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VUI(音声インターフェイス)の最前線

ブランド広告主のための音声アプリの作り方 「アプリの人格」「毎日使う仕組み作り」を工夫しよう

 2017年は、Google HomeやAmazon Echo(Alexa)、LINEのClova Friendsとスマートスピーカーが数多く登場した。そのような動きに先駆け、WHITEは音声インターフェイス(VUI)のUXデザイン専門組織を設立。Google Home日本版販売に合わせ、2つのオリジナル音声アプリをリリースした。その担当者であるプランナーの伊東春菜氏とエンジニアの國原秀洋氏に、音声アプリ開発のポイントやVUIの考え方について話をうかがう。

音声アプリのペルソナ設定が、心地よいユーザー体験を生む

――WHITEはGoogle Home日本版のリリースに合わせ、ローンチパートナーとして『日本史語呂合わせ』と『絶対音感オーケストラ』の2つの音声アプリをリリースされました。それぞれの特徴を教えてください。

伊東:『日本史語呂合わせ』は、戦国武将の「語呂丸(ごろまる)」と対話をしながら日本史の年号を言い当てるアプリです。語呂丸が「5、9、3。国民のヒーロー?」と質問したら、ユーザーは「聖徳太子」と答えると正解になります。

左から、UX事業部 ビジネス企画チーム プランナー 伊東春菜氏、同事業部 開発チーム 國原秀洋氏
左から、UX事業部 ビジネス企画チーム プランナー 伊東春菜氏、同事業部 開発チーム 國原秀洋氏

 Google Homeを日本でローンチするタイミングでしたので、日本らしさを意識して企画しました。そして『絶対音感オーケストラ』は、スピーカーから流れる音を聞いて「ドレミファソラシド」の、どの音かを当てる音感ゲームです。

――開発にあたって、どのようなポイントに注力されたのでしょうか。

伊東:アプリケーションの人格、いわゆるペルソナの設定を大切にしました。グラフィック・ユーザー・インターフェイス(以下、GUI)で例えるなら、デザインのトンマナに近い概念だと思います。

 たとえば語呂丸は「子供だけれど、戦国武将だから大人ぶっている感じ」「顔はこんなふうに・・・」というペルソナを設定し、そこから「わしは」や「〜である」といった一人称や言葉づかいを決め、キャラクターを作り上げていきました。

――『日本史語呂合わせ』は男性の声、『絶対音感オーケストラ』は女性的な声で応答していますね。

國原:声もペルソナを構築する要素のひとつです。Google Homeでは4種類の声から選ぶことができますし、MP3で音声を用意し再生することもできます。

伊東:さらに性格の一貫性も大切です。たとえば子供らしいキャラクターが、難しい言葉や内容を話してしまうとギャップが生まれますよね。「このキャラクターは、どんなことを話すのか?」というところまで踏み込み、設定をしなければなりません。これがずれると、ユーザーは誰と話しているのだろう?と混乱してしまい、心地よいUXが生まれないのです。

國原:ペルソナの設定をしっかりと行うことは、GoogleやAmazonといったプラットフォーマー(以下、PF)側のUXガイドラインにも掲載され、音声アプリを開発する上で重要なポイントです。音声アプリは会話・対話が中心となっており、人間同士のコミュニケーションに近いものが多くなっています。PF側としては、コミュニケーションの相手をはっきりとさせるためにペルソナを定義し、ボイス・ユーザー・インターフェイス(以下、VUI)の設計をしてほしいという考えがあるのだと思います。

ゲーム性のあるアプリで、スマートスピーカーとの付き合い方を提案

――WHITEでは、Amazon EchoのAlexa Skills「数あてゲーム」もリリースしています。音声アプリを開発するにあたり、どのような点にこだわっていらっしゃいますか。

伊東:「数あてゲーム」はAlexaが3桁の数字を決めて、それをユーザーが当てるというゲームです。ユーザーも、まだスマートスピーカーとどう付き合えば良いのか?と手探りの段階ですので、他のアプリも含め簡単で誰にでも使える短いコミュニケーションを企画し、会話や効果音を起点にしたコミュニケーションを意識しています。同業の他社さまからも評判が良く、嬉しいですね。

――では、大変だったのはどのようなところでしょうか。

國原:「話しかけると答えてくれる」というUXを、いかに自然な会話として実現させるかという点に苦労しました。まだAIでできることが限られていますので、開発サイドが質問と回答のパターンを洗い出しプログラムに組み込む必要があるのです。

伊東:たとえば天気を聞くという質問ひとつでも、「今日の天気は?」「傘は必要?」と人によって質問の仕方は違います。社内でヒアリングをし、質問パターンをたくさん集めました。今後AIの機械学習が進化し、発言の揺らぎはPF側でサポートされていくと思いますが、コミュニケーションパターンのノウハウはかなり蓄積されました。

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この記事の著者

マチコマキ(マチコマキ)

広告営業&WEBディレクター出身のビジネスライター。専門は、BtoBプロダクトの導入事例や、広告、デジタルマーケティング。オウンドメディア編集長業務、コンテンツマーケティング支援やUXライティングなど、文章にまつわる仕事に幅広く関わる。ポートフォリオはこちらをご参考ください。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2018/02/08 08:00 https://markezine.jp/article/detail/27697

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