ジェイアール東日本企画(jeki)は、2018年8月21日、「新たな交通広告を知る特別セミナー」を開催。約250名弱の業界関係者が集った。
会に先立ち、同社 常務取締役 交通媒体本部長の橘修氏は、「交通広告はもちろんのこと、広告業界はインターネットを除いて厳しい状況が続いている。今回のセミナーは交通広告とデジタルコミュニケーションがテーマ。今後の交通広告の新機軸やヒントを探り、会場の皆さまと一緒に方向性を考えていきたい」と語った。
スマホの普及で、交通広告はどう変わるのか?
「デジタルサイネージのトレンドとトピックス」と題したセッションには、同社 デジタルサイネージ推進センター センター長の山本孝氏が登壇。交通広告を取り巻く現状が説明された。
電通が毎年発表する「日本の広告費」によると、2017年の日本の総広告費は6兆円を超え(前年比101.6%)、6年連続でプラス成長となった。その内、交通広告は約2,000億円(同100.0%)、そして屋外広告は約3,200億円(同100.4%)であり、OOH(交通広告+屋外広告)が総広告費に占めるシェアは約8.1%に上るという。
交通広告は、高いリーチ率やフリークエンシーの高さなど、多数の強みがある。その一方で、昨今のスマホの普及により、交通広告においても、ユーザーの属性や位置情報による広告の出し分けニーズが高まっているという。その一つの解がデジタルサイネージだ。昨今、首都圏の主要駅ではデジタルサイネージがある風景が一般的になってきたが、現に首都圏におけるその売上推移は右肩上がりで、2016年度には100億円を超えたという。
交通広告の強み
1、効果的リージョナルメディア(任意のエリアで展開)
2、首都圏を広くカバーするメディア(高いリーチを獲得)
3、反復接触性(生活者導線にそって繰り返し露出)
4、ロケーションによるターゲティング(移動者・生活者をセグメント)
5、リーセンシー効果(買い物行動の直前での接触)
その他にも、トレインチャンネルの躍進、交通広告におけるデジタルサイネージ入稿データ標準化の取り組み、交通広告とスマートフォンの連携など、最新の取り組みが紹介された。
電車内でスマホを触る人は、交通広告もよくみている
続くパネルディスカッション「交通広告×デジタルコミュニケーション」では、Twitter Japan コンテンツ・パートナーシップ&アンプリファイ事業責任者の高田仁一郎氏、LINE ビジネス開発本部 CRMソリューション室 室長の杉本浩一氏が登壇。モデレータは同社 交通媒体本部 メディア営業部 担当部長の宮本守氏が務めた。
スマホの普及により、電車内でのアテンションがスマホに奪われているのでは?と疑問を持ったことはないだろうか。ここで宮本氏は、朝の通勤通学時の電車内におけるスマホ用などの利用時間の割合を示すデータを提示。電車内で過ごす時間のうち、半分以上をスマホに費やす方は5割を超え、少し触る程度の方を含めると8割に上った。しかしその一方で、電車内でスマホに触る人の広告到達率を調べると、電車の中でスマホの操作をしない人よりも、スマホを触っている人のほうが交通広告をよくみていることがわかったという。
「圧倒的なリーチ力を持つ交通広告と、スマホを組み合わせることで、計測可能な深いコミュニケーションが実現できる」と宮本氏。同社は、LINEやTwitterといったスマホ時代のプラットフォーマーとの連携を推進しており、各社との取り組みが紹介された。
また「交通広告の魅力は何か」という質問に対して、高田氏は「京葉線に乗ると、トレインチャンネルでディズニーランドの映像が流れたりしますよね。交通広告は地域性があり、また行き先までの気持ちを盛り上げてくれます。そんな楽しみのある広告の表現方法を、我々も一緒に学んでいきたい」と回答。これからの交通広告の広がりが期待できるセミナーとなった。
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