デジタルマーケティングの普遍的な価値とは
スマホやSNSの普及によって、これまでになかった新しい顧客とのコミュニケーションが実現可能になったデジタルマーケティング。その一方で、次々と専門用語が生まれ、様々な手法やツールが入れ替わり、ある意味で「玉石混交」状態になっているとも言えるかもしれません。
今回ご紹介する『1からのデジタル・マーケティング』は、こうした一過性の高いテーマに終始することなく、様々な大学教授たちの視点から、デジタル時代のマーケティングが持つ普遍性を的確に捉えたものとなっています。
各企業におけるマーケティングの変遷も網羅
本書では、アマゾンやメルカリ、食べログ、無印良品、エアビーアンドビーなど、デジタル領域で著しい成長を遂げている企業を取り上げ、これらの企業がどのようにデジタル活用を進めていったのか、その変遷を詳細に解説しています。
たとえば、皆さんはアプリ施策「MUJI passport」によって業界のデジタル活用を推進させた無印良品のルーツが、主婦モニター10人による「マッシュルーム」の味覚テストにあることをご存知でしょうか?
無印良品誕生のきっかけは、1975年頃の西友の商品科学研究所における、開発担当メーカー、主婦モニター10人による、素材缶詰「マッシュルーム」の味覚テストにさかのぼる。
2000年以降、ポータルサイト構築などに着手し、EC事業などを展開していった無印良品。このように、本書では最新の企業事例を取り上げるだけでなく、事業がグロースするまでに経た道のりも網羅されています。デジタル普及にともなって企業のマーケティングが目まぐるしく変容していく様には、文字を通してもその凄さに圧倒されます。
いずれデジタル活用がスタンダードに
本書で取り上げられている先進企業の事例を見ると、デジタル活用がもはやスタンダードとなり、遠くない将来に「マーケティング」自体がデジタル要素をはらんだものとして認識されるのでは? と感じさせられます。
本書では、企業の事例を紹介するほか、専門用語の細かな解説や、章ごとのテーマをさらに深く学ぶための参考図書も掲載されており、今からデジタルマーケティングを学ぶ人にとって、教科書と呼べる一冊となっています。
自社のマーケティングチームのスキルアップを図るマーケターや、組織全体にデジタルマーケティングの基礎を築きたいと考えている方にも、ぜひ一度手にとっていただきたいと思います。