SHOEISHA iD

※旧SEメンバーシップ会員の方は、同じ登録情報(メールアドレス&パスワード)でログインいただけます

おすすめのイベント

マーケティングは“経営ごと” に。業界キーパーソンへの独自取材、注目テーマやトレンドを解説する特集など、オリジナルの最新マーケティング情報を毎月お届け。

『MarkeZine』(雑誌)

第113号(2025年5月号)
特集「“テレビ”はどうなる?」

MarkeZineプレミアム for チーム/チーム プラス 加入の方は、誌面がウェブでも読めます

【特集】進化するテレビマーケティング、現在の選択肢

CPI減&DAU増の「デュオリンゴロゴロ」、裏には大きな失敗が⁉DuolingoのCM活用術

 コネクテッドTVの普及をはじめとした生活者の視聴スタイルの変化や、テレビCMのバイイングなど広告主・代理店側の活用方法の変化によって、効果の出るテレビCMのあり方が変わりつつある。本記事では、「デュオリンゴロゴロ」のフレーズが印象的なテレビCMを展開する教育アプリ「Duolingo」のテレビCM活用事例を紹介。グローバル企業ならではのテレビ活用に至るまでの苦労や、アメリカ本社からも高く評価されたテレビCMの成果、そして成功の秘訣を同社の国内事業を担当する水谷翔氏に聞いた。

DuolingoとテレビCMの相性が良いと確信していた

――Duolingoでは、2022年の5月に初めて全国でテレビCMを出稿したと聞いています。その背景を教えてください。

 私が2020年8月にDuolingoに入社したときから、テレビCMにはチャレンジしたいと考えていました。というのも、テレビという広告媒体はアプリマーケティングにおいて相性が良いと考えていたためです。

 日本において広告媒体としてのテレビはいまだに強大なリーチ力を持っています。また、アプリの場合、認知から比較・検討、インストールまでのフルファネルに効果を発揮できるポテンシャルを持っています。

 実際、前職時代に携わっていたアプリのマーケティング活動の中でテレビCMを活用した結果、大きな成果を生むことができました。Duolingoも同様に、テレビCMのポテンシャルを活かせば、大きな成長を生み出せると考えたのです。

Duolingo Japan Country Manager  水谷 翔氏
Duolingo Japan Country Manager  水谷 翔氏

――水谷さんのこれまでのキャリアではゲームや配信アプリなど、異なるジャンルのアプリのマーケティングに携わっていたと思います。Duolingoも同様に高い成果を出せると思えたのには、どのような理由があったのでしょうか。

 Duolingoは楽しく、そして誰もが等しく学べる教育アプリをコンセプトにしています。そして、このコンセプトを認知している方だと、利用までの転換率が高いことがわかっていました。つまり、Duolingoのコンセプトを強いキャッチコピーやクリエイティブに乗せ、テレビCMで認知を急拡大すれば、ユーザーも自ずとついてくると考えました。

地方のテストマーケは失敗、それでも全国放送できた理由

――入社した当時からテレビCMを出稿したいと思っていた中で、初めての全国テレビCM放映は2022年5月と、少し期間が空いていると感じました。何か実施のハードルがあったのでしょうか。

 Duolingoはアメリカ本社のグローバル企業であり、日本以外の多くの国では、テレビCMがワークしないという認識であり、理解してもらうのに苦労しました。当時の私の上司が日本のテレビCMのポテンシャルを理解してくれていたこともあり、度重なる交渉を経て、2022年5月の実施前に地方でのテストマーケティングを行えることになりました。

――地方でのテストマーケティングの結果はどうだったのでしょうか?

 テストマーケティングでは、許容CPIに大きく乖離し大失敗と言える結果でした。

――根強く交渉をしてつかみ取ったチャンスだったのに、失敗になってしまったんですね。失敗の原因はなんだったのでしょうか。

 アメリカ本社にクリエイティブのチェックが必要なことは知っていましたが、想像よりも確認フロー・項目が存在していたことに進行中に気付き、本来目指していたクリエイティブの完成が間に合わなかったのです。

 急遽グローバルで使われていたブランド広告をクリエイティブに使用した結果、日本の視聴者には受け入れづらい内容で成果も得られませんでした。

――ここまでの話だけ受けると、とても2022年5月に全国放映できると思えないのですが、どのように失敗を乗り越えたのでしょうか。

 テストマーケティングの失敗をそのままにするのではなく、この数値をベンチマークとして、クリエイティブの検証を行い、失敗した数字を大きく上回るスコアを出せるものができたら、再度チャレンジさせてほしいと交渉しました。

 そして、無料や40言語以上が学べる、UIを見せる/見せないなど、様々な要素を検証し始めました。この当時から「デュオリンゴロゴロ」の原型と言えるアイデアも実は存在していました。そして検証を続け、伝えるべき要素と構成を突き詰めた結果、テストマーケティングで実施したクリエイティブを大きく上回るスコアをたたき出し、メディアプランが間違いなければ確実に成果が出せると実感できるところまで改善できたのです。この検証プロセスを上司やグローバルも見ていたので、2022年5月に全国でテレビCMを放映することができました。

――検証の段階から「デュオリンゴロゴロ」の原型があったのですね。

 検証の段階から「デュオリンゴロゴロ」のスコアは高く出ていました。ゴロゴロしながらでも語学学習ができるというのが、日本人の「勉強はしたいけど、正直気が進まない」というインサイトに根差していたのだと思います。

次のページ
最初の「デュオリンゴロゴロ」で得られた大きな成果とは?

この記事は参考になりましたか?

  • Facebook
  • X
  • Pocket
  • note
【特集】進化するテレビマーケティング、現在の選択肢連載記事一覧

もっと読む

この記事の著者

タカハシ コウキ(タカハシ コウキ)

1997年生まれ。2020年に駒沢大学経済学部を卒業。在学中よりインターンなどで記事制作を経験。卒業後、フリーライターとして、インタビューやレポート記事を執筆している。またカメラマンとしても活動中。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

この記事は参考になりましたか?

この記事をシェア

MarkeZine(マーケジン)
2025/06/06 08:00 https://markezine.jp/article/detail/48275

Special Contents

PR

Job Board

PR

おすすめ

イベント

新規会員登録無料のご案内

  • ・全ての過去記事が閲覧できます
  • ・会員限定メルマガを受信できます

メールバックナンバー

アクセスランキング

アクセスランキング