SHOEISHA iD

※旧SEメンバーシップ会員の方は、同じ登録情報(メールアドレス&パスワード)でログインいただけます

おすすめのイベント

おすすめの講座

おすすめのウェビナー

マーケティングは“経営ごと” に。業界キーパーソンへの独自取材、注目テーマやトレンドを解説する特集など、オリジナルの最新マーケティング情報を毎月お届け。

『MarkeZine』(雑誌)

第106号(2024年10月号)
特集「令和時代のシニアマーケティング」

MarkeZineプレミアム for チーム/チーム プラス 加入の方は、誌面がウェブでも読めます

業界キーパーソンと探る注目キーワード大研究(AD)

目指すは日本企業の中国進出の一般化~バイドゥ、インフィード広告を日本で提供へ

 中国最大の検索エンジン「百度(バイドゥ)」を提供する百度日本法人。そんな同社が、本格的にインフィード広告の提供を開始。日本以上にスマホファーストが先行する中国では、インフィード広告の市場が莫大となるのは想像に難くない。バイドゥに対して、日本企業はどう向き合うべきか? 百度日本法人の髙橋大介氏にインタビューを行った。

月間ユーザー数は6億人超に

 バイドゥ(百度)は、中国最大の検索エンジンを提供しており、月間のユーザー数はなんと約6億人。そのバイドゥが2016年10月から、本格的にインフィード広告の提供を開始した。中国も日本と同様に、PCよりスマートフォン優位という事情があるだけに、同広告のリリースは、いよいよ真打ちの登場といえる。

 さらに、同年11月末には、バイドゥがヤフーとの業務提携を発表。ヤフーが「百度リスティング広告」「百度アドネットワーク広告」を販売することで、さらに日本企業が中国向けのマーケティング領域にビジネスチャンスを拡げやすい状況が整いつつある。2017年は中国市場進出を果たすマーケター、EC事業者の数が増えそうだ。

バイドゥ株式会社 国際事業本部 本部長 髙橋大介氏
バイドゥ株式会社 国際事業本部 本部長 髙橋大介氏

 「バイドゥは検索エンジン以外にも、旅行や地図、宅配など、人の移動に関わるサービスに強いのも大きな特徴です。2015年、旅行サイトを運営するCtripがバイドゥのグループ会社となり、同社の日本法人が設立されています。中国大手のOTA(オンライントラベルエージェンシー)として、同国における旅行、ホテル予約の資産や知見を持っており、私たちが事業を進める上で大きなアドバンテージとなっています」(髙橋氏)

 中国から日本へのインバウンドマーケティングを考える際、バイドゥが「検索」「旅行」「O2O」に強いことは把握しておきたい。

モバイル対応を整備し中国市場進出に備える

 中国のインターネットユーザーが6億8,800万人(2015年末、CNNIC調査)とされる中で、バイドゥの検索エンジンにおけるシェアは80%を超え、中国国内ではダントツの浸透率を誇る。髙橋氏は「旅行前の中国ユーザーに着目すると同媒体の影響力の強さがわかりやすい」と語る。

 「多くのバイドゥユーザーの海外旅行検討期間が約2、3ヶ月で、その間の平均検索回数は34回という調査結果が出ています。熱心な旅行ユーザーであれば、もっとインパクトのある数値でバイドゥが使われているので、インフィード広告が中国市場に向けた有効なアプローチになると考えます」(髙橋氏)

 中国から見た日本は、安全や信頼性に裏打ちされたサービスや商品力に期待するところが大きいだろう。逆に日本から中国を見ると、広大な市場が最大の魅力である。実際、さまざまな業種の日本企業が中国への越境ECを試みている中で、そもそも中国メディアを席巻するバイドゥでどう施策を打てるかが、成果を引き出す打ち手の一つではないだろうか。

 「今回のインフィード広告の登場で確実に言えることは、出稿企業が増えて競争が激しくなる前に取り組む、特に提供開始時がチャンスと言えます。

 また、出稿する際、中国語のスマートフォンに最適化されたサイトやLPを用意すべきですね。アプリが必須とまでは思いませんが、まずはWebサイトの整備を行っておくと、他社との差別化やアドバンテージが得られやすいでしょう」(髙橋氏)

リリース初月からマネタイズの手応えあり

 現在、多くの日本企業がインフィード広告に敏感となり、バイドゥに問い合わせが増えていると髙橋氏は語る。今後、バイドゥのインフィード広告への認知が高まるにつれ、その数はさらに伸びてくるはずだ。

インフィード広告掲載イメージ(赤枠内が広告)

 「ローンチ月初の実績も好調で、マネタイズの手応えは中国側でも強く持っています。手机百度(Baidu Mobile)の1日のアクティブユーザーが1.2億人という点も後押しの材料になります。日本のみなさんにも、なじみのあるアドネットワークに近い管理画面で操作できるので、違和感なく活用いただけると思います」(髙橋氏)

 今まで触れてこなかったサービスに対して不安を感じる人は多いはず。しかし、バイドゥの広告管理画面は、日本で提供されている各種広告の管理画面と類似したUIのため、簡単に操作できる。

バイドゥの広告管理画面例

強大な三つのメディアに配信

 そして、バイドゥのインフィード広告は、現段階では主に三つのメディアに対し配信することができる。

・モバイル版のアプリ(手机百度/Baidu Mobile)

・モバイル版のブラウザ(百度浏览器/Baidu Browser)

・モバイル版のファンサイト(百度贴吧/Baidu Fans)

 「中国人の大半はモバイル版のアプリを使って検索します。初めて持った携帯電話がスマートフォンというユーザーが多く、アプリの利用に対する抵抗感が日本よりも低いためです。1日60億PV以上の膨大なインプレッションからアドネットワークとほぼ同じ条件で出稿ができるのも魅力だと思います。

手机百度/Baidu Mobileのトップ画面

 ファンサイトについては、約2,700万のコミュニティが存在し、1日のPVは約35億になります。アプリやブラウザに比べ、旅行や自動車、生活といった多数のテーマ別に広告の出し分けが可能なので、効率よく訴求ができます」(髙橋氏)

 こうした場を活かしてインフィード広告の配信を行うと、中国からの訪日旅行者への効果的な訴求につながる。

 「例えば、日本に来たものの、妻の買い物に付き合わされ飽きてきた夫が、暇つぶしにスマートフォンを触り始め、バイドゥを利用するといったシーンは十分考えられます。その際に、日本の滞在者という制限をつけて、配信をすることでまさにこれから出かけよう、買い物をしようというユーザーにアプローチすることが可能です」(髙橋氏)

中国事情を反映した、ターゲティング機能の活用

 ここまでバイドゥの媒体特性やインフィード広告の掲載先などを確認してきた。この他に、読者が気にするのは、ターゲティング機能だろう。

 「バイドゥのインフィード広告では、主に検索やサイト訪問履歴をもとにしたリターゲティング配信、興味関心をもとにセグメントするインタレスト配信、テーマ単位で選別されたサイト群に配信できるカテゴリー配信が可能です。

 例えば検索履歴を活用したリターゲティングの場合、30日間の追跡期間内で、“日本 旅行”と検索したユーザーに対して、来客や購買を促す広告を配信することができます」(髙橋氏)

 そして、ターゲティング機能を活用する場合、中国市場特有の事情も考慮すべきと髙橋氏は補足する。

 「中国は1978年以降の改革開放によって、徐々に市場経済へと移行しています。つまり、1978年以前は貧しかったという背景があるので、日本のように高齢層だから貯蓄が多いという状況ではないのです。若年層から40歳代までが現実的に広告配信のボリュームゾーンになりますし、この層が両親の旅費の負担や品物の購入もします。」(髙橋氏)

ヤフーとの提携で、中国進出を一般化する

 続いて、提供開始から約3ヶ月間における配信実績を質問したところ、カテゴリーやジャンルによる違いはあるものの、平均CTRは中国では1%から高いと4%だという。中には、ECサイトの商品が1ヶ月間で1万セット売れた、自動車サイトの平均滞在時間が5分を超えたなど、効果の高い事例が数多く出てきたという。

 高橋氏は続けて、潜在層に対する露出を目的としてインフィード広告を活用するケースが目立っていると語った。

 「特にメーカーさんは、インバウンドマーケティングと越境ECの両方を展開するケースが多く、クチコミを大切にしています。その点で、潜在層に気づきを与えるインフィード広告は、クチコミの醸成に大きな役割を果たすと思います。ただ、クチコミの内容に影響を及ぼす分、クリエイティブも日本語の単純な翻訳ではなく、中国ユーザーに合わせた、中国の実情に寄り添ったテキスト、画像にする必要があります。

 さらに、旅行前のユーザーに購買喚起するようなアプローチにも活用できます。サイクルが長い欧米系の商品とは違い、日本の商品は季節ごとでパッケージやバリエーションが変わるサイクルの短い商品が多い。最新商品に関する情報をインフィード広告で十分に伝えておき、現地(日本)で購入という流れに誘導できたらベストですね」(髙橋氏)

 改めて、2016年後半にあったバイドゥとヤフーの提携は、2017年以降、国内企業が中国市場で新たなビジネスチャンスを模索するきっかけとなりそうだ。

 「まだまだ国内のマーケターの皆様に、バイドゥがどういった媒体なのか知られていない。その点をヤフーさんとのパートナーシップによって変えていきたいですね。市場のポテンシャルは確かですので、安心安全、技術力を担保した状態で広告主が出稿できるようにしつつ、セールスに注力していきたいと思います」(髙橋氏)

この記事は参考になりましたか?

  • Facebook
  • X
  • Pocket
  • note
関連リンク
この記事の著者

遠藤 義浩(エンドウ ヨシヒロ)

 フリーランスの編集者/ライター。奈良県生まれ、東京都在住。雑誌『Web Designing』(マイナビ出版)の常駐編集者などを経てフリーに。Web、デジタルマーケティング分野の媒体での編集/執筆、オウンドメディアのコンテンツ制作などに携わる。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

この記事は参考になりましたか?

この記事をシェア

MarkeZine(マーケジン)
2017/02/08 10:00 https://markezine.jp/article/detail/25843