SHOEISHA iD

※旧SEメンバーシップ会員の方は、同じ登録情報(メールアドレス&パスワード)でログインいただけます

新着記事一覧を見る

おすすめのイベント

おすすめの講座

おすすめのウェビナー

マーケティングは“経営ごと” に。業界キーパーソンへの独自取材、注目テーマやトレンドを解説する特集など、オリジナルの最新マーケティング情報を毎月お届け。

『MarkeZine』(雑誌)

第107号(2024年11月号)
特集「進むAI活用、その影響とは?」

MarkeZineプレミアム for チーム/チーム プラス 加入の方は、誌面がウェブでも読めます

BOOKS

課金形態の変更だけではない!サブスクリプションがもたらすビジネス&マーケへの影響【おすすめの書籍】

 サブスクリプション――様々な場面で耳にする機会が増えているこのモデルは、ビジネスそしてマーケティングに、どんな影響を与えているのでしょうか。「課金形態が変わるだけ」「特定の業界に当てはまるもの」と思っていたら要注意! 今回紹介する1冊で、サブスクリプションの奥深さを学んでみませんか。

転換点を迎えたビジネスモデル

『サブスクリプション――「顧客の成功」が収益を生む新時代のビジネスモデル』 1,800円(税抜)	ティエン・ツォ 、ゲイブ・ワイザート (著) ダイヤモンド社

『サブスクリプション――「顧客の成功」が収益を生む新時代のビジネスモデル』 1,800円(税抜)
ティエン・ツォ、ゲイブ・ワイザート(著) ダイヤモンド社

 『サブスクリプション――「顧客の成功」が収益を生む新時代のビジネスモデル』は、「ビジネスは歴史の転換点を迎えた」という強いメッセージから始まります。

 著者のひとりであるティエン・ツォ氏は、セールスフォース・ドットコムに11人目の社員として入社し、CMOやCSOを歴任。そこでの経験から、サブスクリプション・エコノミーの到来の兆候に気づき、企業のサブスクリプションビジネスへの転換を支援するZuoraを創業しました。

 同氏は「どうすれば伝統的な製品ベースの会社をサブスクリプション・モデルに移行できるのか」という知見を提供するために、同書を執筆したといいます。しかし、顧客から定期的に収益を得るという仕組み自体は、新しいものではありません。なぜ同氏は今、このモデルがビジネスを変革すると考えているのでしょうか。

製品中心から顧客中心へ サブスクはその背中を押す

 理由のひとつは、顧客の関心が製品の「所有」から「利用」へと変化しているため。企業はそれに合わせて、製品ではなくサービスを利用した「結果」を売ることが必要になります。

 製品中心の企業に対する同氏のアドバイスは、とても明快です。

製品に魅力的なデジタルサービスをセットにして提供すればよい(p.53)

 たとえば、ギターメーカのフェンダーの場合。ギターという「製品」売るだけでなく、サブスクリプション型の練習サイトを展開することで、演奏できるようになるという「結果」にアプローチしました。すると彼らはギターを辞めずに、生涯の顧客として留まってくれるようになったのです。

 このように、顧客と継続的に関係をもつ仕組みが構築されると、企業は利用状況や利用行動といったデータの収集が可能になります。すると製品開発においても、サブスクリプションが強みを発揮します。

 例を挙げると、同氏が働いていたセールスフォースでは、意思決定の方法やリソースの配分、新しいサービスを構築する方法について、そのデータを基に考えられるようになったといいます。つまり、製品開発の中心に顧客を据え、製品を継続的にブラッシュアップし続けられるのです。

 同書を通じて感じたのは、サブスクリプションとデジタルの相性の良さ。顧客のデータを集め、分析できる環境が整っている今だからこそ、このモデルの強みが発揮されているのだとわかります。

マーケティングは「サービスに組み込む」ものに

 同書では、サブスクリプションの下でのマーケティング戦略についても語られています。同氏は、顧客を中心としたとき、ブランドの価値を「広告ではなく経験を通して伝えられている」とみています。そのためマーケターとエンジニアが協力し、フリーミアム・モデルやアプリ内課金といった経験を設計していくことが欠かせません。

 また、よい経験をした顧客は、口コミによってシェアすることで、サービスや製品を広めてくれます。誰かに思わず伝えたくなる物語を作るのは、マーケターの仕事。Zuoraでは「ストーリーテリング」を重視し、同書でそのテクニックを紹介しています。

 「課金形態の変更」という側面のみで語られてしまいがちな、サブスクリプション。その認識を広げるだけでなく、マーケティングが果たすべき役割も理解できる同書を、手に取ってみてはいかがでしょうか。

この記事は参考になりましたか?

  • Facebook
  • X
  • Pocket
  • note
関連リンク
BOOKS連載記事一覧

もっと読む

この記事の著者

蓼沼 阿由子(編集部)(タデヌマ アユコ)

東北大学卒業後、テレビ局の報道部にてニュース番組の取材・制作に従事。その後MarkeZine編集部にてWeb・定期誌の記事制作、イベント・講座の企画等を担当。Voicy「耳から学ぶマーケティング」プロジェクト担当。修士(学術)。東京大学大学院学際情報学府修士課程在学中。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

この記事は参考になりましたか?

この記事をシェア

MarkeZine(マーケジン)
2019/02/05 07:00 https://markezine.jp/article/detail/30177

Special Contents

PR

Job Board

PR

おすすめ

イベント

新規会員登録無料のご案内

  • ・全ての過去記事が閲覧できます
  • ・会員限定メルマガを受信できます

メールバックナンバー

アクセスランキング

アクセスランキング