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ショップジャパンが実践!ブランド施策のROI可視化でソーシャル運用を一新

 近年のデジタルマーケティングの発展により、我々には様々なマーケティングソリューションが与えられている。しかし、パーチェスファネル全体において考えると、まだカバーできていない部分もあるのではないだろうか? 生活者が商品を認知してから購買に向けた行動を起こすまで、どのような意識変化が起きているのか。この意識変化を可視化するアライドアーキテクツのソリューション「ブランドタッチマネージャー」について、同社の村岡弥真人氏と、その導入企業であるオークローンマーケティング(ショップジャパン)の野崎勝弘氏に話を聞いてきた。

マスにもデジタルにも引っかからないユーザー、どうアプローチする?

(左)アライドアーキテクツ株式会社 執行役員 村岡弥真人氏 (右)株式会社オークロンマーケティング 副部長 野崎勝弘氏

(左)アライドアーキテクツ株式会社 執行役員 村岡弥真人氏
(右)株式会社オークローンマーケティング デジタルマーケティング部 副部長 野崎勝弘氏

MZ編集部:初めにオークローンマーケティング様は、ワンダーコアシリーズの腹筋エクササイズマシンなど、マス中心のダイレクトマーケティングに注力されてきた印象があります。そこからソーシャルメディアマーケティングへもフォーカスされることになった理由を教えてください。

野崎氏:テレビ通販のビジネスで我々が培ってきたデータ分析は、確かに強みではあります。しかし昨今は、テレビからデジタルへのシフトが起こっています。さらに、デジタル領域での広告への反応は下降トレンド。当社もデジタル広告を出稿していますが、反応に限界を感じています。

 じゃあ広告に引っかからないお客様にどうアプローチするかを考えたときに、欠かせないのがソーシャルメディアだと考えています。でも、ソーシャルメディアは効果が収益につながるまでのプロセスを可視化しづらい。そこで村岡さんにご相談させていただき、「ブランドタッチマネージャー」をご紹介いただきました。

ソーシャルメディアは収益に貢献できるのか

MZ編集部:オークローンマーケティング様と同じ課題を抱える企業は多いですか?

村岡氏:多いですね。4~5年前は「いいね!」でファンを集めて、FacebookページやTwitterのアカウントをどう盛り上げるかに主眼を置いた施策が主流でした。そこからエンゲージメントやファンとのコミュニケーションへと関心が移り、今では「で、収益への貢献は?」という段階にきている。

 ソーシャルメディアをやるかどうかで迷っている企業はもういないし、皆さんソーシャルメディアが必須で重要な施策だとは理解されている。しかし、なぜどのように重要かについて明確にできていないことが課題です。

MZ編集部:その課題解決のために開発されたのが「ブランドタッチマネージャー」だったんですね。

村岡氏:はい。我々もソーシャルメディアを使ったプロモーションやFacebook運用代行、コンサルなどの支援業務をやらせていただく中で、ソーシャルメディアの意義や単体でROI計測できないことなどを課題として感じていました。

 もう少し具体的にこの課題を説明すると、これまでマーケティングの効果指数は「」で評価されてきました。たとえば、テレビCMの視聴率やWebキャンペーンの参加者数、SNSのファンの数といった静的な効果指標などがそうです。なかでもサイトアクセス数や来店者数など、コンバージョンや購入に近い指標ほど評価されやすい傾向があります。

 ソーシャルメディアが得意とするのは、こうしたコンバージョンに近いアクションが起きるまでの心理的変化を促すことです。しかしこれらは行動データのみを見ていても検知することができない。よってソーシャルメディアの効果は正しく評価されていないのが現状です。

 言い換えれば、コンバージョンに近いアクションが起きるまでの心理的変化や行動の変化を重要視して、定量で評価することができれば、ソーシャルメディアを含むブランド施策のROIを計測できるようになる。「ブランドタッチマネージャー」はこれを実現するためのサービスです。

効率的なマーケティング=適切な歩留まりを保つこと

MZ編集部:では理想的なマーケティングってどのようなものなのでしょうか?

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村岡氏:ターゲット総数から「認知者」「理解者」「意向者」「行動者」「決定者」へと変遷するにつれて、その人数の減り方がなだらかであるほど健全なマーケティングだと考えています。

 従来の施策では、マス施策などを通して商品の「認知」はされているものの、生活者に競合商品との差異を認識されておらず、「理解」以降の人数が激減してしまう「認知依存型」や、アドテクに依存していることにより、認知者は少ないのに最後のコンバージョンだけ異様に高い「販促依存型」などがありました。

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 しかしこれでは、適切な歩留まりを維持できていないが故に、どこかのタイミングで顧客獲得が急激に悪化したり、半永久的に広告投下をし続けないと顧客獲得ができなくなってしまうなど、企業にとって課題の残るマーケティング構造になってしまいます。

 この不健康なマーケティング構造を改善するには、ブランドの「理解」「意向」の規模と割合を引き上げていくことが重要です。結果的に「認知」「決定」の両面に好影響を与えることにもつながるので、長期的なマーケティングを実現するための一番の近道になると考えています。

 そこで、ブランドの「理解」「意向」の規模と割合を引き上げることが、「認知」「決定」の両面に好影響を与え、より長期的なマーケティングにつなげるための一番の近道だと考えています。

MZ編集部:では具体的に、企業は「ブランドタッチマネージャー」の活用で何ができるのでしょうか?

村岡氏:まず、「認知」「理解」「意向」「行動」の4つに分けた、ブランドと生活者の関与レベルをサーベイやソーシャルメディア上の情報から取得してスコア化します。このスコアのことを「ブランドタッチポイント」と呼んでいます。

 このスコアを競合他社と比較し、その推移を追っていくことで導入企業は施策単体ではなく、ファネル全体を通したマーケティング施策の課題を明確化し、ブランド全体を最適化するための方法を検討することが可能になります。

人を軸にしたSNS IDで、心理データ×行動データを実現!

MZ編集部:オークローンマーケティング様が「ブランドタッチマネージャー」を導入した決め手はなんだったのでしょうか?

野崎氏定量的に数字を見ることができること、そこから抽出した課題に対して打ち手が作れること。この2つが大きかったです。あと、静的に数字を見るだけではなく、お客様の心理変化や態度変容を動的に捉えて評価し、使用する媒体を見定めていけることですね。

 従来であれば、FacebookやLINE、Instagram、Twitterといったメディア単体でのユーザー認識はできましたが、それを共通のユーザーIDにして管理することは難しかった。でもアライドアーキテクツさんの施策では、独自のユニークIDに加えユーザーに紐づくサーベイ回答データを取得することができるので、「Facebookでつながっているショップジャパンのファンの人は、オウンドメディア上でこんなアクションを取っていたのか!」というように、人を軸にした様々な情報を管理できることもポイントです。

村岡氏:そうなんです。SNS IDを軸にユーザーを評価しているため、従来のcookieベースでの状態変化調査では実現できなかったユーザー群の定点変化をトラッキングすることができます。これを基に、最初に把握したマーケティングファネル全体に対する課題の原因を特定することで、次に打つ最適な施策とその予算規模を考えることが可能になるのです。費用対効果を見ながら、マーケティングコミュニケーションのPDCAを回すこともできますね。

MZ編集部:導入後、実際に活用してみてどういったところに魅力を感じていますか?

野崎氏:まだ導入したばかりで、今はまだお客様のデータを一元管理していく段階なので、具体的な施策と結果は出ていません。ですが、既に3万人のお客様のデータを「ブランドタッチマネージャー」に落とし込んでいます。そこから心理データと行動データを独自指標でスコア化していくのですが、それを観察していると、お客様のソーシャルメディアの利用状況に関して意外な新発見が沢山ありました。

村岡氏:先ほどのマーケティングの歩留まりでいうと、オークローンマーケティングさんの商品の認知や売上はすごく高い。しかもファンも多いですから、ソーシャルメディアを活用すれば、マーケティングの革命を起こせるのでは?と思っています(笑)。

 たとえば、インフォマーシャル(※)やテレビCMは「これ楽しそう」と理解をしてから購入に至るもの。それは、ソーシャルメディアと同じ流れです。

 だから今までマスで行ってきた表現をいかにソーシャルメディア向きの表現に変えていくかが重要だと思っています。そのために、潜在層を含めたお客様の状態を可視化することで、コミュニケーションをブラッシュアップしていければと考えています。

(※)インフォマーシャル:インフォメーション(information)とコマーシャル(commercial)を合わせた造語で、コマーシャルメッセージの種類。欧米でテレビショッピングのジャンルとして登場した概念。出典:wikipedia

とがった表現のほうが反応が良くなる⁈ ソーシャルメディアの表現の仕方

MZ編集部:なるほど。「表現」はひとつのキーワードですね。マスとソーシャルメディアでは、どのように表現を変えればいいのでしょうか?

野崎氏:マスは広く受け入れてもらえるものを念頭に作成しますが、ソーシャルメディアでは逆にとがった表現のほうが反応や拡散の度合いが高くなります。共感できるというか、自分ごととして認知するというか、よりお客様に近いメッセージングが必要になるでしょうね。

村岡氏:そうですね。企業目線のいかにも広告っぽいクリエイティブはNGです。一発で拒絶されちゃいます。最近では、ユーザーの撮影した画像を承諾をもらって利用した投稿は、一般ユーザーの投稿になじむようなクリエイティブで送客率などの結果が良かったです。

ソーシャルメディアはオウンドメディアと並列して考えていくことが主流になる

MZ編集部:オークローンマーケティング様は、これからどのように「ブランドタッチマネージャー」を活用していきますか?

野崎氏:ショップジャパンという弊社のブランドでは、通販番組からアイテム名を認知して流入してくださる方が多くいます。そういった環境でブランド全体の認知向上施策をすればいいのか、アイテムごとの認知を獲ればいいのかで悩んでいました。

 「ブランドタッチマネージャー」では、サイト側で接点をもったお客様とソーシャルメディアで接点をもったお客様で分けてアンケートが行えます。なので「ショップジャパンというブランドの色を前面に出して運用しているソーシャルメディアから来てくださったお客様と、アイテムの検索でサイトに来てくださったお客様の心理は異なる」という仮設を立ててそれぞれの定点観測をすることで、どんな態度変容が起きているのかを時系列で把握していきたいです。そこからあぶりだした特徴をもとにコンテンツを作っていけば、コミュニケーションが最適化できると考えています。

MZ編集部:最後にソーシャルメディアマーケティングに関して、今後の展望を教えてください。

野崎氏ソーシャルメディアでないと反応しないお客様にも情報を届けること、ソーシャルメディアを活用した一連の施策でエンゲージメントにとどまらず利益を積み上げていくことの2つですね。ソーシャルメディアでしかできないことを意識していきたいです。

村岡氏:これからソーシャルメディアは、オウンドメディアに流入させるためのチャネルではなく、分散型メディアとしてオウンドメディアと並列して考えていくことが主流になるでしょう。こうなると、ユーザーがどこからやって来てどういう特徴をもっていて、接点をもつ度にどんな理解や意向の変化を起こしているのかを、メディアごとに把握することが必要になります。

 ソーシャルメディアがもつ情報と我々のサービスによって提供できる情報をミックスして、お客様のマーケティングをリッチに深めていく。そういったサービスを提供していきたいと考えています。

MZ編集部:ありがとうございました!

「ブランドタッチマネージャー」の詳細はこちらから

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この記事の著者

MarkeZine編集部(マーケジンヘンシュウブ)

デジタルを中心とした広告/マーケティングの最新動向を発信する専門メディアの編集部です。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

東城 ノエル(トウジョウ ノエル)

フリーランスエディター・ライター
出版社での雑誌編集を経て、大手化粧品メーカーで編集ライター&ECサイト立ち上げなどを経験して独立。現在は、Webや雑誌を中心に執筆中。美容、旅行、アート、女性の働き方、子育て関連も守備範囲。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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MarkeZine(マーケジン)
2017/09/05 09:37 https://markezine.jp/article/detail/26945