SHOEISHA iD

※旧SEメンバーシップ会員の方は、同じ登録情報(メールアドレス&パスワード)でログインいただけます

おすすめのイベント

おすすめの講座

おすすめのウェビナー

マーケティングは“経営ごと” に。業界キーパーソンへの独自取材、注目テーマやトレンドを解説する特集など、オリジナルの最新マーケティング情報を毎月お届け。

『MarkeZine』(雑誌)

第106号(2024年10月号)
特集「令和時代のシニアマーケティング」

MarkeZineプレミアム for チーム/チーム プラス 加入の方は、誌面がウェブでも読めます

有園が訊く!

バケツリレー型から、データ中心のスクラム型で顧客と向き合う時代【花王石井×zonari有園対談】

 デジタル上でのコミュニケーションは、企業のマーケティングやブランディングを明らかに変革し、速度と深度を増している。有園雄一氏が業界のキーパーソンや注目企業を訪ね、デジタルが可能にする近未来のマーケティングやブランディングについてディスカッションする本連載。初回は花王にて10年以上デジタルマーケティングを司る石井龍夫氏に、マスマーケティング中心の時代からの変化の潮流と、この先の顧客コミュニケーションの考え方を解説いただいた。後編では主にデータに着目し、データを中心としたコンテンツ開発のプロセスや組織体制に言及する。

デジタルなら顧客のモチベーションを把握できる

アタラ合同会社取締役COO/株式会社電通デジタル 客員エグゼクティブコンサルタント 有園雄一氏花王株式会社 デジタルマーケティングセンター長 石井龍夫氏
zonari合同会社 代表執行役社長 有園雄一氏(写真左)
花王株式会社 デジタルマーケティングセンター長 石井龍夫氏(写真右)

有園:前編では“スモールマス”と呼ぶコミュニティへのアプローチが重要であること、またマスメディアとデジタルメディアの機能の差をよく理解して設計し、使い分けることが大事だとお話いただきました。

 ここからは、さらにデジタルならではの機能やデータ活用についてうかがいたいのですが、先ほどの「マス×デジタルで広告効果がリフトする」話に関連して、私が参画している電通デジタルの親会社の電通は「STADIA(β版)」という統合マーケティングプラットフォームを最近開発しました。これを利用すると、テレビ番組に関するツイートからテレビ視聴ユーザーを推定して、ネットでリターゲティングするという“テレビリタゲ”ができるようなのです。

石井:それも効果的かもしれませんね。以前行った調査では、ネットでの情報発信が活発な人はテレビ接触頻度も高いという結果が得られました。テレビは情報を集める場として今もきちんと機能していて、だからテレビで何かが取り上げられるとすぐに検索が動くのだと思います。

 そのタイミングもそうなんですが、私たちとしてはやはり、顧客の心が動いた瞬間にアプローチしたい。ヘアケアならヘアケアに、いちばん関心が高まったときに広告コミュニケーションができれば、それは理想ですよね。

有園:そうですね。となると、そのモチベーションの把握にデジタルが役立つと。

石井:ええ。それはマスコミュニケーションでは不可能でした。今は皆がスマートフォンというセンサーを持ち歩いていますから、マーケターは理想の形でのブランド強化が可能になっているといえます。

デジタル時代のメディアプランとクリエイティブ

有園:確かに。今のお話にはまったく同意なのですが、一方で「デジタルをどう使えばいいのかわからない」というマーケターも多いような気がします。具体的なメディアプランに落とし込めない。

石井:そうですね。私も他社の方から、経営や上長に「デジタルを使え」と言われたがどうしたらいいかと相談されたりします。

有園:各所で話を聞いて考えたのですが、マスコミュニケーション中心の時代とは、そもそも思考のプロセスが違うんですね。テレビCMなら、営業サイドからターゲットやKPI、今回訴求する商品価値やメッセージを加味した大枠のメディアプランが提示され、それをひとつのクリエイティブに落とし込めばよかった。

 一方でデジタルだと、同じようにデジタルの部署からメディアプランが上がってきて、そこにリターゲティングがありYahoo! ブランドパネルがありYouTubeがある。すると、広告クリエイティブは果たしてひとつでいいのか、マス広告の経験が長いクリエイターなどは悩むようなんです。

 本当はターゲット起点、お言葉を借りればスモールマスを定義した上で、彼らに響くクリエイティブを加味したメディアプランを立てるべきなんでしょう。

石井:同感です。商品価値やコンセプトありきのコミュニケーションから、お客様ありきのコミュニケーションへ、設計の流れをがらっと変えないといけないと思います。

会員登録無料すると、続きをお読みいただけます

新規会員登録無料のご案内

  • ・全ての過去記事が閲覧できます
  • ・会員限定メルマガを受信できます

メールバックナンバー

次のページ
コンテンツ開発はバケツリレーからスクラムへ

この記事は参考になりましたか?

  • Facebook
  • X
  • Pocket
  • note
有園が訊く!連載記事一覧

もっと読む

この記事の著者

高島 知子(タカシマ トモコ)

 フリー編集者・ライター。主にビジネス系で活動(仕事をWEBにまとめています、詳細はこちらから)。関心領域は企業のコミュニケーション活動、個人の働き方など。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

有園 雄一(アリゾノ ユウイチ)

Regional Vice President, Microsoft Advertising Japan

早稲田大学政治経済学部卒。1995年、学部生時代に執筆した「貨幣の複数性」(卒業論文)が「現代思想」(青土社 1995年9月 貨幣とナショナリズム<特集>)で出版される。2004年、日本初のマス連動施策を考案。オーバーチュア株式会...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

この記事は参考になりましたか?

この記事をシェア

MarkeZine(マーケジン)
2016/12/13 08:00 https://markezine.jp/article/detail/25623

Special Contents

PR

Job Board

PR

おすすめ

イベント

新規会員登録無料のご案内

  • ・全ての過去記事が閲覧できます
  • ・会員限定メルマガを受信できます

メールバックナンバー

アクセスランキング

アクセスランキング