他社事例を鵜呑みにすると失敗する
クリエイティブのリニューアルにおける各アクションのポイントについて、いくつか詳しく見ていこう。
部分最適化は比較的取り組みやすい施策のため、「ここを変えてみたらどうだろう」と闇雲にA/Bテストを繰り返す企業もある。だが、これだと手間ばかりかかり、逆に効率が悪くなる。こうした事態を避けるため、金子氏は「配信結果やデータをもとに仮説を立て、最適化するポイントをしぼることです」と注意する。
また部分最適化を成功させるには、もう1つ意外な注意事項があるという。それは「他社の事例をそのまま鵜呑みにしない」ということだ。他社でうまくいった部分最適化の手法が、自社でもうまくいくとは限らない。業種や商材が違えば配信対象者も違うし、そもそもメールの目的が異なるという例も多い。「他社事例を参考にする際は、まず自社のターゲットの特性をデータでみきわめてから、他社の手法で目的を達成できるか検討することがポイントです」と金子氏は語る。
さて、ダイナミックなリニューアル施策といえば、原稿形式のリニューアルだろう。大切なのは、周囲の状況に流されず、自社のユーザーの環境に合わせて柔軟に対応していくことだ。たとえばスマホで閲覧するユーザーの割合が増えたのであれば、レスポンシブメールなどスマートフォン対応することでクリックの誘導が期待できる。
また、テキストメールからHTMLに変更する最大のメリットは、ファーストビューで訴求できる情報量が圧倒的に増えることだ。文字だけだと埋もれがちなメッセージも、表現力豊かなHTMLでアイキャッチを作ることで、ユーザーに伝わりやすくなる。
ある海外旅行保険会社の事例を紹介しよう。この会社は契約者向けに保険料の支払いを促すフォローメールを送っていたが、契約者が「契約は完了している」と誤解して保険料を払いそびれるケースが多発していた。そこで、フォローメールをテキストメールからHTMLメールにリニューアルして、「まだご契約は成立していません」というメッセージを大きく表示する仕様にしたところ、未払い率が30%低下したという。
フルリニューアルは「振り返り」ができるように指標を決めておく
コンテンツ変更には、二つの方法がある。一つはコンテンツの追加、もう一つはコンテンツの整理だ。ここではコンテンツの整理について詳しく説明したい。
メールのコンテンツはほうっておくと、どんどん増えていってしまう。特に、Webサイトのコンテンツが増えたからといって、メールのコンテンツを際限なく追加していると、ユーザーに重要なメッセージが伝わりにくくなり悪影響が大きい。
また、ついつい似たようなコンテンツを続けてしまう失敗例も多い。たとえば、「今月のおすすめ」「今が旬!」「今月イチオシ!」などと重複したコンテンツが続くと、ユーザーにうっとうしがられる。社内の感覚では異なる性質のコンテンツを並べているつもりでも、ユーザーから見ると似通ったコンテンツが続いていることも多いので、注意が必要だ。
こうした事態を防ぐため、自社のメール施策の課題・目的によって、ふさわしいコンテンツを厳選すると、効果につながりやすい。「『おすすめ商品情報』は売上向上やクロスセル・アップセル向け、『ユーザーボイスや事例』はブランディングや満足度向上、などと各コンテンツの特性を理解し、必要なコンテンツを選び取ることが必要です」と金子氏は語る。
フルリニューアルに関しては、形式・コンテンツ・デザインを総合的に改善することで大きな効果が期待できる反面、より多くの時間とコストが必要になる。また、複数のポイントで変更を行うと、どのポイントがよかったかの効果検証が難しくなりがちだ。「リニューアルで取り組む課題を明確にして修正するポイントの優先順位を決めることと、リニューアル後の振り返りのために指標を定めることが大切です」(金子氏)
最後に金子氏は、「スケジュールはもちろん、どのようなリニューアルが効果的か、効果検証をどう行うべきかなどについて、チーターデジタルはいつでもご相談に応じます」と述べ、講演を締めくくった。
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