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MarkeZine Day 2018 Kansai(AD)

デジタルだからこそできる!SATORIが明かす「見えない顧客の心を捉える」接客とは?

 マーケティングオートメーションツールを提供するSATORI。創業から4年目ながら、ツールの導入企業は既に約400社。同社の快進撃を支えているのは、デジタル上で見込み顧客といち早く接点を持ち、製品の魅力を伝えていく取り組みだ。11月22日に開催されたMarkeZine Day 2018 Kansaiでは、代表の植山浩介氏が登壇し、「デジタルだからこそできる」接客について自社の取り組みを例に語った。

97%の顧客は企業に名前を明かさない

 マーケティングオートメーション(以下、MA)ツールを提供しているSATORI。15年間にわたり大手のデジタルマーケティングツール作成に携わってきた代表の植山氏が、「中小企業でも使えるツールを」という思いから設立した会社だ。

 「デジタル顧客時代のセールス&マーケティングのあり方~競合他社はMAを使って成果を上げている!? MAツール活用最新事例~」と題された本セッションにおいて、植山氏はまずデジタル顧客時代の現状について解説した。

SATORI株式会社 代表取締役 植山浩介氏
SATORI株式会社 代表取締役 植山浩介氏

 植山氏によると「デジタルファースト」には、2つの意味が含まれているという。ひとつは「顧客ははじめにデジタルを使って情報収集をする」という意味。何かを欲しいと思ったとき、企業の担当者に連絡するより先にデジタル上で情報収集を行うのは、いまや当たり前の行動だ。もうひとつは「顧客はデジタルを最も信頼している」ということ。担当者のセールストークよりも、ネットで自ら調べたことを、中立的な情報として信用している場合も多いのだ。

講演資料より抜粋して掲載(以下、同)
講演資料より抜粋して掲載(以下、同)

 では顧客の「デジタルファースト」は、どの程度進んでいるのだろうか。ある調査によれば、2020年までに、売り手と買い手のコミュニケーションを100%としたとき、85%は非対面で行われるようになる(出典:ガートナー)。さらに自社のWebサイトに訪れる97%の訪問者について、個人情報が分かっていない。残りの3%は、以前にWebサイトから資料ダウンロードや問い合わせがあった、以前に展示会などで直接名刺交換をしていた、といった訪問客である(出典:SATORI)。しかしメール配信システムに代表される既存のセールス&マーケティングでは、名刺をもらい、名前を知ってからのコミュニケーションを前提としているものが多く、顧客との接点をうまく作りだせていない。

 「デジタルファースト時代では、名前のわからない97%の人たちとコミュニケーションを行う必要があります。効率的に価値を訴求し、競合より一歩先んじて自社の製品を売り込むことが求められているのです」。

担当者に接触するのはプロセスの最後 出典:SATORI
担当者に接触するのはプロセスの最後

  植山氏は次に、デジタルファースト時代に顧客が辿っている購買プロセスについて、自らの経験を基に解説した。例に挙げられたのは、社内チャットツールの購入を決めた経緯である。植山氏が達成したかった課題は、同社における営業の効率化だった。

 そこで始めに行ったのは、ソリューションについての情報収集。「営業力強化」「仕組み」「情報共有」などのキーワードで検索したところ、サイボウズのブログやIT専門媒体の記事などがヒットしたという。記事において、「会議コンサル」「グループウェア」「SFA」「チャットツール」といった方法を発見した。

 植山氏は様々な方法を見比べた上で、気軽に導入できる社内チャットツールに決定。その後、ツールを販売する4社に資料請求を行う。さらに2社に絞り込んだ上で、営業担当者に連絡を取って話を聞き、C社のツールを購入しようと決定した。

 このエピソードからわかる通り、顧客が担当者に連絡するタイミングは「プロセスの最後」となってしまう。営業視点では、最後の2社に残らないと戦うことすらできないということになる。「最終的に購入を決めた製品の会社ですら、私が社内チャットツールに決めるまでの心の変化を捉えられていないことに注目してください」と植山氏は強調し、心の変化を捉え、先回りして接点を持つことの重要性を訴えた。

SATORIが実践するデジタル接客

 では一体どうすれば、見えない見込み顧客の心の変化を認識し、接点を持つことができるのだろうか。「SATORIでは、MAを知らない層にいち早く接触し、MAの存在を啓発するようにしました」と植山氏。「いちばん赤裸々に話せる事例」として、自社の取り組みを例に具体的な方法を共有した。

 セールス&マーケティングのプロセスを「接触」「認知」「興味喚起」「行動喚起」の4段階に分解したとき、従来のセールス&マーケティングでは、2つの方法が用いられていた。

 ひとつは「接触」からいきなり「行動喚起」を促すやり方。たとえば、大企業が大手メディアに広告を出稿し、リアルの展示会や自社イベントに来てもらって、見込み顧客に接触する場合がこれにあたる。もうひとつは、中小企業が予算を抑えて顕在層だけにアプローチする方法。しかしいずれの場合も、CPAが高くなりがちという課題が存在していた。

出典:SATORI
施策のプロセス

 デジタルにおいてもプロセスそのものは以前と変わらず、それぞれの段階に応じた施策を設計する。重要なのは、4段階すべてで施策をデジタルで展開することだという。

(1)接触 見込み顧客が集まる接点を探す

 「リアルでもデジタルでも、課題を抱える人が集まる場所で接点を持つことは同じ」と植山氏。同社のターゲット顧客である、マーケティングや営業に課題を抱える人たちとどう接触するかを考えたとき、目をつけたのがメディアだった。同社では「コンテンツマーケティング」か「認知促進広告」を使用しているという。

 コンテンツ作りの際には関係者が集まり、ブレインストーミングで見込み顧客に検索されそうなキーワードを洗い出し、そのキーワードに基づく記事を制作したという。たとえば、「メルマガ 開封率」「マーケティングとは」という検索ワードであれば、それぞれ「メルマガの開封率はどのぐらい?平均から見るKPI設定について」「『マーケティングとは?』一番分かりやすい入門編」というタイトルの記事を用意するといった具合だ。

 また認知促進広告では、広告ツールに備えられている「コンバージョン類似」という機能が役に立つ。この機能は、AIが自社の見込み顧客に似たプロファイルを持つセグメントを探してくれるもの。「コンテンツマーケティングは競合が同じことをやり始めると厳しくなりますが、コンバージョン類似を使用することで、他社と被らないオーディエンスを集め、効率よく配信を行うことができるのです」。

(2)認知/興味喚起 段階的にコンテンツを提示

 この段階でもまだ、集めた見込み顧客は匿名のままである。その人たちに、どんなアプローチをとれば自社製品の良さを感じてもらえるのか。「リアルでセミナーを開いて情報を提供するのと同じで、デジタルでも、見込み顧客の認知や興味の度合いを判断し、それに応じたコンテンツを提示するのです」と植山氏は説明する。

 同社では、インサイドセールスの記事を見た人にはMA関連の記事、MA関連の記事を見た人には導入事例、導入事例を見た人には資料請求のページを案内するといった流れで、段階的に啓発コンテンツを提供するように設定。実際にどの見込み顧客が興味をもってくれているのかを分析する時は、カスタマージャーニーマップやアクセス解析を用いるという。

 しかし、ビジターは想定通りに案内したリンクをクリックしてくれるとは限らない。同社が興味喚起を促すためにやっていることは、次に読んでほしいと思う記事を、ポップアップやプッシュ通知で案内することである。

 また植山氏は、「そのうち」の見込み顧客と「今すぐ」の見込み顧客に分けて配信することも重要だと述べ、読んでもらった啓発コンテンツをトリガーに、ステップ広告を出しながらリターゲティング広告を配信するというノウハウを加えて紹介した。

(3)行動喚起 ポップアップやプッシュ通知で行動を促す

 興味が薄いところに対して発信する認知広告に対して、見込み顧客の興味が深まってきたところで配信するのが行動喚起広告だ。同社にとっての「行動」とは、資料請求やセミナー申し込みをしてもらうこと。これを目指して、MAツールの比較記事を見ていたり、料金表を見ていた場合は、資料請求やセミナー申し込みフォームをポップアップで出したりする。ポップアップやプッシュ通知も、行動を促すものに変えていく。

各段階の見込み顧客に最適なコンテンツを

 各段階での取り組みを総括すると、見込み顧客になりそうな人たちが多く集まる場所であるメディアで接触し、その人たちに順を追って啓発コンテンツを提供し、興味度が高まったら獲得型の誘導コンテンツを提供するという流れになる。こうすればCPAを抑えながら、見込み顧客の母集団を増やすことを期待できる。

 「SATORIの場合、短期的に同額の広告費に対しての顧客コンバージョンが119%アップしました。最後の獲得広告だけで見ると、CPAは他社比で20~25%に抑えることに成功しています」と植山氏は自社の成果を明かした。

 一連のプロセスで用いたMAツール「SATORI」の特徴は、匿名と実名のデータを同時に管理可能なところ。これにより、接触、認知/興味喚起、行動喚起の各段階にいる見込み顧客それぞれに、最適な施策を展開できるのだ。

 植山氏は「97%の名前のわからないお客様をデジタルでうまく接客できる会社が勝てる時代です。これができている企業はまだ少ないので、ぜひ私たちと共に、一歩先に進んでほしいと思います」と講演を結んだ。

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この記事の著者

冨永 裕子(トミナガ ユウコ)

 IT調査会社(ITR、IDC Japan)で、エンタープライズIT分野におけるソフトウエアの調査プロジェクトを担当する。その傍らITコンサルタントとして、ユーザー企業を対象としたITマネジメント領域を中心としたコンサルティングプロジェクトを経験。現在はフリーランスのITアナリスト兼ITコンサルタントとして活動中。...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2019/01/16 11:00 https://markezine.jp/article/detail/29882