※本記事は、2018年12月25日刊行の定期誌『MarkeZine』36号に掲載したものです。
ネガティブ排除からプラスへ転換する潮流
アドベリフィケーション(以下、アドベリ)は、広告価値毀損測定の仕組みやツールのことを指し、ビューアビリティ、ブランドセーフティ、アドフラウド(広告詐欺)の主に3つの問題への対策として活用されています。日本でこれらの問題が顕在化し、対策や議論が起き始めてからまだ2年ほどですが、既に大手メディアでの報道も続いています。
2017年末の『週刊東洋経済』の特集「ネット広告の闇」では、主にブランド毀損に焦点を当てて掘り下げていました。一方、2018年9月にはNHK『クローズアップ現代+』でも「追跡!ネット広告の“闇”」という特集が組まれました。こちらは不正インプレッションにフォーカスし、電通デジタルやヤフーの担当者取材を交え、広告を売る代理店からプラットフォーマーまで注目が集まっていることを感じさせました。
闇と言うと、さも暗い印象を与えます。もちろん、詐欺行為や広告費の流れを考えると否定できないのですが、少し流れは変わりつつあります。アドベリは確かに「マイナスをゼロにする/リスクをなくす」という視点で注目されましたが、現在は一部の先進企業で「ゼロからプラスへ」という発想で活用され始めています。
というのは、正しい計測によって広告費の無駄を省き、それを新たに良質なメディアに投じれば、あらゆるパフォーマンスを向上できるからです。仮にCPMやCPCが上がっても、それを上回る度合いでCPAの改善や良質な顧客の獲得ができ、LTVの観点からもビジネスにプラスをもたらすこともできます。実際、我々のクライアントでも、始めはブランド毀損・不正インプレッションの把握と対策の相談がきっかけでも、ビューアビリティを考慮した運用をするうちに前述のような“プラス面”に気づき、それを主軸にマーケティングにアドベリを組み込み始めている企業が複数あります。