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電通デジタル、アドビ、マイクロソフトの技術を集結!カスタマージャーニーの自動最適化でPDCAを加速

 AIの活用によるデジタルマーケティングの精緻化・効率化への期待は高まる一方、いまだ具体的な活用イメージを描けていない企業も多いのではないだろうか。そのような中、電通デジタルは、アドビが提供するデジタルエクスペリエンスソリューション「Adobe Experience Cloud」とマイクロソフトが提供する「Microsoft Azure」を連携し、カスタマージャーニーを自動最適化するAIを活用したソリューションを開発した。本記事では同社の住岡洋光氏と森一真氏が、同ソリューションの強みとともに、デジタルマーケティング領域におけるAI活用のポイントを語った。

1年以内に実装したいマーケティングテクノロジー、第1位はAI

(左)株式会社電通デジタル データ/テクノロジー部門 ソリューションディベロップメント事業部長 住岡洋光氏 (右)同社 同部門 ソリューションアーキテクト事業部 デジタルイノベーショングループ シニアコンサルタント 森一真氏
(左)株式会社電通デジタル データ/テクノロジー部門 ソリューションディベロップメント事業部長 住岡洋光氏
(右)同社 同部門 ソリューションアーキテクト事業部 デジタルイノベーショングループ
シニアコンサルタント 森一真氏

――まず、AIのビジネス活用について現状を教えてください。

住岡:まだまだビジネス面では活用しきれていないのが実状です。IT・システム部門における業務効率化は少しずつ進んでいるのですが、マーケティング部門は手付かずのところが多いようです

 ただAIに対する期待は高く、私たちが2018年12月に発表した「日本における企業のデジタルトランスフォーメーション&デジタルマーケティング 2018年度調査」では、今後1年以内に実装したいマーケティングテクノロジーについて聞いたところ、AIという回答が圧倒的に多かったのです。「どのように使えばいいかわからないけれど、活用したい」という状況なのではないでしょうか。

今後1年以内に実装したいマーケティングテクノロジー(「日本における企業のデジタルトランスフォーメーション&デジタルマーケティング 2018年度調査」より)
今後1年以内に実装したいマーケティングテクノロジー
(「日本における企業のデジタルトランスフォーメーション&デジタルマーケティング 2018年度調査」より)

森:顧客行動もチャネルも多様化し、カスタマージャーニーが複雑化している中で、マーケティング担当者の負担は大きくなっています。そういった背景からもAIへの期待は高まっていますね。しかし、AIといえばアルゴリズムやシステムなどの技術的な部分がフォーカスされがちで、企業のマーケティング課題を解決するための具体的な使い方という点では、まだ限られた前例しかない、というのが実情です。

 そのため、「AIを使って具体的なマーケティング課題を解決し、投資対効果を得る」という点が企業の中で現実味をもって語られておらず、漠然とした期待だけが先行していると考えています。

AIが得意な仕事は「重要な要素の発見」と「データのセグメント化」

――ではAIが解決できる課題というのは、具体的にどのようなものなのでしょうか。

住岡:AIが得意なのは、目的を達成するために何が重要な要素なのかをすぐに発見し、定量化することです。目的さえ人間側でしっかり設定できれば、AIがすぐに答えを発見してくれます。

 たとえば、顧客の行動データを分析した結果コンバージョンに最も寄与した行動は何か。より具体的には、ゴールデンパスと呼ばれる「顧客がどのような順序で回遊した際に最もコンバージョンの期待値が高まるのか」ということを、定量的に表すことができます。

森:もう一つの得意領域として挙げられるのが、データのセグメント化です。顧客の属性や行動データから、共通項をもつ顧客同士を自動的にセグメント化し、代表的な特徴を可視化するところまでを網羅します。そうやって抽出されたセグメントに対し、どのような施策を考えるのかが人間の役割ですね。

自社データも活用し、一人ひとりに合わせた接客を実現

――今回開発されたソリューションも、重要な要素の発見やデータのセグメント化といったAIの強みを活かしたものなのでしょうか。

住岡:その通りです。簡単にいうと、アドビが提供する「Adobe Experience Cloud」とマイクロソフトが提供する「Microsoft Azure」を連携し、AIを活用した最適顧客セグメントの抽出と最適シナリオの予測・実行を自動化することができます。

ソリューションのフレームワーク
ソリューションのフレームワーク

――ソリューションを開発した経緯について教えてください。

住岡:「Adobe Experience Cloud」内の「Adobe Target Premium」のAdobe Senseiを活用した自動パーソナライズ機能では、最も購入につながりやすい誘導シナリオを一人ひとりの顧客に合わせて予測・実行し、可視化することができます。

 ただ主な分析対象はWebサイト内の行動であり、マーケティング担当者からは、Webサイト外のデータも含めた上で自動最適化したいという声が上がっていました。私たち自身も、顧客企業と接している中で「自社が保有する、会員情報などのファーストパーティデータをなかなか活かしきれない」という課題をよく耳にしていたのです。

 そこで、「Microsoft Azure」であらゆる領域のデータを統合した上で顧客をセグメント分けし、どのような顧客にどのような施策を当てるのかを設計してから、「Adobe Target Premium」で施策を自動最適化していくソリューションを開発しました。

森:カスタマージャーニーは人が作るものであり、実際にPDCAを回してから見えてきたボトルネックを解消するために施策を考えるのも人の役目、と認識されている方が多いと思います。ですが、それではスピーディーな改善はできません。

 これに対して今回開発したソリューションは、カスタマージャーニーを形成するプロセスのほとんどを自動化するため、高速でPDCAを回せるようになります

住岡:また「Power BI」との連携により、なぜAIがその結論に至ったのかを日々ダッシュボードで確認できるため、業務効率化に貢献できるところも強みです。

 マーケティング担当者は施策を進めていく中で、本当にこの検証でいいのか、このクリエイティブでいいのかなど、根拠を求められるシーンが多く、その都度説明用の資料を作らなければいけないことも多い。でもそんな仕事は本質的には必要ないはずです。

――このソリューションがカスタマージャーニーを最適化していくフローについて、もう少し詳しく教えていただけますか。

森:まずお客様のデータを統合し「顧客セグメントの抽出」を行うと、属性の近いユーザーグループが形成されます。

 次に顧客の属性や過去の行動から、その時点で最も購入につながりやすいシナリオが予測されます。たとえば図の「商品Bの閲覧」を行っている顧客にその商品を購入してもらうには、次にどの情報を提示すればよいのか。過去のデータを基に、最も可能性が高いのが「機能X紹介」であると示してくれます。人間では、これほど精緻な分析は難しいでしょう。

カスタマージャーニー最適化のイメージ
カスタマージャーニー最適化のイメージ

住岡:「顧客セグメントの抽出」については、あくまで人間が認識しやすいよう顧客情報を整理するための仕組みです。顧客体験がセグメント単位で最適化されるのではなく、完全に1to1で個別最適化された施策を実行することが可能です

ソリューションの個別機能(クリックして拡大)
ソリューションの個別機能(クリックして拡大)

AIが提示する良質なヒントを基に、戦略策定が可能に

――このソリューションで顧客体験を最適化していくにあたって、AIと人はそれぞれどのような役割分担をしながら進めていくイメージになるのでしょうか。

住岡:まず、AIがターゲットを抽出し、何をどのようなタイミングで実施すればよいのか教えてくれます。でもそれはあくまで、ヒントの提示に留まります。AIは「これを見た瞬間に効果が上がりました」という過去事例を見せてはくれますが、それをそのまま再現していいのかどうか、何を施策化すればいいのかということは、人が考える必要があります

森:たとえば、ある百貨店のマーケティング担当者が、「優良顧客向けのキャンペーンを実施したい」と考えたとします。ただ、自社の優良顧客はどのような属性なのかは把握しきれていません。

 そこで、自社がもつデータを統合し、「Microsoft Azure」に取り込むと、「女性が過半数を占めている」「土日の昼間に来訪する確率が高い」「購入前に回遊する傾向にある」といったユーザー属性が導き出されます。

 「Microsoft Azure」からユーザー属性を受け取った担当者は、「土日の昼間に店舗を回遊している女性にクーポンを配布すればいいのではないか」と施策案を考えます。そして、実際にクーポン施策を「Adobe Target Premium」に設定したら、後はAIが誰にクーポンを当てるべきかを自動的に判定し、最適化していきます。

 ここでのポイントは、施策を当てるのは必ずしも“優良顧客”だけではないということです。そもそもこのクーポン施策は“優良顧客”向けのものでしたが、この施策で効果が見込めるその他のターゲットまで、AIが自動的に探索してくれます。もちろん、ビジネス上の意図をもって特定の顧客にのみ施策を当てる、という調整も可能です。

 ここまでの流れを見ると、担当者はプランニングのみを担当し、分析・最適化作業はほぼすべてAIが担っていることがわかりますよね。マーケティング担当者の作業時間を一気に短縮し、施策の精度・投資対効果も向上してくれるのが、今回開発したソリューションの強みです。

AI活用を当たり前にするため、社内啓蒙とサポートを徹底

――このソリューションを取り入れることによる業務フローの変化は大きなものだと思いますが、電通デジタルでは、どのようなサポートを提供されるのですか?

住岡:具体的なマーケティングの活用方法を軸にして、長期的なビジョンから体制作りまでをサポートするのが私たちの強みだと自負しています。

 実務の世界では結局やってみないとわからないことがあるので、まずは私たちが実践して成果を作ってから、顧客企業の業務に組み込んでいくプロセスを踏んでいます

森:最終的には顧客企業に内製化していただくことを目指しています。そのためマーケティング担当者だけでなく、社内全体にAIの価値を理解していただくための支援も行っています。ひと目見ただけでAIの価値がわかるような説明資料作りから、説明会・ワークショップの開催など、関係者から理解・納得を得られるよう努めています。

――最後に、AIのビジネス活用を普及させる意義について、お二人の考えをお聞かせください。

森:当社では様々なソリューションを扱っていますが、AIはどのソリューションにも横串で刺さるものと捉えていて、AIを駆使することで様々な業務が効率化されていくと考えています。

住岡:AIは普及してきてはいるもののまだ特別な存在で、自分が扱うものではないと捉えている方が多いと思います。ですが、決してそんなことはないと考えています。

 今後誰もがAIを当たり前に扱えるようになっていけば、世の中のあらゆるビジネスに大きなインパクトを与えます。そのような世界を目指して、まずは目の前の顧客企業と一緒に、皆様のパートナーとして、今回のソリューションの導入から社内普及までをしっかり支援していきます。

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この記事の著者

水落 絵理香(ミズオチ エリカ)

フリーライター。CMSの新規営業、マーケティング系メディアのライター・編集を経て独立。関心領域はWebマーケティング、サイバーセキュリティ、AI・VR・ARなどの最新テクノロジー。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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