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「車輪の再発明はもう止めよう」BtoBマーケの才流、ベイジ、WACULが自社ノウハウをシェアする理由

サイト改善の無駄と本質 本当に時間を割くべきなのは?

――サイト改善における非効率をなくし、より本質的な仕事に注力してほしいというのが、リストを公開した大きな理由なのですね。たとえばどのような点に無駄が多いと感じられていたのでしょうか。

垣内:A/Bテストを延々と繰り返すのは良くないですね。BtoB領域では根絶したい。変えてしまって落ちたら戻せばいいし、伸びたらOKというくらいで良いのではないでしょうか。

枌谷:大半のBtoBサイトのセッションは月数千から数万、CV数は月十数件、ということも珍しくありません。このような母数が少ないサイトでA/Bテストを行っても、偶然による数字の偏りが強く現れるため、あまり参考にならないことが多いのです。

――A/Bテストにかける手間と、得られる事業インパクトを天秤にかけて考えてみると、本当に実施すべきと言えるのか、ということでしょうか。

枌谷:その通りです。サイト改善で根本的に考えなければいけないのは、ターゲットは誰で、彼らはどういう体験をしていて、その体験を踏まえるとどういうコンテンツやメッセージを届けるべきかということ。マーケターは正解が見えないこれらの問いを突き詰めることに、できる限り時間を費やすべきです

 それなのにボタンの色や位置についてずっと悩み続けているのは、ゲームにたとえるなら、本当はドラゴンを倒さないといけないのに、スライムの倒し方で試行錯誤しているような感覚です。

栗原:ワイヤーフレームを使う利点は、インパクトの小さい検証を繰り返すことをやめ、本当に議論すべき点に時間を使えることでしょう。クライアントさんや当社のメンバーには、「何も考えず、ワイヤーの通りに埋めてください」と伝えています(笑)。

 これに沿って改善していくと、CV率は間違いなく上がります。すると「集客を増やさないと」「CVは増えているのに商談につながっていない」など、最速で次の論点に移ることができるはずです。

枌谷:リストには、さらっと書いてあるものの、実行するには難しい項目も含まれています。しかしやるべきことは洗い出してあるので、やりやすいものから手を付けていき、難しいものはしっかり時間を割いて議論すると良いのではないでしょうか。

サイト改善を高速で進め、コンテンツ制作に注力せよ

――では、リストを基に改善を進めるにあたって、マーケターが知っておくべきポイントはありますか。

枌谷:BtoBサイトの改善で最も重要なのはCTAだと思います。当社がクライアントさんのサイト改善に取り組む際にも、まずはじめにCTAの改善から取り掛かっています。

垣内:リソースのない会社は、まずは「トップ」「フォーム」「ブログ」の3要素を置くだけで十分です。シンプルなサイトの場合、セッション数の8割はトップから入ってきますし、CVする人の約半分は、トップから直接フォームに遷移しています。

栗原:枌谷さんが話したように、リストは「これを揃えれば、BtoBマーケティング活動はなんでもできる」という要素を網羅しているので、一通り整備が終わったら、コンテンツ制作や広告、営業プロセスの改善などに注力したほうがインパクトが大きいと思います

垣内:その通りですね。サイトリニューアルの大半はCVが増えず、むしろ落ちてしまうこともあるのですが、コンテンツを足すとしっかり増えます。サイトはこのリストを使って2秒で整備してもらい(笑)、コンテンツ制作にリソースを割くことをお勧めします。

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サイトにメスを入れると、組織やビジネスの問題が見えてくる

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この記事の著者

蓼沼 阿由子(編集部)(タデヌマ アユコ)

東北大学卒業後、テレビ局の報道部にてニュース番組の取材・制作に従事。その後MarkeZine編集部にてWeb・定期誌の記事制作、イベント・講座の企画等を担当。Voicy「耳から学ぶマーケティング」プロジェクト担当。修士(学術)。東京大学大学院学際情報学府修士課程在学中。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2019/10/23 07:00 https://markezine.jp/article/detail/31990

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