存在感を見せる日本市場、西日本エリアでも大きく伸長
セミナー開始冒頭、広告事業担当本部長の味澤将宏氏が登壇。Twitterの市場状況と事業戦略が語られた。
日本におけるTwitterのMAUは4,000万(2017年10月27日時点で4,500万に更新された)。グローバル全体の広告売上に占める日本の割合も非常に高く、重要なマーケットだ。西日本エリアの広告売上も、大阪にオフィスを設立した1年半の間に4倍の伸びがあったという。
若い層が中心のSNSというイメージを持たれるが、30代以上の比率は全体の約5割。そこでの利用者層はビジネスパーソンが最も多く、幅広い展開のできる広告メディアとなっている。
味澤氏はTwitter利用者の大きな特徴として「何が起きているか知りたいというディスカバリーマインドを持っている」と語り、「Twitterを活用したマーケティングの価値は、広告主の皆さんも含めたすべての人たちが話題を生み出せること」だと説明する。
そんなTwitterが今後注力していくのは、動画広告のソリューションだ。
ダイレクトレスポンス領域で高いパフォーマンスが期待できるビデオアプリカードは、広告仕様がアップデートされて大きくCTRが改善された。また、新しい広告クリエイティブフォーマットであるビデオウェブサイトカードを利用することで、動画の視聴を促しながらもサイトへ誘導することが可能になった。これにより動画クリエイティブを利用したウェブサイト誘導キャンペーンのパフォーマンスをより一層向上させている。
さらにブランディング領域では、動画コンテンツの配信が軸となる。ライブ配信やスポンサーシップのほか、インストリーム動画広告も登場した。これはプレミアムコンテンツパートナーによる動画コンテンツ内に動画広告を配信できるものだ。
「今後も、ニーズや市場の動きに合わせてプロダクト開発に注力していきます」と味澤氏は意欲を見せる。
「会話」の量と質をブランディングに活用
続いて登壇したのは、ブランドストラテジー・マネージャーの橋本昇平氏だ。
Twitterの特性は「リアルタイム性」と「等身大の意見が多く、利用者間で会話が生まれること」だと語る橋本氏。「会話」量と質に着目し、ブランドイメージを強化するために、カンバセーション・マーケティングを実施しない手はないと強調する。
Twitterにおけるカンバセーション・マーケティングのポイントは、「Twitter上の会話を持続させるために、ターゲットがツイートしたいと思うモチベーションを創りだすこと」だという。
たとえば新商品の発売キャンペーンであれば、発売日の前からプロモーションを実施。キャンペーン中も、ターゲットの盛り上がりを継続させるしかけが必要であると話した。
マス広告だけでは取れない層へのリーチ拡大を狙う、パナソニックのチャレンジ
では、ブランディングにおけるTwitter活用として具体的にどのようなことができるだろうか? パナソニックの事例を紹介したい。
自身もプライベートではTwitterで知り合った母親同士のオフ会に参加し、利用者としてTwitterのおもしろさを感じているという上野氏。2016年9月からオウンドメディア『すむすむ』の公式Twitterアカウント(@sumai_panasonic)を開設・運用している。
消費者が情報検索ツールとしても活用しているSNSで住まい関連情報を発信することで、「Panasonic=住まい」の認知を向上させるとともに、オウンドメディアとしてプロモーション活用や誘客、ユーザーとの双方向コミュニケーションを図ることが目的だ。
そこで、「オウンドメディアの価値向上」・「SNSの効果的な運用方法」・「生活者の声を集め商品化につなげる」の3点を意識した施策を実施している。
たとえば、テレビCMと連動したTwitterキャンペーンでは、雑誌のようなクリエイティブやアンケートを使ったプレゼント企画など、利用者が公式アカウントへリプライをしてみたくなる仕掛けを取り入れた。
\ #スキマのないトイレ /フォロー&RTキャンペーン実施中!
— Panasonicの「すむすむ」 (@sumai_panasonic) 2017年1月25日
フォローしてこの投稿をRTするだけ!抽選で30名様に「おしりにも汚れるスキをあたえない」おしりセレブセットをプレゼント!https://t.co/DrI1DreRRf pic.twitter.com/8vHNf144Ip
「Twitterに期待することは、マス広告だけでは取りきれない層へのリーチ拡大です。『すむすむ』は新しいメディアなので、売上やブランドの認知に影響をしているのかという成果は問われます。評価指標は検討しながらですが、主にリーチとツイート数、シェア数をKPIとしています」と語る上野氏。この取り組みではフォロワーを増やすのではなく、会話が生まれることを軸にコミュニケーションが設計された。
料理動画メディア「Tastemade」ともコラボレーションを実施している。この取り組みでの訴求商材は、IHのクッキングヒーターだ。これまでシニア世代をターゲットとしていたが、住宅購入などでライフスタイルが変わる30〜40代にもプロモーションを行った。
「TastemadeさんにIHクッキングヒーターを使うレシピと、動画を作っていただきました。ビデオウェブサイトカードで配信し『レシピの料理を作ったらツイートしてね』という会話が生まれるようなテキストも入れています。Tastemadeの世界観を通し、IHクッキングヒーターをご紹介いただいたことが良かったと感じています」(上野氏)
【グリルでぐつぐつ】こんがりサバの黒こしょう炊き込みご飯
— テイストメイド ジャパン (@Tastemade_japan) 2017年6月21日
美味しそうと思ったらリツイート
レシピはこちらhttps://t.co/wWn9dwq02y
#PR #Panasonic #ラクッキングリル pic.twitter.com/LGNgabbuWK
さらにプロモライブビデオにもチャレンジ。上野氏がスマートフォンのカメラを回し、同社が出展する照明器具の展示会の様子を配信した。この試みではリアルタイムで200名近い利用者が視聴している。
積極的にTwitterを活用しているパナソニック。「まずは低コストで行い、事例を積み重ねることです。実績を作ることで、Twitterの良さが社内で理解していただけるようになります」と上野氏はアドバイスする。
今後はリアルとTwitterを連動させたキャンペーンを行いたいと考えているという。リアルの場で体験した共感を、SNSで広めたい狙いだ。
また「マス広告・イベントありきのキャンペーンのサポートとしてTwitterを利用するのではなく、Twitterを中心とする企画にも挑戦していきたい」と語り、セッションを終えた。
Twitter直伝!ダイレクトレスポンス広告の成果をあげるノウハウ
セミナーの後半は、ダイレクトレスポンス(以下、DR)広告を効率的に実施するノウハウと、オルビスによる事例紹介が行われた。
Twitterの説明によると、広告配信量を決めるTwitterのオークションロジックは、入札額とCTRからなるアドスコアが影響している。スコアが高いと配信量が増え、CPCが安くなるのだ。
DRを成功に導くには、このオークションロジックに基づいて対策を練っていく必要がある。その中でも工夫すべきポイントはクリエイティブのデザインであり、Twitter利用者が受け入れやすい広告はどんなものかという文脈を考えることが重要となる。表示領域の広さを活用したインパクトのある画像や、商品画像を並べ情報量を増やしたデザインに高い成果が見られるという。
新規獲得の主力メディアとして欠かせない! ORBIS流のTwitter活用法
続いて、DR広告の活用事例を紹介したのはオルビスだ。同社は化粧品や健康食品などの通信販売事業を展開する。
「SNSは新規顧客獲得の主要メディアです。低いCPO(Cost Per Order)でロイヤリティの高い顧客を獲得し、人肌感のあるコミュニケーションを意識しています」と話すのは、新規獲得をミッションとする前田創一朗氏だ。
オルビスは2012年にTwitterの公式アカウント(@ORBIS_JP)を開設し、2014年にはプロモツイートをスタートした。しかし、獲得効率の悪化を理由に2016年にTwitterの出稿を一度止めている。
そして、Twitter広告プロダクトのアップデートを受けて2017年8月に再チャレンジを行った。
「プロモツイートを停止した2016年と比べ、新規の獲得人数は600倍、受注1件あたりのコストであるCPOは20%という結果になりました。他のアドネットワークやプロダクトと比較しても、2分の1の効率で成果を上げる事に成功しました。」(前田氏)
果たしてオルビスは何を実施したのか?
前田氏は「商材の絞り込み」「クリエイティブ制作体制の強化」「Twitter内の好循環サイクル」の3点をあげる。
2016年までの出稿では様々な商材を扱い、クリエイティブは自社で細かくチェックし運用していた。しかし、クリエイティブの数もアイデアの方向性も限られたものになってしまい、しまいにはクリエイティブの疲弊に制作が追いつかない状態になってしまっていたという。そこで今回は注力商品を一点に絞り、クリエイティブ制作も外部に委任する協力体制を敷いた。
アクティブサポートで顧客と良好な関係を構築
「Twitter内の好循環サイクル」とは、利用者との友好的な関係を指す。オルビスにはプロモツイート配信後、Twitter利用者からの商材に関するツイート数が自然と増える傾向がある。また広告を通して購入した顧客が、届いた商品の画像を添付した口コミをツイートするケースもあった。
この好循環サイクルを支えるのが、2014年からスタートしたアクティブサポートだ。アクティブサポートとは、顧客(または顧客候補)への能動的なアクションを起こす取り組みのことをいう。
たとえば「オルビスの商品をプレゼントした」というツイートを見かけたら、リプライでお礼を伝える。「商品が届かない」というツイートに対しては、サポートを申し出るといった対応だ。
アクティブサポートは、あくまで顧客のためのコミュニケーションが目的である。そのため、「売り込みをしない」「適度な距離感を保つ」「日常的な好感度を高めることを意識する」という3点を運営の姿勢としている。
「日頃からお客様の声に耳を傾け、経験を重ねることで距離感はつかめてきます。また、お客様の声のなかには広告クリエイティブに対するものもあり、改善につながる例もあります」(前田氏)
今回の成功を受け、オルビスでは新規獲得の主力メディアとしてTwitterを活用していきたいという。前田氏は「Twitterは一瞬の瞬発力と横に広がる拡散能力の高さが魅力的です。大型のプロモーションでは、PRや他プロダクトと掛け合わせて相乗効果を狙いたい」と語った。エンゲージメントを深め、顧客との距離を近づけるコミュニケーションツールとして活用したいという期待がうかがえる。
ボリュームのあるセミナーとなった#Twitter4Osaka。今後もTwitter Japanは、西日本エリアのビジネスをはじめ、マーケティングを積極的にサポートしていく。