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デジタル変革による「顧客体験の価値向上」が未来のビジネスを作る SAP Hybris Dayレポート

 SAPジャパンは、2017年9月7日(木)に東京・Nagatacho GRIDにて、「SAP Hybris Day 2017 Beyond CRM ~ 個とオムニチャネル、マーケティングとコマースを考える ~」を開催した。本記事では、パラディウム ホテル グループやB2B企業の事例、三陽商会のセッションレポートをお届けする。

データで最高のカスタマーエクスペリエンスを提供する
パラディウム ホテル グループのデジタルトランスフォーメーション

 ひとつめの事例セッションには、イビサ島にあるウシュアイア イビザ ビーチ ホテルなどで知られる、スペインのパラディウム ホテル グループにおいて、マーケティング ディレクターを務めるイニャキ・バウ氏が登壇。同社が掲げるデジタルトランスフォーメーションについて、それに「SAP Hybris Marketing Cloud」をどのように活用しているかについて講演した。

パラディウム ホテル グループ マーケティング ディレクター イニャキ・バウ氏

 イニャキ氏は、2012年に同グループに入社。グローバルなマーケティング戦略を立て、すべてを総括する立場にある。「お客様の体験(エクスペリエンス)を最高のものにする」を掲げ、テクノロジーや人材を採用し、企業風土を変えてきた。それにより同グループは、市場の一歩先を行き、成長を続けている。

 顧客の新しいニーズには、新たなブランドの投入によって応える。その成功例が、2012年にイビサ島にオープンした、ウシュアイア イビザ ビーチ ホテルだ。小さい島ながら年間600万人が訪れる名所で、観光客はビーチはもちろん、音楽やファッションなどのカルチャーを楽しみに来ていると言う。

 しかしながら10年ほど前のイビサ島は、観光地としては荒廃していた。それをイニャキ氏は、「お客様に最高の体験を」の視点から、まったく新しいものに変えることにした。代表的な施策として、3万平方メートルのアミューズメントパークを作り、毎日エレクトリックミュージックのパーティーを楽しめるようにしたことがある。また同グループではじめてのオンライン体験の提供も取り入れ、FacebookやInstagram、デジタルサイネージを活用するほか、指紋認証で支払いができるようにしている。「カスタマーエクスペリエンスの宝庫となったわけです」(イニャキ氏)。こうして、イニャキ氏は、荒廃した観光地だったイビサ島自体を変え、結果として同グループの新しいホテル事業も成功に導いたわけだ。

 「なぜ、私たちがここまで、カスタマーエクスペリエンスを重要視するのか。それは、より顧客ごと、パーソナライズなエクスペリエンスを提供できると、顧客満足度が上がるということが実証されているからです」

 顧客満足度が上がれば、他のブランドに目移りせず、使い続けてもらえる。すると廃棄率が減り、顧客コストをさらに下げることが可能になる。さらに、自発的にほかの顧客に勧めてくれるようになり、新たな顧客を連れてきてくれる。ホテルの経営そのものを健全に維持することができるわけだ。

 顧客満足度を上げるには、顧客が何を望んでいるかを知ること。知るためには、デジタルトランスフォーメーションが不可欠だとイニャキ氏は語る。

 「全世界の人口の55%がデジタルネイティブだと言われています。彼らはモバイルフォンを持つことで、情報への強いアクセス権を持ち、意思決定能力を高めている。一方で、ブランドとつながっていたいと感じている。ホテルに関する検索の50%がモバイルで行われている、この現実が重要なのです」

 デジタルトランスフォーメーションを実現するべく、社内では、人事、IT、財務、マーケティング、オペレーション部門の間で戦略的なパートナーシップを構築。新たなビジョンを打ち立て、それをベースに各部門のテクノロジーへの理解を進めてきた。そんな中、イニャキ氏は「データの質を変えたい」という思いに至る。

 「たとえば、今目の前にいるお客様が、リピーターかそうでないか。リピーターならば前回の滞在で楽しんでいただけたかどうか。そういったことがリアルタイムにわかれば、より革新的でクリエイティブなサービスを提供することができるようになります。そのためには、360度、1つひとつのタッチポイントにおけるデータを、ひとつのプラットフォームで得ることが重要なのです」

 それを実現するべく、イニャキ氏が採用したのが「SAP Hybris Marketing Cloud」だった。「我々の閉じた目を、SAP Hybrisが開いてくれた」と評する。

 「SAP Hybrisとデータのおかげで、顧客を360度理解できるようになった。LTVの高い顧客を見つけ、利益を高める。個別のお客様にとってより親しいチャネルを選び、すべてのデバイスで、リアルタイムに顧客とコミュニケーションが行える。顧客がマーケティングキャンペーンにどう反応しているかを把握することで、アノニマスデータから高価値のブランドアドボケイトに発展させる。こうしたことが今、実行できています」

 イニャキ氏は、とくにマーケティング部門の進む方向性として、「よりアナリティカルな方向に注力する」と規定。それは、すべての企業がAppleやAmazonのようなデータビジネスを行う企業に変わっていくべきだと考えているからだ。

 「今日のお客様は企業に、もっと自分を理解してほしいと思っています。それは難しいことではありません。小さなことを、すばらしく良く行うのです。それによって、ユニークな顧客体験を提供できるようになります」

 その具体例として、VRレストランやイビサ島での新たな取り組みを紹介し、講演を締めくくった。

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この記事の著者

倭田 須美恵(ワダ スミエ)

2013年11月11日、ECzine立ち上げ。ならではの視点でECに関する情報をお届けしたいと思います。●外部メディアに登場! ・[動画]ネットショップ運営実践会「ECzine倭田さん×井藤対談」[動画]ECみらい会議vol.2「プラットフォーム乱立時代!EC事業者の選択と集中を考えよう」[登壇]BASE主催「ネットショップフェスタ2014」[登壇]MarkeZine主催「MarkeZine Day 2015 Spring」[執筆]NP通信●ソーシャルメディア ・FacebookGoogle+

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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MarkeZine(マーケジン)
2017/10/13 11:00 https://markezine.jp/article/detail/27206

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