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マーケティングプラットフォーム大解剖

【アドビ全製品を解説】Adobe Experience Cloudは「何のため」のツールなのか


Adobe Experience Cloudの特長

 製品の紹介に入る前に、まずAdobe Experience Cloudの特長について、「コンテンツ」「チャネル」「ワークフロー」「AI」「エコシステム」の5つの観点から、説明したいと思います。

1.最高の顧客体験は、最高のコンテンツから

 4Rを満たした顧客体験を提供することは、簡単なことではありません。たとえば、次のようなハードルがあります。

・パーソナライゼーションが深化することで増え続ける膨大なコンテンツの作成と管理
・マーケターやクリエイターなど、部門横断的なコミュニケーション
・広告、Webサイト、アプリ、メールといったチャネルに合わせたコンテンツの配信
・これらのワークフローをスピーディーに回していくこと

 これらを実現するには、コミュニケーションに利用するすべてのコンテンツを作成・管理・提供・最適化するサイクルをつなげ、ワンストップで回せるようにしていくことが必要です。

 企業と顧客とのコミュニケーションの間には、常に何かしらのコンテンツが存在しています。ですから、より良い顧客体験とコンテンツは切っても切り離せません。顧客コミュニケーションを、コンテンツ中心に設計することは、非常に重要なのです。

 Adobe Experience Cloudは、この切っても切り離せない「マーケティング」と「クリエイティブ」の領域のシームレスな連携を可能にします。

 Adobe Creative Cloudとの連携により、制作とマーケティングを繋げ、コンテンツを適切に管理し、タッチポイントに適したコンテンツを作成・配信することが可能になります。さらに、配信したコンテンツごとにその効果を測定し、より最適な顧客コミュニケーションを実現するため、データを次のクリエイティブ制作につなげていくというサイクルを高速で回すことができるわけです。

2. すべてのデジタルタッチポイントをカバー

 現在、顧客と企業とのタッチポイントは、PCサイトやスマートフォンサイト、アプリだけでなく、スマートウォッチ、スマートスピーカー、デジタルサイネージなど、様々な箇所に広がっています。企業には、これらすべてのタッチポイントにおいて、顧客のコンテクストを理解し、一貫したコミュニケーションを提供することが求められています。

 Adobe Experience Cloudでは、このような多岐にわたるデジタルタッチポイントにおいて、コミュニケーションや体験の管理を統合的に行うことができます。

 たとえば、チャネルが違えば同じコンテンツを配信するにしても、ブラウザ、アプリ、サイネージ、IoTなどそれぞれフォーマットが異なります。画像や動画の縦横幅などはもちろんのこと、チャネルごとに推奨されるテキスト量なども変わってきます。これらを別々に管理してしまうと、ひとつのプロモーションコンテンツを展開するのに非常に多くの手間がかかってしまいます。これらを統合し配信されるコンテンツを管理することも顧客体験の管理における重要なポイントとなります。

 また、製品間でのプロファイルを共通化する取り組みを行っています。実際にプロモーションを展開するときには、対象者のリストを、Webのパーソナライゼーション、広告、メールといったそれぞれの担当者が整形し設定をしていくことになります。連携ができていない製品の場合、リストファイルでのやり取りとなりフォーマットも違うため時間がかかってしまいます。

 Adobe Experience Cloudでは、プロファイルが統合されることにより、分析した結果、価値の高いセグメントを見つけた際に、そのセグメントを共有化し、様々なチャネルで再利用することが可能になります。これにより、複数のタッチポイントをまたいだコミュニケーションが実現します。

3.最速のアクションを可能にするワークフロー

 マーケティングアクティビティを実施していく現場には、クリエイティブの制作を行うデザイナー、コンテンツの設計や設定を行う政策担当者、データの分析を行う分析担当者、メッセージを策定するビジネス担当者など、多くの人たちが関わっています。素早くマーケティングアクションを取るためには、それぞれの作業を効率化するだけでなく、横断的なコミュニケーションから効率化する必要があります。

 しかし、複数のマーケティングツールを併用していると、データの連携、コミュニケーション、ユーザーインターフェースなど、様々なところで思わぬつまずきが発生し、ワークフローがぎくしゃくしてしまうことも多くあります。

 Adobe Experience Cloudは、製品間で統合されたUIはもちろんのこと、管理されるプロファイル情報なども共通化することで、シームレスなデータ連携を実現しています。これにより、各メンバーのマーケティング活動を最適化し、最速でサイクルを回すことができます。

4.Experienceに特化したAI「Adobe Sensei」

 アドビの様々な製品には、AI、マシーンラーニングを活用した技術であるAdobe Senseiが組み込まれています。このAdobe Senseiが学習した結果は、プラットフォーム上の様々な機能に組み込まれています。

 Adobe Senseiは、「隠れた要因を見つけ出す」「時間のかかっていた作業を効率化する」「意思決定のサポートをする」の3点にフォーカスしています。

 たとえば、データの計測・分析を行うAdobe Analytics上では、高度な分析を簡単に、時間をかけずに行うことができます。また、パーソナライズを実現するAdobe Targetでは、自動的に顧客へ最適なコンテンツを配信することを可能にします。人間が細かいルール設定などをする必要がなくなるわけです。

 Adobe Senseiは、Adobe Creative Cloud側での学習結果をAdobe Experience Cloudに反映させるなど、クラウド間をまたいだ様々な機能の提供も開始しています。たとえば、画像などのデジタルアセットを管理するAdobe Experience Manager Assetsでは、画像を自動的に認識し、登録すべきタグを推奨してくれる機能などを提供しています。

 すでに様々な機能にAdobe Senseiが組み込まれていますが、2018年の弊社イベントでは少し先の未来のAdobe Senseiとして、手書きのラフから必要な画像をレコメンドし、様々なパターンの画像を自動生成していくもの、動画の内容を解析しチャネルに合わせ適切な長さに編集してくれるものを、Adobe SenseiのFuture Visionとしてご紹介させて頂きました。

Adobe Symposium 2018でデモを実施したクリエイティブの自動生成
Adobe Symposium 2018でデモを実施したクリエイティブの自動生成

 Adobe Senseiを通しマーケッターに寄り添うことで、手間を減らし本来集中すべきことに時間が割けるようにする。また、より高度な顧客体験をできるようなる未来を提供できるよう、アドビは常に取り組んでおります。

5.多様な連携で実現するエコシステム

 統合されたCloud Platformとはいえ、企業の戦略に合わせてそのシステム構成は様々ですので、必要に応じて、外部システムや企業内システムと連携する必要があります。Adobe Experience Cloudは、数百を超える様々なサードパーティーソリューションと連携しており、企業の戦略に合わせた様々なデータ連携を実現することができます。

 また、Adobe I/Oという開発者向けのプラットフォームも提供しています。ここでは、Adobe Experience Cloudの様々な製品のAPI環境や開発者向けの検証環境などがそろい、サービスの連携なども設計できるようになっています。

 さらに最近では、MicrosoftとSAPと一緒にOpen Data Initiativeという取り組みも始めています。これまで、リアルタイム性を求められる顧客体験データと、CRMやERPといったストック側データは分断されていました。Open Data Initiativeでは、顧客体験のために規格整理されたXDM(Experience Data Model)を利用し、システム間の言語をリアルタイムに連携させていきます。

 これにより、ERPのデータをリアルタイムに顧客体験にフィードバックしていく、また、顧客体験のコミュニケーションの結果をリアルタイムにCRM側にフィードバックしていくなど、バックオフィスデータと顧客体験をダイレクトに繋げていくことが可能になります。

次のページ
Adobe Experience Cloud の全製品を解説

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この記事の著者

安西 敬介(アンザイ ケイスケ)

アドビ システムズ株式会社
グローバル サービス統括本部
プロダクトエバンジェリスト 兼 シニアコンサルタント

2001年より国内大手航空会社にてWeb解析やデジタルマーケティングを担当後、オムニチュアへ2008年に入社。2009年の買収によりアドビシステムズへ。エンドユー...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2020/03/12 12:58 https://markezine.jp/article/detail/30652

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