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有園が訊く!

バケツリレー型から、データ中心のスクラム型で顧客と向き合う時代【花王石井×zonari有園対談】

情報システム部門との連携は不可欠に

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石井:今では本当に多種多様なデータが得られ、システムに任せられる範囲も広がって、人間は本当に最後の読み解きだけに集中できるようになりました。

 何なら判断に関わる部分も、AIに学習させればアルゴリズムを導き出して、少なからずシステム化できるでしょう。以前は「マーケティングは感性だ、センスだ」という説もまかり通りましたが、それはただ効果がデータで測定できなかったからに過ぎません。古い考えに捕らわれていては、ダメですね。

有園:本当ですね。ツール導入と並んで指摘された情報システム部門との連携も、各社で課題になっていると思います。

石井:ええ。マーケティングとITが密接になるべきだというのは、もう何年も前からいわれていますし、欧米ではかなり進んでいます。先日シカゴで行われたSAPのフォーラムに参加したのですが、講演内容よりも、登壇者のほとんどがCIOだったことのほうが衝撃的でした。チーフ・インフォメーション・オフィサーがマーケティングの話を当たり前にしているんです。

 当社でもかなり前から、たとえばDMPなどのツール導入時にも必ず情報システム部門と連携して行っています。どの会社も、デジタルマーケティング部門の社内ネットワークより情報システム部門の社内ネットワークのほうが大きいですよね。

 だからデジタル部隊はどんどん組織融合を進めて、彼らの力を借りていかなければ。このスピードの速い時代、デジタル技術や知見をはじめとして社内のリソースを総動員して立ち向かうことが、そのときどきの生活者と適切なコミュニケーションを図るひとつの肝にもなると思います。

マスからパーソナライズドなコミュニケーションへ

有園:多岐にわたるお話のすべての密度が濃く、圧倒されてしまいますが、どの観点からもマーケターの過去の常識を壊していく必要があることが強いインパクトをもって感じられます。

石井:まさしく、クレイトン・クリステンセンの「破壊的イノベーション」です。先ほどのSAPのフォーラムでも、ディスラプションという単語が何度も出てきていました。

 破壊的イノベーションは、一般的にはテレビが破壊されてデジタルがイノベーティブな存在として興隆するように捉えられていますが、私はそうではないと思っています。破壊されるのは、もはや幻のような“マス”に向けたマスコミュニケーションで、ディスラプティブなのはパーソナライズドコミュニケーションです。

 顧客は、趣味趣向や行動ではっきりとセグメントされた“私たち”スモールマスに向き合った対話を、さらにいえば“私”だけに向き合ったワン・トゥ・ワンの対話を望んでいます。だから、企業の側もそれに応え、顧客に先んじてコミュニケーションを変化させなければいけません。

有園:おっしゃるとおりですね。つい先日、総務省が2019年にテレビの同時再配信を全面解禁すると打ち出しました。するとテレビが即ネットに流れるようになるので、ターゲティングもできるようになる。近い将来、またひとつの転換点を迎えそうです。

石井:そうですね。そうなるとますます、ブロードリーチのコミュニケーション自体の価値はなくなります。マーケターは生活者の変化やメディア環境の変化をよく捉え、大局観を持って新たな道を切り拓いていってもらいたいですね。

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この記事の著者

高島 知子(タカシマ トモコ)

 フリー編集者・ライター。主にビジネス系で活動(仕事をWEBにまとめています、詳細はこちらから)。関心領域は企業のコミュニケーション活動、個人の働き方など。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

有園 雄一(アリゾノ ユウイチ)

Regional Vice President, Microsoft Advertising Japan

早稲田大学政治経済学部卒。1995年、学部生時代に執筆した「貨幣の複数性」(卒業論文)が「現代思想」(青土社 1995年9月 貨幣とナショナリズム<特集>)で出版される。2004年、日本初のマス連動施策を考案。オーバーチュア株式会...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2016/12/13 08:00 https://markezine.jp/article/detail/25623

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