※本記事は、2019年1月25日刊行の定期誌『MarkeZine』37号に掲載したものです。
度重なる転職、その理由とは?
ライフイズテック株式会社 グローバル事業部 マーケティングエキスパート 三木 アリッサ(Alissa Miki)氏
新卒で外資メーカーに入社。その後、複数のベンチャーでブランド立ち上げや新規事業に関わり、多様な業界のマーケティング戦略を学ぶ。イスラエル専門商社在籍時、同国の情報を発信するイスラエル女子部を設立し、一躍注目を集める存在に。2018年11月より現職。
――現在在籍するライフイズテックで6社目と、20代にして幅広いキャリアを積まれている三木さん。目指されているキャリア像について、教えてください。
私は、日本を元気にしたいと考えています。そして、ビジネスに苦戦する日本の職人やアーティストを支援し、活躍する場を世界中に広げたいという人生のテーマがあるんです。これは、陶器人形の作家である母の影響を受けています。大学生のときに、楽天人気ランキングナンバーワンとなったプリザーブドフラワーの専門ブランド立ち上げに携わりましたが、それも日本有数のフローリストたちの作品を、もっと広めたいという思いがあったためです。
大学卒業時には、大企業のトップマーケティングの現場に身を置きたいと思い外資メーカーへ、同社初となる学卒の女性マーケターとして新卒入社しました。ブランドのCRM担当を中心に、最先端のマーケティングの現場に身を置くことができました。しかし、学生時代に自分で意思決定ができスピーディーに動ける環境を経験していたこともあり、大企業の組織や風土に私はなじみきれないなと判断して、入社して10ヵ月で日本酒を扱うベンチャーに転職しました。前職で飲料のマーケティングを担当していたのもあり、職人が活躍する日本酒の世界は私にぴったりだなと思ったんです。そこでは、新ブランドの飲食店経営に関わり、通常3年かかる黒字化を、ラッキーなことに3ヵ月で達成できました。さらに1年間で3店舗出店するところまで成長させたところで、転職を。次は、高単価商品のマーケティングにチャレンジしたいと考え、伝統工芸品に特化したEコマースの会社で、オークションの新規事業に関わっています。そして目標を達成し、また転職です。
――それぞれの会社に留まることは、考えなかったのですか?
私は特定の企業に留まることを前提と考えず、目標を達成したら、その経験を活かして新しいことにチャレンジしていきたいと思っています。伝統工芸品のオークション事業では、国内における職人ビジネスのスキームを理解することができました。日本の将来のことを考えると、少子化が進み、市場が縮小している国内だけではなく、海外に目を向けていかなければなりません。海外といっても、土地が広く、人口も多い中国やアメリカと日本を同列に扱うのは無理があります。日本が参考にすべき国はどこだろうと考えたとき、イスラエルに出会いました。
イスラエルの人口は880万人で面積も四国くらい。さらに砂漠率60%でありながら、日本の1.6倍の資金調達をしています。それは、技術力があるスタートアップ大国として外貨を稼いでいるからなんです。資源や物理的規模ではない領域でグローバルに戦う、この国の戦略を勉強することは、日本を元気にすることにつながるのではと考え、イスラエルの専門商社に入社しました。