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第106号(2024年10月号)
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「広告を有益な情報に」アウトブレインが形成する最先端のディスカバリー・プラットフォーム(AD)

パブリッシャー/ブランド/ユーザー「三方よし」の循環を目指して アウトブレイン挑戦の5年間

 現在、様々な場面で活用されているレコメンドヴィジェット広告。日本での認知度が高くなかった頃からこの手法を広め、市場を開拓してきたのがアウトブレインだ。本記事は、同社の日本創業5周年を記念した特別連載の最終回。同社代表取締役社長・嶋瀬宏氏に、これまでの取り組みや、今後注力していく分野についてうかがった。  

モバイル4,500万リーチのネットワークに成長

アウトブレイン ジャパン株式会社 代表取締役社長 嶋瀬 宏 氏
アウトブレイン ジャパン株式会社 代表取締役社長 嶋瀬 宏 氏

押久保:アウトブレインの日本法人は、5周年を迎えました。これまでを振り返って、率直なお気持ちを聞かせて下さい。

嶋瀬:弊社のディスカバリー・プラットフォームは、モバイルで国内約4,500万リーチを持つネットワークへと成長しました。SNSなどのクローズドな世界ではなく、オープンなネットの世界におけるプル型の広告媒体としては、国内最大級の規模です。ありがたいことに、プル型のコミュニケーションを必要とするブランドからは、「まずアウトブレイン」という認知をいただくほどになりました。

 アウトブレインを初めて日本のパブリッシャーへご紹介したのは、2013年。当時、メディアによるマネタイズの主戦場は、ファーストビューのバナー領域で、ページ内や下部は二の次という状況でした。そのため、まずはフィード型のレコメンドウィジェット広告を知っていただくことから始めて、意識改革を行いながらニーズへとつなげる戦略をとってきました。

 海外のアドソリューションであり、広告を掲載する位置が編集領域に近いということもあったため、導入に慎重な企業が多かったことを思い出します。

押久保:どのように、啓蒙を進めていかれたのでしょうか。

嶋瀬:パブリッシャーの皆様には、まず内部回遊のウィジェット機能を提案しました。アウトブレインのアルゴリズムによるパーソナライゼーションや、ユーザーの興味関心に沿ったレコメンデーションを実体験し、パフォーマンスの高さを感じていただくことで、着実に評価を重ねてきたと思います。

押久保:アウトブレインが登場した時期は、コンテンツマーケティングやオウンドメディア、インバウンドマーケティングなどが注目され始めていた頃と重なっていますね。

嶋瀬:プッシュ型の広告を見直し、コンテンツを興味関心のあるユーザーへ届けるというソリューションが、求められていたタイミングでもありました。 今では、コンテンツマーケティング予算を初めから予算設計に組みこまれているクライアントもいらっしゃいます。アウトブレインが、レコメンドウィジェット広告のパイオニア企業として、日本のコンテンツマーケティング市場が成長していく一端を担ってきたことは、私たちの自負であり、嬉しいところです。

重要なコンテンツの発見&拡散を支援

押久保:改めて、アウトブレインが提供してきた価値をうかがいます。マーケターからは、どのような点が評価されていると分析していますか。

嶋瀬:何よりも、良質な広告プラットフォームであるという点です。プレミアムなパブリッシャーのネットワークと、アウトブレインのアルゴリズムの掛け合わせで、コンテンツやブランド、サービスへ、最適な集客ができる。プッシュ型ではなく、ユーザーが興味関心に基づいて閲覧しているため、エンゲージメントが高く、その後のコンバージョンやLTVも良い。この一連の流れをご評価いただいていると考えています。

 あるクライアントからは、「KPIの重点が、インプレッションやリーチという今までの指標から、エンゲージメントやポストクリック、CV後のアクションへ変わった」という声も頂いています。プランニングの際に、アウトブレインをソリューションの中核に位置付けて下さるケースも増えました。

押久保:レポーティングの機能も向上し、1PVや1CVの質を掘り下げたデータ分析も強みとなっていますね。

嶋瀬:一部のクライアントには、カスタマーサクセスによるデータ分析と、コンテンツのコンサルティングを行っています。

 実は、オウンドメディアの8割から9割のコンテンツが、カスタマージャーニーに寄与していないという分析結果があるのです。言い換えると、50のコンテンツがあるとすると、CVに貢献しているのは4つだけ。そこで我々は、重要なコンテンツを発見し、拡散していくディストリビューション戦略の支援をしています。

 たとえば、スポーツ用品を扱うオウンドメディアで、犬に関する記事で良質なユーザーを集めたとき。オウンドメディアの方向性を考えると、犬に関する記事をさらに量産するというのは難しい、でもこの記事によって集客できたユーザーをもっと引き付けたい。このような場合に、その記事に触れた読者を、アウトブレインの保有するインタレストデータで分析することにより、次にどんな記事を制作すべきかが見えてきます。これにより、映画やエンタテインメントに興味があるという傾向を把握したならば、「スポーツ用品が登場する映画」という切り口で、次の記事を制作できるのです。

エンゲージメントに比例した価格を目指す

押久保:パブリッシャー代表として登場いただいた朝日新聞デジタルさんからは、「アウトブレインが収益性の向上に貢献している」という声が上がりました。

嶋瀬:内部回遊にともなう在庫量の増加と収益化は、パブリッシャーの皆様に提供できている価値だと考えます。2014年以降、デマンド側の需要の高まりもあり、クリック単価は上がり続けていまして、「アウトブレインによる収益が大きい」とおっしゃるパブリッシャーは増えています。

 また、フィード型のレコメンドウィジェット広告という新しい収益の機会や、コンテンツマーケティングなどの予算を新しく生み出せたことも、アウトブレインの価値として実感いただけていると思います。

押久保:代理店のワンスターさんからは、「CVが上がるだけでなく、検索数が増える」という声もありました。アウトブレインのネットワークへ出稿する、付加価値ですね。

嶋瀬:「アウトブレインのネットワークには、プレミアムなパブリッシャー、ブランド、そして良質なユーザーが集まる」という認知は広がりました。今後も、エンゲージメントの質につながる付加価値の向上を進めていきたいです。

 加えて、良質なコンテンツが生み出すPVの価値をマーケターへ理解していただき、最適な価格でセールスを行わなければなりません。イメージとしては、検索広告のビッグワードです。現在はCPC課金ですが、価値の証明を行い、エンゲージメントに比例した価格へ上げていくことが使命だと考えています。

「名前を知らないと検索されない」商品も広める

押久保:アウトブレインは、グローバル企業であることも特徴です。近年、国内外で起こった変化の中で大きかったものを教えてください。

嶋瀬:まずは、データドリブンマーケティングにともなうプログラマティック化の加速が挙げられます。中には、プログラマティック以外での出稿をしないという企業もいるほどです。代理店・クライアントともに、多くのコンテンツや切り口を用いて、パーソナライズされたコミュニケーションをユーザーと図っていかなくてはなりません。そのとき、マンパワーでは限界がありますから、日本においても必然的にプログラマティック化が進むと思います。

 また、最近よく耳にするのは、「DNB」と「DFB」 というキーワード。それぞれ「デジタル・ネイティブ・ブランド」「デジタル・ファースト・ブランド」を意味し、マーケティングの主戦場をデジタルに移したブランドと、最初からマスを用いず、コミュニケーションの主軸をデジタルに置いているブランドのことです。

 代表的なのは、送付された5種類のメガネからお気に入りのものだけを購入するWarby Parkerや、毎月ひげそりが届くサブスクリプションビジネスのダラーシェイブクラブ。また、梱包を開けるところからユニークな体験のできる、マットレスメーカーのCasperもそのひとつです。

 これらの特徴は、商品の面白さや購入体験を、SNSやYouTubeで思わず拡散したくなる仕組みであること。商品開発やマーケティング設計から、デジタルネイティブを意識しているんです。

押久保:UXを軸とした商品開発力に加え、印象的な届け方が実現できる。LTVの長い商品を作りやすい世の中になっているんですね。

嶋瀬:一方、これらの新しいブランドには、通常のアドではサービスのよさを伝え切れないだけでなく、名前を知らないと検索されないという課題があります。コンテンツを介してサービスを紹介するアプローチが必要となるのです。

 サービスやプロダクト、ビジネスの変化が加速するこれからは、ユーザーが興味を持ち、情報を探し、サービスを理解するというアクションが必要です。アウトブレインのようなコンテンツレコメンデーションが、マーケティングにおいてますます重要になると確信しています。

すべてのステークホルダーに価値ある循環を

押久保:最後に、今後の展望をお聞かせください。

嶋瀬:まずは、アライアンスの推進です。主要なプログラマティックやデータプレイヤーとの連携を通して、ブランドやパブリッシャーに最適なエコシステムを作っていくことを、グローバルの方向性としています。

 また今年からは、アウトブレイン独自の考え方に基づいたアウトストリーム型ビデオに注力します。その特徴は、私たちの資産である、「次に何を見よう/読もう」というディスカバリーモードのユーザーに対し、自然に動画と接する機会を提供できること。動画に触れたユーザーに、続いて関連する記事を読んでもらう、というファネル上の設計がしやすくなります。将来的にはフルファネルでのソリューション提供も考えています。

 最も大切にしていきたいのは、ディスカバリーネットワークに触れる、エンドユーザー。これまでも、薬機法に基づいたクリエイティブチェックや、より良いCXのための取り組みを行ってきましたが、今後も欠かすことはできません。ユーザーにとって興味関心のあるコンテンツを提供できることが、究極のCX向上へとつながります。その精度を上げることで、ユーザー、パブリッシャー、クライアント、すべてのステークホルダーにとって価値のある循環を作っていきたいです。

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この記事の著者

押久保 剛(編集部)(オシクボ タケシ)

メディア編集部門 執行役員 / 統括編集長

立教大学社会学部社会学科を卒業後、2002年に翔泳社へ入社。広告営業、書籍編集・制作を経て、2006年スタートの『MarkeZine(マーケジン)』立ち上げに参画。2011年4月にMarkeZineの3代目編集長、2019年4月よりメディア部門 メディア編集部...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

マチコマキ(マチコマキ)

広告営業&WEBディレクター出身のビジネスライター。専門は、BtoBプロダクトの導入事例や、広告、デジタルマーケティング。オウンドメディア編集長業務、コンテンツマーケティング支援やUXライティングなど、文章にまつわる仕事に幅広く関わる。ポートフォリオはこちらをご参考ください。

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【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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MarkeZine(マーケジン)
2019/01/16 10:00 https://markezine.jp/article/detail/30014