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ネスレ日本とOath Japanの取り組みに学ぶ、ブランドセーフティ実現に求められること

 昨今、注目を集めているブランドセーフティだが、いかにして自社のブランドを守っていくべきなのだろうか。本記事では、それを先立って推進しているネスレ日本、Oath Japanとの取り組みを紹介する。

その広告、見られるべき場所で見られていますか?

 ネスレ日本の村岡慎太郎氏は、同社の媒体統轄室のユニットマネジャーとして「ネスカフェ アンバサダー」や「キットカット」などのブランドを担当している。媒体統轄室では、どういったメディアで広告配信を行うのが最適か、オフラインとオンラインともにプランニングを行っている。

 一方、6月にAOLプラットフォームズ・ジャパンから社名変更を行ったOath Japanの坂下洋孝氏は、カントリーマネージャーとして同社を統括している。

左:ネスレ日本株式会社 媒体統轄室 ユニットマネジャー 村岡慎太郎氏
右:Oath Japan株式会社 代表取締役 カントリーマネージャー 坂下洋孝氏

 なぜ、今回両社によるインタビューなのか。そのきっかけは2016年7月、ネスレのスイス本社がグローバルのブランドセーフティやビューアビリティ、アドフラウドなどに関するガイドラインを制定したことだった。ネスレ日本では、グローバルのガイドラインに対し、国内でどういった取り組みをすべきか検討し始めたのだが、ブランドセーフティやビューアビリティ、アドフラウドとはそもそも何かという定義を定めていく必要があった。

 「検討し始めた当初は、見られていない広告を減らし、見られる場所に配信を最適化すべき、といった効率論が重視されていました。しかしながら、最近では見られていても、それは正しい場所だったのか、というブランドセーフティに関わる概念のほうが強くなっています。

 当時はビューアビリティやアドフラウド(不正広告)をベースに考えていましたが、今はビューアビリティやアドフラウド(不正広告)に同等もしくはそれ以上に、ブランドセーフティが重要。広告が見られていたとしても、それはブランドにとって良いかどうかを重要視しています」(村岡氏)

 また、国内企業のブランドセーフティに関する事例が少なかったことから、ブランドセーフティの基準を把握するのに苦労していたという。

 「当時は手探りでノーム値を作らなければならず、さらに海外で流行し始めたブランドセーフティという考え方について、社内外で啓蒙しなければなりませんでした」(村岡氏)

信頼できるメディアを選ぶことで、効果を最大化する

 同社がブランドセーフティに対する取り組みを行う中、パートナーの1社として関わっているのがOath Japanだ。同社が選ばれたのは、元々ネスレ日本が「ネスカフェ アンバサダー」の純広告をMSNに出稿しており、ブランドとの親和性の高さを感じる結果が出ていたためだ。

 「MSNのユーザーは、高収入の方や働いている方が多く、「ネスカフェ アンバサダー」がターゲットとする人に近い。さらに、参加するメディアと広告主を限定して広告取引を行うPMPも提供しており、それが我々のブランドセーフティやビューアビリティに対して抱えていた課題の解決につながると考えました」(村岡氏)

 PMPでの配信で重要視したことは、まず同社が重視しているブランドセーフティ、ビューアビリティ、アドフラウドの計測や可視化。その次に他社PMPとの効果の比較、新規セッションの獲得、この3つを軸に施策を展開した。

 「当社は、MSNをはじめ日本マイクロソフトが所有するディスプレイ広告枠の全在庫を独占的に取り扱っているのに加え、TechCrunchなど弊社運営メディアの広告枠での配信も可能なので、まず配信面とオーディエンスともにブランドセーフティを担保できます。さらにPMP配信でPDCAをうまく回していただき、より良い結果を出せるよう支援させていただきました」(坂下氏)

 「実際、ブランドセーフティに対する基準もクリアしている上に新規セッションも多く高評価でした。さらに、ブランドリフトやユーザーの態度変容に関する調査を行ったところ、Oath JapanのPMPがとても貢献していることがわかりました。広告を配信すべき人にきちんと配信できたのだと思います」(村岡氏)

予約型とPMPの併用でリーチとブランドセーフティを両立

 ネスレ日本としては、効果の高いPMPとして評価されているOath JapanのPMPだが、坂下氏はネスレ日本のプランニングがPMPの効果を高めていると語る。

 「ネスレ日本さんの活用の仕方で特徴的なのは、PMPと予約型、2パターンで広告を出稿していただいていることです。PMPと比べて、予約型のほうがインプレッション保証されているため、リーチが取れます。さらに新規ユーザーに注力してアプローチする施策もタグベースでフィルターをかけて行い、テレビCMなどオフラインと統合したメディアプランニングも徹底されています」(坂下氏)

 これに対し、村岡氏は媒体統轄室がオフラインとオンライン問わず担当していることが徹底した取り組みの要因だと明かす。

 「例えば、TVCMとMSN、チラシを掛け合わせて施策を行った時の応募率はどうかなど、様々な媒体をクロスして効果を計りました。その際にテレビとMSNの組み合わせが、応募率、セッション数の増加に寄与していた。TVCMとディスプレイで想起させたことで、応募につなげられたのではと考えています」(村岡氏)

 ちなみに、MSNは数年前から、ビューアビリティの概念を媒体で取り入れている。1ピクセルでも広告が表示されない限りは、広告配信として見なされないが、ここまで取り組んでいる媒体は、まだ数少ないという。

 さらにアドフラウドに関しても同社は対策を行っている。Oath Japanの前身であるAOLプラットフォームズ・ジャパン自体が、アドネットワークからSSPなどを取り扱ってきたこともあり、現在でも150近い媒体社と関わっている。

 その経験を活かし、クライアントのブランドを毀損しないよう、目視とテクノロジーを組み合わせて面やURLを一つ一つチェックし、ネットワークのクオリティを担保している

 「ブランドセーフティ、ビューアビリティ、アドフラウドに関して、Oath Japanさんは、とても理解が深く、プランの提案から計測部分まで密にサポートいただいています。日本ではブランドセーフティに関する取り組みはまだこれからの中で、ノウハウのある企業と取り組みができるのはとてもありがたいです」(村岡氏)

企業がブランドセーフティを進めるためには、それぞれの“定義”が必要

 では、企業がブランドセーフティを進めるコツはなんなのか。村岡氏は「ブランドセーフティは企業によって全く定義が異なるため、実際に取り組みながら基準を作っていくことが重要」と語った。

 これに対しOath Japanはプラットフォーム及びメディア運営も行う立場として、ブランドセーフティを啓発する活動の一環で、6月にJIAA(日本インタラクティブ広告協会)でネットワーク広告部会の座長として任命を受けた。JIAAの監事でもある坂下氏は部会の座長として広告業界におけるブランドセーフティの定義をまとめ始めている。

 「ブランドセーフティといっても、村岡さんがおっしゃるように、ホワイトリストにブラックリスト、違法不法サイト、タイミングによっては一般的なサイトでも非公開になることもあり、定義を確立する必要があります。

 そこでネットワーク広告部会では、その定義、もしくは選択肢の提示を、年内にまとめて会員である250社に提供できるように動いています。本活動は、直接の届先は会員社かもしれませんがブランドセーフティについては広告主のお考えが重要と思います。同部会のコアメンバーには主要なプラットフォームの方が参加しています。この取り組みを通じて代理店、媒体社、プラットフォーマーが広告主様に説明する際に、同じようなマッピングやフレームワークで話せるようになり、ブランドによって基準が違う中でも、より理解いただきやすくなると考えています」(坂下氏)

成果、効率、ブランド価値全てを阻害しない

 多数のブランドを持つネスレ日本でも、現在は社内の啓蒙に取り組んでいる。

 「ブランドセーフティとは何か、そして取り組みを行う意味を担当者に啓蒙しています。ブランドに合うもしくは合わない広告枠の具体例やブランドリフトに関する調査結果などを交えて教えることで理解が進みつつあります。特に計測結果をきちんと見せることで、ブランドセーフティを意識することが効率と効果向上にもつながることを証明しています」(村岡氏)

 ネスレ日本はEC機能を持っていることから、ECのダイレクトレスポンス目的ではCVRとCPO、ブランドコミュニケーションではブランドリフトと態度変容と部署によって重視するKPIが異なる。村岡氏はブランドセーフティをはじめ新しい取り組みを行う時、KPIに対して一時的に数字が悪いことがあっても、この目的は絶対に外さないようにしているという。

 「社内には、“ゴールは社内と同じところを見ているので、今はこのプロセスにいても、ちゃんとゴールに到達する”ということを、コミュニケーションすることが大切ですね。これは最終的な売上を上げるため、そしてブランドリフトをするためなんだということを理解してもらっています」(村岡氏)

PMPと純広告の効果最大化を突き詰める

 最後に、今後の展望について両社に聞いた。坂下氏は自社でメディアを持っている価値や意味を、しっかり訴求していきたいとした。

 「記者や編集者がいて、一つ一つコンテンツを作っていることによる、ブランドや広告の価値をしっかり理解していただきたいです。それがあるからこそ、ブランド保護につながるプラットフォーマーであることが証明できると思います」(坂下氏)

 一方、村岡氏は、1年以内に精度を突き詰めて、各ブランドに合った効果効率の高いPMPを作っていくと同時に、純広告にも目を向けていきたいとした。

 「PMPも重要ですが、配信している中でブランドと親和性の高いメディアに対しては純広告に切り替えていくことで、売上やブランドリフトにつなげたいですね。純広告は比較的ハードルが高めに見られがちですが、コストに対して相応のリターンが期待できるのであれば投資すべきですよね。ですので、PMPの配信結果から、ポテンシャルが高いメディアが見つけて純広告を出稿すれば良いと思います」(村岡氏)

 Oath Japanでは、PMPによって企業にとっての“良い面”が見つかれば、そこを拡充する体制も用意している。

 「我々自身が媒体を運営していますので、メディア単位はもちろん、各広告枠レベルでのパフォーマンスも把握して、より詳細なデータも持っています。さらに商材に対して相性のいいコンテンツを拡充することもできます。これは、我々が編集部という組織を持っているこその強みです」(坂下氏)

 「そのためには、我々もOath Japanさんに結果をもっとフィードバックしていくことが重要ですね。結果を精査して、この面は良くない、もしくは良いから拡張していく、などとPDCAを一緒に回していきたいです」(村岡氏)

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この記事の著者

東城 ノエル(トウジョウ ノエル)

フリーランスエディター・ライター 出版社での雑誌編集を経て、大手化粧品メーカーで編集ライター&ECサイト立ち上げなどを経験して独立。現在は、Webや雑誌を中心に執筆中。美容、旅行、アート、女性の働き方、子育て関連も守備範囲。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2017/10/24 09:00 https://markezine.jp/article/detail/27160