メディアプランニングのカギは「多面的」
10代女性向けのメディアプランニングが難しい要因は、トレンドの移り変わりが激しく、確実に大量リーチができるメディアが存在しないことにあります。そのため、1つのメディアに大量投下するのではなく、コミュニケーションやコンテンツ特性にあわせて複数のSNSやメディアで展開する必要があります。
前述の通り、昨今の10代女性は「CRO」の要素が詰まったコンテンツを好む傾向にあります。3つの要素のうち、どの要素にフォーカスするのか、1つのコンテンツを起点としながら、各メディアの世界観に合わせたコミュニケーション設計をすることが、10代女性向けのメディアプランニングにおいては特に重要なのです。
また、女性は物事を抽象的に捉える傾向があるため、複数メディアでの多面的なコミュニケーションを好む特性があります。
トレンダーズが運営する若年層マーケティング調査機関「TT総研」が10代男女315名を対象に行った調査では、10代女性が「ほぼ毎日使っている」と答えたSNSやアプリ・ウェブサービスの数は平均「3.6」。「4つ以上」という回答は全体の3割を超えています(32%)。これは10代男性(N=127)の平均「3.1」を大きく上回っており、女性が男性よりも複数のメディアを使い分けている様子がうかがえます。
調査方法:「LINE Research Platform」を活用したスマートフォンリサーチ
インフルエンサーに学ぶ、各SNSのコミュニケーション
複数メディアで異なるタッチポイントを用意する手法は、先ほど紹介したヒット事例でも取り入れられています。たとえば“ゆうこす”こと菅本裕子さんはコスメレビューで人気を博していますが、メディアにあわせて発信方法を変えていることで知られます。
拡散性が強みのTwitterでは、メイク後の写真とパーツごとのメイク方法のイラスト解説を並べて投稿し、タイムラインで目を引くインパクトを重視しています。一方、ハッシュタグ文化が浸透しているInstagramでは、画像に使っているアイテムやブランドのハッシュタグをすべてつけることで、大量の検索流入を図り、流入したユーザーに対してはより深い情報提供をしているYouTubeへと誘導しています。
このように情報拡散から認知率の向上と効率的なユーザー集客、そしてファン化までの一連の流れを各SNSの特徴を踏まえながら実現させているのです。

マーケティングにおいて、“共感”が重要視される時代。そのムーブメントの真っただ中で成長してきた今の10代女性には、もはや“リーチ”という発想が成り立ちません。ただ触れるだけでは態度変容を起こさない彼女たちには、共感を図る指標である“エンゲージメント”をいかに高め、さらにシェアするまでの“熱狂”をどうやって生むかという視点が欠かせないのです。
そのためには「CRO」の3要素を踏まえたコンテンツを起点とし、それを多面的に見せる戦略的なメディアプランニング・コミュニケーションプランニングが求められていると言えます。
