10代女性向けマーケティング施策が難しい理由
「デジタルネイティブ」がさらに進化した「ムービーネイティブ」とも称される今ドキの10代女性(参考:前回コラムよりhttps://markezine.jp/article/detail/29089)。物心が付いた頃から動画を日常的に視聴しており、中高生で自分のスマートフォンを持ち、友達とのコミュニケーションにSNSや動画を利用してきた世代であるため、動画を見ることはもちろん、撮ることにも抵抗が少なく、さらには動画プラットフォーム内で検索をするなど、動画を日常的に使いこなしています。
テレビや新聞、雑誌といった従来型のマス媒体との接触時間が上の世代に比べると少なく、これまでとは異なる情報接点を持つ彼女たちは、企業のマーケティング活動において多くのマーケターたちを悩ませる“未知”とも言える存在。私たちも10代女性のマーケティング施策に関してご相談をいただくことが急増しています。
その独自の行動特性・情報接点から、多くの方が「10代の女性はどのメディアを見ているのか?」を起点に、メディアプランニングを行いがちです。しかし、若年層向けのマーケティングにおいてはメディアよりも「コミュニケーション=コンテンツ」を起点に考える必要があります。そこでまずは今の若年層・10代女性の間で流行るコンテンツの必須要素について解説します。
若年層向けコンテンツの必須要素「CRO」とは
若年層の間で流行った成功事例を紐解いていくと、それらには共通する3つの要素「Character(人柄)」「Reality(現実味)」「Opinion(主張)」が組みこまれていることに気が付きます。ここからは、コンテンツに必要な要素である「CRO」について解説していきます。
1. Character(人柄)
1つ目の「Character」については、スペックや表層的な美しさだけではなく、“中の人”をいかに見せられるかが重要です。
10代女性から絶大な人気を誇るインフルエンサーである“ゆうこす”こと菅本裕子さんを例に挙げると、彼女は“モテるために生きている”という、それまでいなかったキャラクターを打ち出すことでブレイクしました。そしてSNSで情報発信をする際は、完成されたものだけでなく、常に“過程”を発信することで彼女の人柄が表現され、それが人気の要因となっています。
たとえば、自身がプロデュースするスキンケアブランドも、プロダクトの制作からプロモーションの方向決めまで、何を成し遂げたくて何に悩んだかを常にオープンにしながら、ブランド自体にキャラクター性を持たせる試みをしています。
「モノ消費」ではなく「コト消費」と言われて久しいですが、これからは「ヒト消費」とも言える時代。共感できるヒト・キャラクターを応援するために消費をする傾向は世代を問わず高まっていますが、今の10代は幼い頃からそれを体感してきた世代です。
「ヒト消費」を生んだ代表例と言える「AKB48」は、各メンバーの“身近さ”、“未完成さ”を見せることでスターダムを駆け上がっていきました。「初代神7」が誕生した2010年頃、今の高校生は小学生。玩具メーカーのバンダイが2011年に発表した「子どもが好きな芸能人」ランキング(※)では、AKB48が男女ともに2位にランクインしていますが、男子の回答率が10.4%だったのに対し、女子の回答率は17.3%と、その差は約1.7倍にものぼります。AKB48のようなストーリーを持ったアイドルがブレイクしていく様を身近に見てきた彼女たちは、キャラクターの重要度を本能的に理解しているのだと言えるでしょう。
こうして物心付いた頃から「ヒト消費」が当たり前になっていた背景もあり、今の10代女性向けのコンテンツやブランドには、“共感されるヒト・キャラクター”作りが必須条件になってきているのです。
※出典:「お子様の好きな芸能人は誰ですか?」2010年12月調査実施/バンダイ調べ
http://www.bandai.co.jp/kodomo/pdf/question186.pdf