※本記事は、2025年6月刊行の『MarkeZine』(雑誌)114号に掲載したものです
【最終号特集】未来を創る、企業の挑戦
─ AI市場がどう変遷しても優位性を保つ。共創を軸に競争力を高めるパナソニックグループのAI戦略
─ 東京ドームシティが大規模リニューアル、世界一のエンターテインメントシティへの挑戦
─ 大塚製薬「Vivoo」が拓く、栄養モニタリングの新市場──尿×アプリで実現する“測る”ヘルスケア(本記事)
“科学的根拠”をもとに新市場を創り出してきた大塚製薬
──大塚製薬では、「医療関連事業」と「ニュートラシューティカルズ関連事業」の2軸で事業を展開されています。はじめに、ニュートラシューティカルズ関連事業について教えていただけますか。
大塚製薬は、一人ひとりの可能性に向き合うトータルヘルスケアカンパニーとして、“Otsuka-people creating new products for better health worldwide”の企業理念のもと事業を行っています。未充足の医療ニーズに新たな価値を提供する医療関連事業と、科学的根拠を持った独創的な製品やサービスにより日々の健康維持・増進をサポートするニュートラシューティカルズ関連事業を通じて、人々のウェルビーイングの実現に向けて取り組んでいます。
ニュートラシューティカルズ(Nutraceuticals)とは、Nutrition(栄養)とPharmaceuticals(医薬品)から作られた言葉です。1989年に米国のStephenL.DeFelice博士が発表し、人々の日々の健康維持に有用である科学的根拠を持つ食品・飲料をこのように呼ぶことを提唱しました。大塚製薬では、1970年代から開発してきた健康維持増進に貢献する自社製品が、本定義に合致することを知り、それ以降消費者製品事業をこの言葉で表現しています。
ニュートラシューティカルズ関連事業では、医療関連事業で培われたノウハウを活かし、人々の健康の維持・増進のための科学的根拠を持った製品やサービスを展開しています。またそれらの製品価値を伝える活動を粘り強く続けることで、今までにない新たな市場を創り出してきました。
たとえば、「ポカリスエット」は「汗の飲料」をコンセプトに、発汗によって失われた“水分と電解質(イオン)をスムーズに補給する健康飲料”として誕生しました。近年では、深部体温に着目して開発した「ポカリスエットアイススラリー」が注目を集めています。他にも手軽に美味しく飲める“炭酸栄養ドリンク”である「オロナミンCドリンク」や“バランス栄養食”をコンセプトとした「カロリーメイト」、女性の健康と美をサポートする「エルシリーズ」など、人々をより健康的でアクティブにする製品を多数展開しています。