現場の声から誕生した「スーツ×作業着」というコンセプト
東京大学卒業後、水道工事業を営む株式会社オアシスソリューションに入社。4年間営業職に従事後、同社人事部を立ち上げる。人事部在籍中に社内の技術職ユニフォームのリニューアルプロジェクトに携わり、その後事業化。2017年12月より現職。
――はじめに、オアシススタイルウェアがどういった会社なのか教えてください。
中村:スーツに見える作業着「ワークウェアスーツ」の製造・販売を行う会社です。グループ会社の水道工事会社で長年培ってきた施工現場でのノウハウを活かし、現場作業がしやすいよう高機能を備え、かつフォーマル要素を取り入れた次世代のスーツ型作業着を販売しています。
――どういった経緯で「ワークウェアスーツ」の開発に至ったのでしょうか?
中村:グループ会社である水道工事会社の技術員向けユニフォームのリニューアルがきっかけでした。開発当初はストリート系のつなぎのような作業着や、ハーフパンツスタイルのものなど様々なアイデアが出ましたが、どれも恰好がつかず行き詰まっていました。
中村:そんな時、現場の技術員が「作業着だと通勤時や就業後の外出時に恥ずかしいから、わざわざ着替えを持ってきている。営業はスーツが仕事着で羨ましい」とぼやいているのを聞いたんです。そこで、「仕事終わりにそのままデートに行けるスーツスタイルの作業着」をコンセプトに、スーツ型作業着「ワークウェアスーツ」を開発することが決定しました。
ユニークなコンセプトがネットでは批判の的に
――ねとらぼやYahoo!ニュースなど、ネット上では「ワークウェアスーツ」が話題になったそうですね。どこから火が付いたのでしょうか?
中村:話題になった最初のきっかけは、プレスリリースに添付したプロモーション動画でした。「ワークウェアスーツ」という商品は、服装が変わることで働く意識が変わり、それが他社との差別化や人手不足の解消にもつながるという社会性の高い商品です。
中村:そのコンセプトを伝えるためにプロモーション動画を作成し、販売開始時にはプレスリリースとともに様々なメディアにアプローチをしました。結果、メディア掲載件数は700以上になりました。ところが、その動画がSNSなどで賛否を巻き起こしました。「現場作業がスーツでできるわけがない」「作業着をなめるな」といった批判の声が急増し、一部炎上状態になりました。一方で、「まさにこういう商品が欲しかった」という声も多くいただき、炎上に比例して売上が上がっていきました。
――ネットで話題になるように、御社のほうから仕掛けたことはありましたか?
中村:特に何かを仕掛けたわけではありません。ですが、「スーツ型作業着」というキャッチコピーと「今までにない商品」という新しさが話題の要因だったと考えています。単なる服ではなく、「服が変われば、意識が変わる」というメッセージ性が話題を呼んだのではないでしょうか。
――プロモーション動画が原因で「一部炎上状態」になったということですが、社内的にはどういった空気だったのでしょうか?
中村:正直なところ、動画が炎上するとはまったく予期していませんでしたので、驚きました。様々な受け取り方がお客様にはありますし、「ワークウェアスーツ」が合う現場・合わない現場もあると思います。一方で、「まさにこういう商品を待っていた」「コンセプトが素晴らしい」というお声も多くいただき、賛否は半々でした。そのため、社内としてはそこまで気落ちするという感覚はありませんでした。炎上すればするほど、それに比例してECサイトでの売り上げは増加していましたので、喜んでくださっているお客様も多かったと思います。