欲しくなったらまず保存!「キープ消費」とは
「キープ消費」とは、「欲しい!」と思ったものがあればいったんSNS上にキープ(保存)しておき、何かのイベントのタイミングでまとめて購入を検討する消費行動です。
AIDMAなどに代表される従来の消費行動が「購入」のアクションまでに徐々に欲しいという気持ちを高めていくのに対して、「キープ消費」はまず直感的に「欲しい!」というものを発見し、その場では買わずに保存。少し時間をおいた上で比較検討し、購入に至るというものです。生活者が購入を意図的に「ある時期」に定めて、そこに向けて日頃からSNSで情報収集しているのが特徴的と言えます。
背景には、大充実のECモールイベントとSNSの進化
その「ある時期」の代表格となっているのが、ECモールのセールイベントです。これが「キープ消費」が急増している要因の一つとなっています。有名なものだけでも、楽天市場の「RakutenスーパーSALE」、Amazonの「プライムデー」、Yahoo!ショッピングの「超PayPay祭」、Qoo10の「メガ割」と目白押し。各社セールに合わせてテレビCMなども含めて大規模プロモーションを展開しているため、生活者が意識せずともセール開始に気づけるようになっています。
これまで購入を促すマーケティング手法としては、「初売り」「新生活」「ボーナス」といった、季節のモーメントに合わせてプロモーションを展開するというのが常套手段でした。また、それ以外のタイミングで購入を促すためには、各ブランドからテレビCMを打ったり、イベントを企画したりと、様々な工夫を凝らす必要がありました。
ところが今はこのECモールイベントが一年を通して定期的に開催されているため、この機会を上手く活用することで効率的に生活者にブランドや商品を想起させることが可能になったと言えます。これはプロモーション設計する立場としては非常に大きく、この波に乗らない手はありません。
また、「キープ消費」が急増しているもう一つの要因として、SNSにおいて「まとめ投稿」と「文字入れ投稿」の文化が発達したことも考えられます。投稿画像に商品の感想などを見やすくデザインしたもので、SNSの一覧に並んだときも視認性が高く、人気のコンテンツです。これらの投稿はSNS側の保存・ブックマーク機能と非常に相性が良く、後から見返すのに最適な組み合わせと言えます。
このようにECモールイベントによる購入検討イベントの普及と、SNSの保存機能やまとめ投稿の充実によって「キープ消費」がどんどん増えているのです。