SHOEISHA iD

※旧SEメンバーシップ会員の方は、同じ登録情報(メールアドレス&パスワード)でログインいただけます

おすすめのイベント

おすすめの講座

おすすめのウェビナー

マーケティングは“経営ごと” に。業界キーパーソンへの独自取材、注目テーマやトレンドを解説する特集など、オリジナルの最新マーケティング情報を毎月お届け。

『MarkeZine』(雑誌)

第104号(2024年8月号)
特集「社会価値創出につながる事業推進の在り方とは?」

MarkeZineプレミアム for チーム/チーム プラス 加入の方は、誌面がウェブでも読めます

【特集】進化するテレビマーケティング、現在の選択肢

なぜ「電車の中のテレビ局」なのか?電車内サイネージのリポジショニングを図る「TRAIN TV」の狙い

 ジェイアール東日本企画は2024年4月1日より新たな番組配信プラットフォーム「TRAIN TV(トレインティーヴィー)」を立ち上げた。「電車の中のテレビ局」として、「タイパ」「サイレント」をキーワードに、オリジナル動画コンテンツの放映を開始している。広告中心の編成を番組中心へ刷新した狙いや、なぜ「テレビ」なのか。他メディアとのシナジーなどをTRAIN TV事業部長の佐藤氏、ブランドマネージャーの中里氏に聞いた。

電車内サイネージ誕生から20余年、リポジショニングの背景

――まずは、TRAIN TVの概要を教えていただけますか。

佐藤:TRAIN TV は2024年4月1日よりスタートした、首都圏JR主要10路線とゆりかもめの車両サイネージ約5万面を対象とした新たな番組配信プラットフォームです。これまで広告中心だったサイネージを「電車の中のテレビ局」とリブランディングし、「タイパ」「サイレント」をキーワードに、テレビクオリティのオリジナル動画コンテンツを「今だけ ここだけ 電車だけ」の映像体験として提供しています。

――なぜサイネージをCM中心から番組中心に変化させたのですか?

佐藤:電車の中のサイネージ「トレインチャンネル」自体は2002年に誕生しました。当時は電車内で動画が流れていることの珍しさが価値になっていましたし、電車に乗る方に確実に接触できるという特徴を有していました。しかし、スマートフォン(以下、スマホ)が登場し、普及とともに動画コンテンツのリッチ化・通信の高速化が進む中で、乗客の目線はスマホに向くようになりました。

 そして、トレインチャンネルのあり方を変え、メディア価値を上げることが課題として浮上したのです。そこで、強いコンテンツを放映することで乗客の目線を上げること、メディア価値を上げていくことにトライしていこうと考えています。

ジェイアール東日本企画 メディアソリューション本部 交通媒体局 TRAIN TV事業部長 兼 MASTRUM推進センター プロダクト部 佐藤 雄太氏
株式会社ジェイアール東日本企画 メディアソリューション本部 交通媒体局 TRAIN TV事業部長 兼 MASTRUM推進センター プロダクト部 佐藤 雄太氏

中里:コロナを経て、このメディアの役割を改めて見つめ直すことでイノベーションを起こそう、との想いから生まれたのがTRAIN TVです。メディアはコンテンツが主で、その合間に広告があるというのが本来のあり方。そうではない状態で成立してきたこれまでのOOHがむしろ例外だったと捉え、特に車内メディアにおいてはあるべき姿に向かうべき、と考えています。

「音の出せないメディア」の特性を生かしたコンテンツ作り

――では、TRAIN TVは広告主/乗客のどのような課題解決をし、便益を提供するのでしょうか?

中里:サイネージを見ていただけるお客様が増えれば、必然的により多くの方に広告が見られ、広告効果は高まっていくと考えられます。それは、広告主様にとって直接的なメリットになります。広告主様がメディアに期待するのはそういった「リーチ」に由来するものに加え、「コンテンツ」も大きいと考えています。テレビがまさにそうですが、魅力的な番組コンテンツの文脈の中で自社CMが流れることに価値を見出している広告主様は多いのです。

 これまでOOHはコンテンツがなくても自然と目に入る、見てもらえる存在でした。しかし、スマホの普及によりその前提が電車内においては崩れたと思っています。そこで「コンテンツ」に投資することで乗客の注目を集めつつ、「このコンテンツが流れているから広告を出そう」「このコンテンツや番組と連動したCMを作ろう」と思っていただける広告主様を集めていきたい。そうした狙いがTRAIN TVにはあります。

株式会社ジェイアール東日本企画 TRAIN TVブランドマネージャー 中里 栄悠氏
株式会社ジェイアール東日本企画 TRAIN TVブランドマネージャー 中里 栄悠氏

――素朴な疑問ですが、電車内の動画は音声が出ません。その中で番組を楽しんでもらうというのは、難しさがあるかと思います。その点はどのようにお考えですか?

中里:無音が弱点であることは間違いありません。ただ電車は人を安心安全に目的地に運ぶことが第一ですから、車内の音声は案内に使う必要があります。

 しかし、普段の生活を振り返ると、まさに移動中はスマホで音声をオフにした状態で動画を見るケースが多々あります。音声なしのコンテンツを楽しんでもらうことも、無理なことではないと思っています。むしろ音が出ないという制約条件を個性に変えていくことで、他では見られないオリジナル動画を生み出せるのではないかと考えています。

 TRAIN TVでは、なるべくノンバーバルでもわかる番組作りにトライしています。また、バラエティのジャンルではヒカキンさんやチョコレートプラネットさんなど、顔の表情・表現が豊かな方をキャスティングしました。加えて、スマホと異なり、少し離れたモニターを見ていただくため、テロップは大きく、文字数も極力減らすことを意識しています。今後もサイレントならではの新しい表現にチャレンジしていきたいですね。

2024年7月~(夏クール)の番組ラインナップ
この記事はプレミアム記事(有料)です。ご利用にはMarkeZineプレミアムのご契約が必要です。

有料記事が読み放題!MarkeZineプレミアム

プレミアムサービス詳細はこちら

MarkeZineプレミアム for チーム/チーム プラスをご契約の方は
・こちらから電子版(誌面)を閲覧できます。
・チームメンバーをユーザーとして登録することができます。
 ユーザー登録は管理者アカウントで手続きしてください。
 手続き方法の詳細はこちら

次のページ
「電車の中のテレビ局」でパーセプションを変える

この記事は参考になりましたか?

  • Facebook
  • X
  • Pocket
  • note
関連リンク
【特集】進化するテレビマーケティング、現在の選択肢連載記事一覧

もっと読む

この記事の著者

落合 真彩(オチアイ マアヤ)

教育系企業を経て、2016年よりフリーランスのライターに。Webメディアから紙書籍まで媒体問わず、マーケティング、広報、テクノロジー、経営者インタビューなど、ビジネス領域を中心に幅広く執筆。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

この記事は参考になりましたか?

この記事をシェア

MarkeZine(マーケジン)
2024/07/19 09:30 https://markezine.jp/article/detail/46017

Special Contents

PR

Job Board

PR

おすすめ

イベント

新規会員登録無料のご案内

  • ・全ての過去記事が閲覧できます
  • ・会員限定メルマガを受信できます

メールバックナンバー

アクセスランキング

アクセスランキング