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マーケティングプラットフォーム大解剖

Salesforceのプラットフォームを一言で表すと――”カスタマーサクセス“に込められた意味を問う

 本連載では、いよいよプレーヤーが絞られてきたプラットフォームに焦点を当て、各社の思想とソリューションの概要を掘り下げていく。今回は、CRMとSFAに端を発し、現在ではマーケティング支援のプラットフォームとしても高い存在感を示しているセールスフォース・ドットコムをフィーチャー。「カスタマーサクセス」を早くから掲げる同社のビジョンを聞いた。

セールスフォースの成長の源泉

――この1年ほどで「カスタマーサクセス」という言葉をよく聞くようになりましたが、御社では早くからこれを提唱されています。まず、この言葉に込められた意味をうかがえますか?

株式会社セールスフォース・ドットコム 専務執行役員 ジェネラルマネージャ デジタルマーケティング・ビジネスユニット 兼 クラウドセールス 兼 韓国リージョン 笹俊文氏
株式会社セールスフォース・ドットコム 専務執行役員 ジェネラルマネージャ
デジタルマーケティング・ビジネスユニット 兼 クラウドセールス 兼 韓国リージョン 笹俊文氏

笹:「カスタマーサクセス」という概念は、我々そのものの生業に強く紐づいています。当社は、営業支援ツール(SFA)の提供から事業をスタートしましたが、ニューヨーク証券取引所に上場した際には、社名を「CRM」と登録しています。当時から「CRM支援を目指すのだ」ということを明確に打ち出していました。つまり、クライアントと顧客の関係構築におけるサポートが、事業の根幹にあるのです。

 その考えから、我々は提供するプラットフォームを「カスタマーサクセスプラットフォーム」と称しています。クライアントの成功が、そのまま我々の事業の成功になるということです。これは、我々がずっとサブスクリプションモデルでしかビジネスをしてこなかったことにも現れています。

 顧客との関係性構築は、当然ですが長期的な活動になります。ですので、我々のソリューションをてこにクライアントが成長すれば、長く継続してお使いいただける。逆にいうと、我々のビジネスモデルはクライアントの成功なくしては成り立たないのです。

Salesforceのプラットフォームを一言で表すなら

――カスタマーサクセスプラットフォームを一言で表すなら、どう表現されますか? 他社のソリューションに対する優位性はどういったところでしょうか。

笹:我々のクラウドソリューションは、企業内で現在持ち得る顧客接点をほぼすべて網羅していると考えていただいていいと思います。オフラインなら店舗、対面営業、コールセンターなどの窓口、それからオンラインならメールからEC、デジタル広告など。また製品にIoT機能があるなら、それも含みます。

 あらゆる接点で常時顧客と接し、その情報を取得して蓄積することができるのです。クライアントの既存システムとも連携し、それらが取得するデータも補足するので、一言でいうなら「顧客接点とデータを360度網羅するソリューション」でしょうか。もちろん、日々新しい接点や取得可能なデータの種類は増えていきますので、網羅性には常に力を入れています。

――マーケティングプラットフォームを提供するベンダーが存在感を強めている中で、現在の潮流などを含め、この市場をどうご覧になっていますか?

笹:マーケティング領域において、我々のクライアントは、BtoC企業が中心ですが、デジタルが一般化したことで、一層One to Oneコミュニケーションを追求する動きが強くなっていると思います。先ほどお話した「360度」というのは、自社の顧客を360度全方位から知りたい、というクライアントニーズの高まりを受けたものでもあります。顧客をより深く知り、より喜ばれる対応やオファリングをしたいという要望ですね。

 One to Oneのデジタルマーケティングは、元々アメリカで広がり、取得できる顧客情報の種類と量が増えたことで、グローバルでも加速しています。また先進国は、一様に人口減少の問題を抱えているので、既存顧客からの売り上げ確保やLTVの考えは欧米企業でも問題になっており、裏を返せば、これはCRMを支援する当社が高い成長率を維持している理由でもあります。

 ただ、その中でも日本はとりわけOne to Oneコミュニケーションの進展が速く、ここ5年ほどで一気に浸透しました。この背景にあるのは、日本ならではの「おもてなし文化」ではないかと考えています。日本には、顧客をおもてなしする考えが深く根付いていますよね。だからデジタルが登場するよりずっと昔から、顧客を知るためのアンケートやグループインタビューなどが積極的になされ、顧客像を捉えようとしてきました。

 一方デジタルだと、わざわざ聞かずとも、様々な顧客の行動データを取得でき、そこから顧客の意図も推測できます。それを把握した上で、多くの企業が「こうすればもっと喜ばれるのでは」と次の打ち手を考案し、実践してきた。日本人的な接客の姿勢がOne to Oneコミュニケーションの発想と相性が良かったから、ここまで急速に浸透してきたのだと思います。

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この記事の著者

高島 知子(タカシマ トモコ)

 フリー編集者・ライター。主にビジネス系で活動(仕事をWEBにまとめています、詳細はこちらから)。関心領域は企業のコミュニケーション活動、個人の働き方など。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

MarkeZine編集部(マーケジンヘンシュウブ)

デジタルを中心とした広告/マーケティングの最新動向を発信する専門メディアの編集部です。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2019/02/22 08:00 https://markezine.jp/article/detail/30318

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