若年層にとっての現実味と主張とは?
2. Reality(現実味)
次に重要なのは「Reality」があること。今、10代女性に流行っているコンテンツとして名前が挙がる多くは、“リアリティーショー”と呼ばれるものです。『オオカミくんには騙されない』(AbemaTV)はその代表格。女子高生たちが様々な男性陣とデートを繰り返しながら恋に落ちていく様子を追った恋愛ドキュメンタリー番組であり、台本なしのリアルな展開が10代女性の共感を呼びました。
従来型のテレビドラマや映画のような、演出されたセリフ回しや物語の展開に慣れた世代にとっては、全般的にセリフが多く聞きとりにくいように感じるかもしれませんが、この“素人っぽさ”こそが「リアリティ」であり、若者たちの心をつかむのに重要なポイントなのです。これはやはり、物心付いた頃からYouTubeを中心とした動画メディアが身近にあり、YouTuberの動画を筆頭にリアリティあふれるコンテンツに慣れ親しんだ「ムービーネイティブ世代」であることが影響していると言えるでしょう。
3. Opinion(主張)
最後に「Opinion」についてです。先述の「Character」「Reality」があれば、それだけでも10代女性に受け入れられるコンテンツには十分なり得ます。しかしそこにメッセージ性が加わると、単なる流行以上の“熱狂”を生む可能性が飛躍的に高まります。なぜなら、「Character」「Reality」によって生まれた共感、応援したいという感情を、「他人に伝える」拡散の条件が整うからです。
例を挙げるなら、Instagramフォロワー31万人超、Twitterフォロワー27万人超、YouTubeチャンネル登録者数24万人と、10代を中心に熱狂的なファンを獲得している佐藤ノアさん。ガールズバンド「suga/es(シュガレス)」のボーカルとして活動し、作詞も自身で手掛けています。
かわいらしいルックスとは裏腹に、自身を「万年反抗期」と評し、ロックな想いをSNSや歌にのせて発信する彼女の言葉には、明確な「Opinion(主張)」があるのです。トレンダーズが運営するニュースメディア「Social Trend News」に掲載されたインタビュー記事(出典:http://social-trend.jp/47825/)でも、具体的に「『こんな仕事がしたい』『これを広めてほしい』と自分の考えをメッセージすることで、ファンと密な関係を築いてきた」と語っています。
Opinion(主張)が明らかになるということは、ファンが代弁者となってそれを広めていけるということ。SNSを通じて、「自分が良いと思ったものは他人にシェアする」という文化で育った今の10代女性にとって、他人にシェアする必然性とシナリオがあることは、熱狂を生むために非常に重要な要素なのです。
このように、若年層・10代女性向けコンテンツにおいては「Character(人柄)」「Reality(現実味)」「Opinion(主張)」の3つの要素を押さえておくことが有効であると言えます。一方でこれらを網羅したコンテンツであっても、それがターゲットに流通しなくては意味がありません。
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