね。だから目線を可視化するのはどうだろうとか等、もともと出ていたアイデアの中から、他のチームとかぶっていなかったものを改めて検討しなおしました

 もう一方で公開授業の結果、見栄えの良さもより重視することにしました。他のチームのデモを見て、一人ひとりの体験をコアな方向に深めるより、皆が瞬間的に理解できて、かつ同じ感覚を共有できるものの方が、わかりやすいし場を盛り上げられると感じたんです。だから、先ほどの目線の可視化だとちょっと地味じゃない? という議論になって。もともと私がライブに出演する側だったこともあって、お客さんが一番幸せそうな時って、一緒に踊ってる時だなと思い、最終的に、みんなで同じ身振り手振りをするのってライブならではの楽しみだよね、それを取り入れたものにすると、皆で同じ感覚の共有ができるし、今回のライブのように、振付や曲が全然わからない人がいても、参加しやすくなるよね、という方向にまとまりました。

 みんなで同じ動きをする時って、何で同じにできるんだろうと考えるとリズムが鍵になっている。高度な振り付けもありますが、リズムに合わせて動くのが根本です。じゃあ、リズムを可視化しようとなって。人の動きを感知して、シンクロ率を図るようなクリエイティブに変更することにしたんです。

コマンドが揃ったタイミングで同じ動きをしているかを測る
コマンドが揃ったタイミングで同じ動きをしているかを測る

水落氏:元々、人の動きを利用するアイデアは出ていて、LEDと赤外線カメラを利用する技術的な検討もしていました。だから、フィージビリティの面でもいけるな、と。それに、いわゆる音ゲーみたいなアイデアも最初の頃に出ていたんです。でも、新しさがないからと切っていた。

 けれど、現在のライブで行なわれている演出だと、全員の動きを観測してどうこうしているわけではないんですよね。だから、お客さん全員の動きを感知して映像演出に反映できたら、ライブを新しくできると考えて「Sync Ring」というリング状のLEDデバイスを使うアイデアに方向転換したんです。

動きを観測するデバイス(LEDをボタン電池で挟んだ簡単なもの)
動きを観測するデバイス(LEDをボタン電池で挟んだ簡単なもの)

 僕が、このアイデアでいけると考えられたのは、BAPAの授業でウェブデザイナーの中村勇吾さんの話を聞いていたことも要因の一つだと思います。話の内容は、要素を分解して再構成するという話なのですが、例えば中村さんの作品で、「雨音の由来」というものがあります。雨音って葉や土などに雨がポチャンと落ちる音が、たくさん集まってできていますよね。じゃあ、その1個1個を分解していって、それを集めたら雨音をつくれるのではないか、という話。一つの現象をどんどん細分化して、改めてそれらを集めると別のものになるのかという発想ですね。

 Sync Ringも、ライブという大きな事象をお客さん一人ひとりの動き=300個の点に分解して、再構成しています。単なる音ゲーじゃなくて、動きを計測してそれを表示することで別の表現を生み出せる。そこが面白いと思ったんです。

チームだと自分と周囲のズレがわかる

――水落さんは、これまで個人で作品をつくられてきたとのことですが、今回、グループでアイデアを出し合い、どう実現させていくかという考え方をされたと思います。そのなかで、得た知見はありますか?

水落氏:今回、お客さんが体験する作品をつくったのですが、そのような作品づくりもあまりしたことがなかったんです。そもそも、お客さんがどう感じるかという議論もしたことがなくて、それ自体新鮮でしたね。

 また、感覚のズレを実感できたのも大きいですね。グループで話し合ってプロトタイプをつくってみたら、自分と他の人で楽しいと感じるポイントが違う。そこで得られるフィードバックは、一人での取り組みだと気付けないものです。

――堀さんは、プランナーの立場でアイデアを出されたかと思います。普段の仕事と違って、BAPAならではだと感じた部分はありますか?

堀氏:全然違いますね。案件ではクライアントのビジネスゴールに企画をあわせていきます。一方でBAPAは、お題はあるけれどゴールは自分たちのやりたいことを実現すればいい。自由度が高いです。監視、ディレクションするオトナもいないので、自分が諦めたらそこで終わってしまうというプレッシャーもありますが(笑)

 あとは、チームの中にエンジニアが直接入って、一緒にアイデアを出しながら考えるスタイルは新鮮でしたね。仕事でもエンジニアリングの会社の方と一緒に取り組みますが、ある程度こちらで決めた企画の実装部分をお願いするという場合が多いです。それが、BAPAは完全にみんなで一緒に考える

 変な表現ですが、考えることは誰でもできる中で、デザイナーやエンジニアのように何かつくれるわけではない私は一体何できるんだろう、みたいな気持ちは仕事より強かったですね。

水落氏:同じチームで見ていると、堀さんは仕切りが上手くて柱のようになってくれている印象でしたけどね。議論の中で方向性が広がりすぎたときの整理や、案の落とし込みも堀さんが率先してくれて、さすがだな、と。

堀氏:ありがとうございます(笑)普段のお仕事などでは、ある程度仕事のフローがありますが、BAPAは完全にフリー。だから、制作物を完成までもっていくためのフローも自分たちで考える必要があります。そのマネジメントは確かに行っていましたね。また、様々な意見を集束させることも、仕事でのノウハウを活かせられたかもしれません。

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世に出た時に「みんなが分かる」ことが大切

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この記事の著者

伊藤 桃子(編集部)(イトウモモコ)

MarkeZine編集部員です。2013年までは書籍の編集をしていました。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2016/02/17 12:57 https://markezine.jp/article/detail/23284

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