DE&I(ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョン)は今、企業がしっかりと向き合うべきテーマになっている。働く女性はめずらしくないが、子育て層を中心に、いまだ制約が大きいのも事実。3月8日の国際女性デーに合わせて、P&GとFacebookでDE&Iに携わり、現在はMOON-Xの執行役員でベビー&マタニティブランドのD2Cを手掛けるケラッタ株式会社CEOを務める下村祐貴子氏にお話をうかがった。
グローバル企業を経てベビー&マタニティD2Cのリーダーに
――2022年8月、MOON-Xはケラッタを経営統合しました。MOON-Xは元Facebook代表の長谷川晋さんが中心となって立ち上げた、ブランド育成の会社ですね。まず、ケラッタの事業について教えていただけますか?
ケラッタは2016年に長野県松本市を拠点に創業し、様々な商品を楽天やAmazonなどで販売しています。抱っこひもや昼寝用の布団、部屋に敷くプレイマットなどですね。親子で楽しめるクラフトキットなども展開しています。
ご縁があって長谷川とケラッタの創業者が知り合い、統合の1年ほど前からパートナーシップの形を探っていました。私も正式にCEOに就任する以前より、直近の販売戦略から中長期的な方向性まで話し合ってきました。
――下村さんのこれまでのキャリアについても教えてください。お子さんを育てながら、海外赴任もされていたそうですね。
はい、P&Gのときですね。私は神戸出身で、神戸大を卒業して新卒でP&Gに入社し、パンテーンやSK-Ⅱなどの広報を担当しながら、ダイバーシティのスポークスパーソンなども務めていました。2007年に結婚して翌々年に長男を出産、その半年後に夫とともにシンガポールに赴任してSK-Ⅱのグローバル広報を務めました。6年の赴任期間で次男を出産しています。
2016年に帰国したのですが、より社会課題に目が向くようになっていました。もう少し自分にできることがあるのではないかと思い、Facebook(現Meta)に転職しました。そこでは広報統括をしながら、ダイバーシティリードとして「無意識のバイアス」に気づきアクションをとる活動などを続けてきました。2020年にMOON-Xに参画し、今に至ります。
「無意識のバイアス」に気づくことが第一歩
――「無意識のバイアス」という言葉をしばしば聞くようになりましたが、どういった意味なのでしょうか。
人は皆、知らず知らずのうちに偏見を持っています。たとえば母親でもある女性社員に対して、子どもがいるからと配慮した結果、本人に相談せずに出張の機会を与えないのは、判断が偏っていますよね。もちろん、そのほうが嬉しい人もいるでしょう。まずはその人はどう考えているのか、会話することが必要です。
大事なのは、想像力や共感力だと思います。自分の判断は独りよがりではないか、多方向からのアングルでいつも考える。それを皆ができるようになれば、いちばんいいですよね。自分がバイアスをかけていないかを確かめるには、私の場合は「もしこれが男性だったとしても同じ見方をするか」と考えたりします。
――なるほど。意識して別の立場ならどう考えるかを検討することが重要なのですね。では、DE&Iのあり方として、どういう姿が望ましいとお考えですか?
理想は、多様であることが当たり前になって、誰も「ダイバーシティ」「DE&I」という言葉を使わなくなることです。その点で私がダイバーシティリードを務めていた当時のFacebookは世界に23億人のユーザーがいて、言語も習慣も異なる方々の生活を知らなければプラットフォームとして使っていただけない状況でしたので、そもそもの土台があったと思います。
――DE&Iを当たり前に浸透させるには、マネジメントや当事者の周囲の方々はどういった働きかけをしていくといいでしょうか?
大前提は、当事者が自走してパフォーマンスを発揮している、あるいはそう心がけていることです。その上で、ポイントは2つあると思います。1つは、マネジメントが「無意識のバイアス」に気づき、皆にチャンスを提供したいと考えていることを、しっかりメンバーに伝えて自社の姿勢を示すことです。2つ目は、それを実現する制度や規則を定めることです。
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- この記事の著者
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高島 知子(タカシマ トモコ)
フリー編集者・ライター。主にビジネス系で活動(仕事をWEBにまとめています、詳細はこちらから)。関心領域は企業のコミュニケーション活動、個人の働き方など。
※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です
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