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デジタル化で変化する交通広告~キリンビバレッジが取り組んだ 駅×Twitterサンプリング施策とは?

 キリンビバレッジは、同社ブランドの缶コーヒー「FIRE」のキャンペーンにおいて、JR東日本リテールネットが駅構内のNewDaysで展開するデジタルサイネージとジェイアール東日本企画の交通広告、およびTwitterを掛け合わせた施策を展開した。取り組みの狙いや成果、デジタルサイネージ活用のメリットをキリンビバレッジおよびJR東日本リテールネットに取材した。

駅のデジタルサイネージ×中吊り広告×Twitter

 午後の紅茶、生茶など様々な清涼飲料を製造販売するキリンビバレッジ。今回ご紹介する施策は同社の缶コーヒーFIREが実施した「Twitterで応募!FIRE LUCKY CHALLENGEキャンペーン」だ。これは2017年2月13日から1週間実施されたもので、駅構内に設置されているコンビニで、JR東日本リテールネットが運営する「NewDays」や「KIOSK」に設置されている大型デジタルサイネージ「NewDaysビジョン」・ジェイアール東日本企画の中吊り広告・Twitterを組み合わせた新しいサンプリング施策。

 まず、ユーザーは「NewDays ビジョン」と電車の中吊り広告および、Twitterでキャンペーンを認知する。そして、キリンビバレッジのTwitter公式アカウントをフォローし、キャンペーンツイートをリツイートすることで、キャンペーンに参加する。参加者の中から合計1万名に“キリンファイアエクストリームブレンド185g缶”が当たる、というもの。

 当選したユーザーには、当選チケットをダウンロードできるDMが送られ、それを最寄りのNewDaysで提示すると、商品を受け取ることができる。つまり、首都圏において圧倒的なリーチを期待できるJR東日本の電車内広告、NewDaysビジョン、NewDays店舗が連携することで、商品認知からサンプリングまでをワンストップで実現させたわけだ。またサンプリングにとどまらず、Twitterによる情報拡散やフォロワー拡大、参加者へのリターゲティング広告への活用を可能にした。

限られた告知にもかかわらず、当選倍率は3.4倍

 「Twitterとの連動キャンペーンは弊社とジェイアール東日本企画が2016年11月に協力して行うことを決めた初の取り組みでした。前例がない状況で、キリンビバレッジ様が果敢にチャレンジしてくださいました」と、JR東日本リテールネット 営業本部サイネージブロジェクト担当課長の石井紀哉氏は語る。

 では、キャンペーンの狙いは何か? 交通媒体のバイイングに携わり、今回のキャンペーンの担当者でもあるキリンビバレッジ マーケティング本部マーケティング部企画担当主任 木暮和樹氏は次のように語る。

 「対象商品であるFIREエクストリームブレンドは、2016年10月に、突き抜けた香ばしさをテーマに発売を開始した商品です。アンケート調査で89%の方が“香ばしくて驚いた!”と回答されており、当社でも自信を持っている美味しさです。

 私たちが広告で美味しいですよと伝えることも重要ですが、体験していただくことが商品の良さを知っていただく一番の近道だと思います。実際にこの香ばしさをできるだけ多くのお客様に試していただきたい、と考えたとき電車の中で認知して、NewDaysの前で流れる映像を見て実際に店舗に行ってみるという流れは自然だと思いました」(木暮氏)

 結果、当選者1万人に対して、応募は3.4万人以上にのぼった。キャンペーンの告知はTwitterと電車・駅だけだという。「リーチ数が予想外だったので、非常に驚きました」(木暮氏)

ほしいと思った瞬間に入店して購入できる

 実際に取り組んでみてNewDays ビジョンには他のデジタルサイネージにはない強みがあると木暮氏は感じているという。

 「従来であれば、お店にサイネージがついているという考え方ですが、NewDays ビジョンはサイネージにお店がついている。お客様はサイネージの情報を見て、ほしいと思ったらすぐに商品を買えるのです。この環境は素晴らしいですね。私たちはメーカーですから、広告で商品の認知度を上げることも大切ですが、最終的には商品を手に取っていただきたい。認知から購入までを短くできる点は大きなメリットだと思います」(木暮氏)

 交通広告のデジタル化の流れは、これからも加速していくと考えられる。その状況で、駅という人が多く集まる場所でデジタルとリアル店舗をつなげられる意味は大きい。

既存媒体に無かった新たな魅力とは?

 「NewDays ビジョン設置の目的は大きく二つあります。一つは今回のキャンペーンで行ったような店頭に並んでいる商品のアピール。もう一つがJR東日本の駅における圧倒的な流動を活用した広告媒体としての利用です」(石井氏)

 NewDays ビジョンは現在進行形で設置場所が増えており、2017年4月には71駅140面で展開される。広域設置によるネットワーク発信を行えば1日に約900万人が媒体の前を通行する計算だ。

 「2017年内に200面を目標に増設中です。さらに駅という場所柄、日常的に駅を使用する人も多いため、出稿期間に何度も情報に触れる機会があります。。そのため保険などのサービスを提供する企業様にもご活用いただいています」(石井氏)

 「広告を出すなら、より多くの方に見ていただきたい。駅という生活に溶け込んでいる場所で、自然に情報を受け取っていただける点は大きいと思います」と木暮氏。実際に、本キャンペーン期間中にキリンビバレッジのTwitter公式アカウントのフォロワーは1万人ほど増えたという。

 さらに音も流せるため、クライアントが保有するテレビCMをそのまま活用できる点や、音楽や俳優のセリフを重視したエンタメコンテンツのPRにも有用だ。「今回はキャンペーン専用のクリエイティブを制作しましたが、テレビでは届かない人々へのメッセージングにも期待できます」と木暮氏は語る。

 「テレビCMは限られた時間でブランドのメッセージを凝縮したもの。訴求力はあると考えています。ですが、例えば私たち社会人は勤務時間中にテレビを見ることはありません。その点、NewDays ビジョンならそのような方々の目にも入ります。テレビCMを補完できるのではないでしょうか」(木暮氏)

放映した商品の売上動向で効果検証

 今後も、NewDays ビジョンを活用していきたいと木暮氏は意欲を見せる。

 「このキャンペーンは流通を担当する営業など、社内からも好評でした。今回のプロジェクトは新たな挑戦としてスピーディーに進めましたが。次はより多くの関係者の皆さんとじっくり準備して、より大きな結果を出したいと思います。

 先程触れたようにNewDays ビジョンは売り場とサイネージが近いため、効果検証がしやすい媒体だと思います。そこに非常に大きな可能性を感じました。販売データと広告の関係や、駅ごとでの効果の違いを見ていけるのではないでしょうか。

 単純に多くの面に出稿して終わり、ではなくて、売上にどれだけ寄与できたのかを考えられる交通広告。それをどう使えば、より効果が得られるのかしっかりと考え、さらにNewDaysさんでの売上にもつながる方法を探っていきたいですね」(木暮氏)

 まだまだ始まったばかりの取り組み。JR東日本リテールネットと、キリンビバレッジがどのようにこの新たな交通媒体を活用を展開していくのか、注目していきたい。

●NewDays ビジョンの詳細が気になる場合は……
本記事のキリンビバレッジの施策は、ネットワークセット38駅73面での放映でしたが、他にも地域密着型の単駅、1社貸切りのスペシャルビジョンの合計3つのメニューがあります。2017年4月から140面に拡大するNewDays ビジョンの詳細は特設サイトをご確認ください!

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この記事の著者

東城 ノエル(トウジョウ ノエル)

フリーランスエディター・ライター 出版社での雑誌編集を経て、大手化粧品メーカーで編集ライター&ECサイト立ち上げなどを経験して独立。現在は、Webや雑誌を中心に執筆中。美容、旅行、アート、女性の働き方、子育て関連も守備範囲。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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MarkeZine(マーケジン)
2017/06/27 16:09 https://markezine.jp/article/detail/26225