初めまして。コミュニティマーケティングのコンサルタントをしている松澤亜美と申します。企業や自治体、個人でコミュニティを作りたい、活性化させたい、既存のコミュニティとつながって広げたい!という方へ向けてコンサルティング活動をしています。
この連載では、LunchTripというイベントコミュニティの運営や、Pinterest Japanでのコミュニティマネージャー、アディダス ジャパンでのブランドマネージャーを務めた経験からコミュニティマーケティングのノウハウを紹介できればと思います。第1回目の本記事でコミュニティマーケティングとは何かをお伝えします。そして次回からは、成功している企業の取り組みを紹介していきます。
なぜ今、企業にはコミュニティが必要なのか
情報過多の世の中で、ただサービスや商品の情報を渡すだけだと、生活者には受け取ってもらえません。Webの広告をブロックすることができる有料のアプリが最近人気ですが、それほどに企業からの一方的なメッセージはもう毛嫌いされているのです。でも、自分に関連がある情報であれば、生活者に受け取ってもらえます。
友人からはもちろん、自分と同じ興味の人、同じタイプの人、憧れの人から発信される情報、自分と深く関わっている情報だったら積極的に受け取りたいという人が増えています。だからこそ、企業は情報の発信においてより多く生活者を巻き込む必要があります。もはやコミュニティを活用せずに企業が一方的に広告を発信しても、生活者へ企業のメッセージは伝わらない社会になっているのです。
この流れは世界的なものです。ネスレ・ウォーターズのCMOであるアントニオ・シュート氏は、昨年「我々はブランドキャンペーンだけではなく、双方向の対話やコミュニティの育成に取り組み、真に消費者のパートナーになれるように努めている」と話しています。またFacebookのマーク・ザッカバーグCEOは、2017年6月に開催されたコミュニティサミットの中で、「コミュニティづくりを応援し、人と人がより身近になる世界を実現する」を今後10年間におけるFacebookの新しいミッションとして発表し、「世界中を通してコミュニティをつくること」に注力していくことを強調しました。
現代のコミュニティの定義
そして、彼らが発表したミッションを企業で担当するのが、コミュニティマーケター/コミュニティマネージャーです。
日本では、最近やっと聞かれるようになった比較的新しい職種ですが、コミュニティマネージャー=SNSのコンテンツ運営担当という認識を持っている企業がまだ多いのが現状です。まだコミュニティマーケティングの定義が一定ではないと感じています。一方でコミュニティマーケター/コミュニティマネージャーという職務名をつけていなくても、コミュニティを活性化させることでマーケティングに活かしている企業は既にあります。
私が定義する現代のコミュニティは「意図を持って自主的に集まる人々」「一方的ではなく双方向コミュニケーションがある場所」です。実際にどんな種類があるか、これから見ていきましょう。